第15話 魔法で雨を降らせたよ
C級魔法使いになった異能達人に初の仕事の依頼が魔法協会からあった。
雨を降らせてほしいという内容だった。
初仕事は魔法使いらしく異能者との揉め事を解決するとかの仕事かなと異能は思っていた。
C級魔法使いの間はA級魔法使いの指導のもとで仕事をすることになっていた。
C級魔法使いはいくら能力が高くても経験不足なので指導者に教えを受ける必要があるのだ。
魔法使いの仕事と言っても漫画やアニメみたいに格好良く戦ったりするわけではないのだ。
魔法使いというのは人間の手に負えない物事を解決する高度な便利屋みたいな存在なのかもしれなかった。
雨を降らせてほしいと依頼してきたのはK市の隣にあるA市のA市役所だった。
今は人工雨を降らせたりする技術があるが、雨乞いをする習慣の場所は結構あった。
異能を指導するのは知念という中年のA級魔法使いだった。
異能は自宅の庭に立つと風の魔法で風を呼んだ。
ポン太という青い風が吹いてきて舞い降りた。
「どちらまで」とポン太が言うと、「A市役所まで頼む」と異能が言った。
青い風のポン太は異能を乗せて空に舞い上がった。
しばらく飛ぶとA市役所の前に到着した。
異能が地面に降りるとポン太は空へ帰って行った。
するとどこからともなく一人の中年紳士が現れた。
今日異能を指導するA級魔法使いの知念だった。
異能は知念と初めて会った。
知念は異能が優秀な超能力者だと知っていたので興味を持っていたのだ。
異能と知念は挨拶をすると、
「雨を降らせるのは簡単ですが、問題は雨をどんな感じで降らせるかです」
知念が言った。
「なるほど」
「理想的な雨の降らせ方はだらだらと長く普通の雨を降らせることです」
二人はA市役所に入ると担当者に挨拶をした。
「私達の市はなかなか雨が降らないことで有名なのですよ。農家の方が多いので雨が降らないと大変なのですよ。今日はよろしくお願い致します」
早速市役所の男性職員の案内で異能と知念は近くの市の空き地へと移動した。
「異能さん、それでは始めて下さい」
知念の言葉を聞くと、異能が雨を降らせる呪文を唱え始めた。
からからだった空が黒くなると、雨雲がどこからともなく湧いてきた。
雨が降り出した。
市役所の職員が感心したように頷いていた。
弱い雨が段々と強くなってくると、ピカッと稲光が走った。
豪雨になると洪水とかになるのでまずかった。
異能はとにかくだらだらと雨を長時間降らせることに成功した。
雨が小降りになったところで異能の仕事は終わった。
市役所の職員に礼を言われて二人は市役所を出た。
「うん、やっぱり異能さんは優秀だな。初めてにしては上出来ですね」
知念はそう言うと異能と別れてあっと言う間にいなくなった。
異能は青い風のポン太を呼ぶと空へ舞い上がった。
異能は初めての魔法使いとしての仕事を無事に終えて満足感に満ちていた。
『今夜はぐっすり眠れそうだな』
異能は自分が降らせた雨に打たれながら空を飛んでK市へ帰った。




