第27話 くノ一の富士子対超能力者の不死蔵当魔
久野井弥生の姉の久野井富士子は美貌の持ち主であった。
彼女は映画女優が霞むほどの美人である。
彼女の美しい姿とスラリとした曲線美を見ると溜息が出るのだ。
彼女は自分の美貌にはあまり関心がなかった。
ちやほやされるのは若いうちだけだと知っていたのである。
そんな彼女だったが、最近男の視線を感じることが多くなった。
男の視線には慣れていたが、最近感じる視線はしつこい感じのものだった。
道路近くの公園に入ると男の視線がついてきた。
ストーカーかしらガツンと言ってやろうと思って振り向いた。
不死蔵当魔は久野井富士子に一目惚れしていた。
彼は超能力者だった。
忍者喫茶『くノ一』に友達と行った時にコーヒーを持って来た富士子に一目惚れしていた。
不死蔵当魔が富士子に近づいてきた。
「久野井富士子さんですよね」
「そうですけれど、あなたどなた?」
突然現れた見知らぬ男に富士子は警戒していた。
「僕は不死蔵当魔という者です。あなたを一目見て好きになりました。僕と勝負して下さい」
不死蔵は真面目な顔で言った。
不死蔵は世間的にはいい男だった。
身長も高くてルックスもいい。
女性にもてるタイプだったが、少しずれた所があった。
「あなたこういう時はお茶飲みに行きませんかとか映画でも観に行きませんかとか言うのが普通でしょう。何で私があなたと勝負しなきゃならないのよ」
富士子は非常識な男に呆れていた。
少しくらいルックスがよくてもこんな変な奴はいやだと思った。
「いいですね」
不死蔵はいきなり富士子にキックしてきた。
富士子は高く飛び上がると赤いスカートをひらひらさせてふわりと舞い降りた。
富士子が空気を右拳で突くとドーンと不死蔵が吹っ飛んだ。
富士子が空気拳を放ったのだ。
「いやあ、富士子さんのパンチは素晴らしい」
不死蔵はパンチを食らって喜んでいた。
「富士子さん、今度は僕の番ですよ」
不死蔵が衝撃波を富士子に向かって放ってきた。
空気が振動して富士子は空中に吹き飛ばされた。
富士子はクルリと回って着地した。
こんな変な奴はもういやだ。
相手は超能力者みたいだ。
結構強い。
富士子が戦うべきか逃げるべきか考えていると、不死蔵が言った。
「富士子さん、素敵なパンチありがとうございます。今日はこれで失礼します」
不死蔵はそれだけ言うと去って行った。
何で私があんな変な奴に好かれるのよ、何か腹立つわ。
富士子はそう思いながら歩き出した。




