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転生忍者天外屋法市  作者: 萩武


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第16話 忍者喫茶『くノ一』

 忍者喫茶『くノ一』は弥生が実験的に開いた喫茶店だった。

 店のコンセプトはくノ一に会える喫茶店である。

 忍者喫茶『くノ一』は久野井忍者道場の近くにあった。

 久野井家が所有する空き家を有効活用するために造ったのだ。

 弥生がバイトして貯めたお金を株で増やして店を運営する資金にしたのだ。

 弥生はお金儲けが目的ではなかった。

 忍者文化を普及させることが目的だったのだ。

 週2日の営業だった。

 初めのうちは久野井忍者道場で稽古した後に店に寄る練習生がお客さんのほとんどだったが、口コミで自然とお客さんが増えてきていた。

 店のメニューはコーヒーとサンドウィッチだけである。

 キッチンには調理師の免許を持つ弥生の兄が立っていた。

 ある日天野は弥生に誘われて忍者喫茶『くノ一』にやってきた。

 天野が席に座っているとピンク色の忍者服を着たくノ一の格好をした長い黒髪の若い美女が注文を取りにきた。

 「忍者喫茶『くノ一』へようこそ。ご注文をどうぞ」

 天野はくノ一のコスプレ姿の女性の接客を受けてドキドキした。

 メイド喫茶に来ているような感覚だった。

 「ホットコーヒーをお願いします」

 赤い忍者服を着たくノ一姿の弥生がニコニコと笑顔を振りまきながらやってきた。

 「くノ一姿の接客をどう思うかしら。今の女性は私の姉よ」

 ピンク色の忍者服を着たくノ一のコスプレ姿の女性がコーヒーを持ってきた。

 「いつも妹がお世話になっております。弥生の姉の富士子です」

 「こちらこそ。妹さんにはいつもお世話になっています」

 「天野君、コーヒーを飲んだらこっちへいらっしゃい」

 天野はコーヒーをグッと飲むと弥生の説明を聞いた。

 「天野君、ここではお客さんが手裏剣を投げる体験ができるのよね」

 喫茶店の隅に木の的があり、手裏剣を投げることができた。

 3人の若者達が手裏剣を投げて遊んでいた。

 忍者マニアというのは結構いるものである。

 忍者姿で店にやって来るお客さん達もいた。

 くノ一のコスプレ姿の女性はなかなか人気があった。

 くノ一のコスプレ姿を見るためにわざわざ店に来る人達もいた。

 弥生や富士子もお客さん達から要望があれば写真撮影に応じていた。

 まるでアイドルである。

 練習生の女子達がバイトで時々店に入ることもあった。

 くノ一姿で接客することに興味があったみたいだ。

 店には忍者漫画や忍者関係の雑誌やアイテムも置いてあった。

 それらに触れて忍者文化に興味を持ってほしいという狙いがあった。

 時々練習生達の忍術の発表の場として忍者コントというのをやっていた。

 忍者の技とお笑いを融合したものだ。

 それがきっかけとなって芸人デビューした人達もいた。

 お客の中には久野井忍者道場に興味を持って入門する人達もいた。

 くノ一アイドルを目指して久野井忍者道場に入門する女子達もいた。

 理由は何であれ忍者文化に興味を持ってもらえればいいと弥生は思っていた。

 「弥生さんてやり手なんだね」

 「やるしかないのよ。わかる。天野君」

 天野は感心しながら将来の花嫁を見ていた。

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