王道一直線
「……あ、安心感だよ」
金ちゃんが小声で言いました。しかしその瞳は、しっかりと力強いです。
「ほう……? 安心感とは?」
アタシは少しからかうように問い返しました。
「まぁ、俺も上手くは言えねぇよ? ただ、俺達の演歌ってジャンル自体がそうだろ?
知らなくてもいいんだよ。『なぁ〜んとなくこういう流れで進むんだろうな』って安心感があるだろ?」
金ちゃんの声に、だんだん力が入ってきます。
はい、これです。これこそが私の好きな金ちゃんです。
「だから幼女ちゃんシリーズもそういうことなんだよ!
アレには決まった流れがある。ファンはそれをわかってる。だから俺は、それを裏切らずに答え続けるだけなんだ!」
あぁ、金ちゃんの力強い言葉……
アタシはそれを待っていました。
思わずアタシの声にも熱がこもります。
「なるほど! つまり、奇を衒わずに王道一直線という事ですね!?」
金ちゃんはアタシに向かって指を突きつけました。
「そう、それだ! 王道一直線! 所謂、水戸黄門スタイルだ!」
皆さん、水戸黄門スタイルというのはご存知ですかねぇ?
悪い奴が出てきて暴れて、でも最後に印籠を出して「待ってました!」と解決。
お決まりの流れでありながら、印籠の瞬間が爽快な、あのスタイルです。
金ちゃんの例えは、実に素晴らしい。
「それに、師匠と俺の魂の形が似てるって言ってたけど、ちゃんと違いはあるぞ」
「……ほう、その違いとは!?」
「師匠は水戸黄門だけど……俺は『お銀』だ!」
皆さん、これわかりますかねぇ?
これ、私、皆様に金ちゃんが師匠の棒ちゃんの魂を盗んだと思われたくないので、ここはお時間取って説明しますよ?
水戸黄門の物語には、助さん角さんという側近がいるんですね。こちらは皆様も聞いた事があるのではないでしょうか?
ただ、仲間はそれだけではなく『うっかり八兵衛』や『お銀』という個性的な仲間もおるんですよ。
いやぁ、金ちゃんの魂の形がわかりました。
まぁ、師匠の水戸黄門物語を真似するだなんて、金ちゃんがするわけありませんもんね。
金ちゃんは水戸黄門物語の主人公をお銀にして自分の魂の形としたのです!




