第20話 ドラゴン使いの竜崎龍之助対大烏
竜崎の合図でドラゴンは空に舞い上がった。
「よーし、そのまま高く上がってみようか」
異能は竜崎の動きをじっと観察していた。
どのようにしてドラゴン使いがドラゴンを操るのかを見ておく必要があったからだ。
異能は魔法の眼鏡を使って竜崎を見た。
魔法の眼鏡を使って見ると、竜崎は体長約30メートルの龍の姿をしていた。
「私の本当の姿はどうですかね?」
竜崎が笑って言った。
竜崎は異能が魔法の眼鏡を使ったことがわかったのである。
異能は竜崎が次々とドラゴンに指示をするのを観察していた。
高度を上げたり下げたり、右に曲がったり左に曲がったり、速度を上げたり下げたりと、次々と竜崎はドラゴンに指示を出していた。
ドラゴンは楽しそうに竜崎の指示に従って空を飛行していた。
そのドラゴンの後を大空航一が夢中になって追いかけていた。
「どうです。ドラゴンに指示を出してみませんか?」
竜崎の提案に異能は頷いた。
何事も自分で体験しなくては身につかない。
異能は竜崎が出していた指示を記憶していたのでドラゴンにも同じように指示していった。
ドラゴンは異能の思うように飛行してくれていた。
その時、天野と弥生が声を上げた。
声のした方を見ると巨大な翼竜が空を飛んですぐに消えた。
「あれは翼竜じゃないか」
天野が興奮して言った。
「たまに時空に歪みが生じて現代に過去や未来の物体がひょっこり現れることがあるのですよ」
竜崎は別に驚きもせず淡々と言った。
「カラスの大群が来るわよ」
弥生が叫んだ。
するとカラスの大群が空から現れた。
カラスと言っても体長が約3メートルはある大烏だった。
大烏の群れは竜崎達の周りを囲んだ。
ドラゴンが威嚇のために口から火を噴いた。
竜崎は空に飛び出すと体長約30メートルはある龍に変身した。
龍に変身した竜崎は大回転すると大烏の群れを追い払った。
「ここは俺達の国だ。出ていけ」
大烏のリーダーが叫んだ。
知らないうちに竜崎達は大烏達の縄張りに入っていたのだ。
「わかった。出ていく」
竜崎がそう言うと大烏達は去っていった。
その時、ドラゴンが大きく動いたので、天野と弥生は振り落とされてしまった。
弥生は黒い忍者服を広げてムササビのような状態になると空を飛行した。
天野も弥生の真似をして忍者服を広げて空を飛行した。
天野は久野井忍者道場で飛行の仕方を習っていたのだ。
異能が空に飛び出すと、矢のように青い風のポン太が飛んできた。
異能はポン太に乗ると天野と弥生を拾ってポン太に乗せた。
ポン太は異能と天野と弥生を乗せて空に舞い上がった。
「大丈夫か?」
大空航一が心配そうに飛んできて言った。
「もう終わりにしますか?」
竜崎が大声で言った。
「そうしましょうか」
そこで異能達は竜崎と別れることにした。
竜崎は龍の姿のままドラゴンとともに消えて行った。
「いやあ、どうなるかと思ったよ」
天野が苦笑いして言った。
「大丈夫、いざとなったら空を飛ぶ忍術があるんだから。でも青い風に乗るなんて異能君たらカッコイイのね」
「ははは」
異能は軽く笑ってみせた。
異能達は空を飛んでK市の人のいない道路沿いの空き地に降りると解散した。
異能はその夜魔法協会に提出するレポートを書いていた。
魔法の眼鏡に写した動画を見ながら書いたのだ。
今回の目的はドラゴンの扱い方を学ぶことと空に異常がないか調べることだった。
大烏の群れがいることは聞いていたが見たのは初めてだった。
時空の歪みから翼竜が出てきたのも初めて見た。
『何事も経験することが大事だな』
異能はそう思いながら寝ることにした。




