第21話 異世界からこんにちは
天外屋法市は異世界にいた。
この世ではないということは異世界ということになるだろう。
天外屋法市は異世界で毎日を楽しく過ごしていた。
周囲の人々とも仲良く話したりしていた。
天外屋法市は転生を何度も繰り返していたので数多くの体験をしてきていた。
前世が魔法使いだったこともあれば、仙人だったこともある。
その頃の力が天外屋法市の中に蓄積されていたのだ。
だから超能力忍者として戦国時代で活躍できたのだ。
天野は夢を見ていた。
夢の中に天外屋法市が現れた。
「おい、天野久し振りだな」
「久し振りって、この前忍ちゃんのチャネリングに出ていたじゃないか」
「ああ、そうだったな。あの忍って子も面白い能力を持っているんだな。まあ何か困ったことがあったら相談にのるぞ。おまえに天外屋忍法を教えようと思うのよね」
「天外屋忍法って何なのさ」
「まあ、俺が長年の経験から編み出した独自の忍法のことだな」
「なるほどね。でも僕の体にはもう帰ってこないんでしょう?」
「思念はすべてのものを超えてやってくるのさ。俺が気が向いたら時々夢の中で教えてやろう」
そう言うと、天外屋法市は消えた。
天野は夢から目が覚めた。
天野の毎日は忙しかった。
大学に行って勉強したり部室で仲間と話したりコンビニでバイトしたりと多忙な毎日を送っていた。
暇を見つけては山の中で念力修行を続けていた。
週に数回久野井忍者道場に忍術の練習にも行っていた。
そろそろ就職活動もしなければいけないなと感じていた。
天野の第一志望は公務員だった。
不況で世の中が荒れていたのをさんざん見せつけられていたからだ。
何かの才能を持っていてもそれを生かせる場所がないと何にもならないからだ。
好きなことをやるにしても堅い仕事についていれば生活に困ることはない。
生活に困るからみんな苦労するのである。
超能力同好会のみんなはどんな仕事を選ぶのだろうか。
やはり自分の持つ異能を生かせる仕事をしたいと思うのが自然だろう。
授業が終わったので部室に顔を出してみた。
「みんな将来どんな仕事をするのかな?」
天野がそこにいたメンバー達に聞いてみた。
「僕はうちの気功院で働くよ」
気功師の山川大気が言った。
山川大気のように自分の能力をお金に変えることができる人間は幸せ者だろう。
山川以外のメンバー達は自分の将来について色々と模索している感じだった。
天野は公務員志望だったが、民間企業にも面接に行こうと思っていた。
公務員試験に必ず通るとは限らないからだ。
手堅く生きたいと思う者は必ず公務員を目指すからだ。
夢を持てと無責任なことを言う人が多すぎる。
夢を実現できなかったことを考えていない人が多すぎるのだ。
天野はそろそろ自分が何をして食べていくのかを真剣に考える時が来ていると思いながら帰ることにした。




