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帰る島

やっと戻った生まれた島。

平穏の日々は。。?


(かがり)の火を誘う」


家族に囲まれた灯籠(とうろう)に火がつけられる。

ポツリポツリと夕暮れの丘に光が灯る。


「影りの中イスダーク神に祝福を。我がシューリヘトより風の神アネモイヘの祝福よ。天にある祖先へと導きたまん!」


ゆっくりと浮上しゆらゆらと。

自然の風をまとえれば良い。

けして抗わず、風の流れに合わせる。


初めて見るのか、カネラは興奮していた。

どうしても見たいと側で手を握り。


既に薄暗くなったレグザの島に灯籠が上がる。


そう。何時ぶりだろうか。


僕は久しぶりにレグザの神殿で灯籠祭を仕切る。

以前より数も減り、若い島民も減ったと思う。

だけど皆僕の姿を見ると喜び、感謝し。守って良かったなぁと思う。


ネプトゥヌス神殿がオレンジ色に輝く


灯籠の様々な色の色紙に反射し


夜空の星に向かいそれぞれ吸い込まれていく



 僕はお婆さまに久しぶりに会えた気がした。



…帰るの遅くなりました。お婆さま。


―よく帰ってこれたのう。安心じゃて、よろしく頼むぞ。シュー坊や―




 竜玄歴 1209 8月盆

僕達は久しぶりにレグザに戻った。




□□□


「さぁさぁ!取れたてだよ!」


「いい果汁酒ができたぞ。早いもん勝ちだ」


「レグザ名物レモレモの挟み焼きはどうだい?」


 一度攻められて崩壊してから、灯籠祭のあとネプトゥヌス神殿の前の広場で縁日が立つ様になったと。ここの島民達は殆どあの時に炊き出しを行い、助かった事に感謝を共有すると決まったらしい。


 最近では灯籠祭よりもこの縁日を楽しみに島民は戻り騒ぐ。助かった事に感謝をしながら神殿に集まった事を感謝する。


「ぶひぃい!これもイケるです。なんと魚料理が多くなったことか」


「確かに…あれから7年でこうまで賑わうものか」


「シューリヘト様!お変わりない姿。。。ううっ良かった良かった…」


「あれ?ハッサ!久しぶり〜」


 聞けば厨房長として屋敷にいたハッサは下町に残りレストランを経営してるという。テムも手伝い、他国に買い出しや店の手伝いをしていると。


「教わったレシピを改良したり合わせたり。特に揚げものは人気で喜ばれます!…シューリヘト様のレシピをみなに漏らしすみません」


「気にしなくていいよ♪レシピは皆に使ってもらい進化するしーこの酢漬けも美味しい♪砂糖と唐辛子をちょい乗せて。。」


ジャジャーンと南蛮漬けの出来上がり。


「流石ですね。。今度店にゆっくりと来てくだされ。料理でいろいろお聞きしたい事もあります」


「うん。テムにも会いたいし」


 露店ぽいが行事ですぐに建てれるように組み合わせ式の露店。広場の中央では篝火がパチパチと音を立てる。シューリヘトを見ると皆寄って来て、感謝や食材を渡す。


………僕って島民からみたらこんな感じだったのかな?


「お酒も美味しいら〜エーリス歌でも歌うか〜♪」


「…相変わらず残念な聖女様ですね。少し付き合ってきます」


「うん。お願い。。すぐ寝ると思う」


歌声が鳴り響き皆注目していると、

ヒョンと持ち上げられ肩に載せられた。


おお。景色が良い。


「シューリヘト様。駆けつけてきました。間に合い良かったです。島の神儀式は綺麗ですな〜」


「ヤノス!相変わらず大きいですね〜」


「前のゴタゴタ、国を守れずすみません」


レンツァも側におり、共に頭を下げた。よく見れば騎士団も来ている。騎獣で飛んで来たようだ。少しずつだが、徐々に昔の面子が固まって行くのが分かり嬉しくなった。


「いえいえ。長く留守をしてこちらこそ。父上、兄上もお世話になりました」


「…リュフォーリル様は大事なのでしょうか?」


「母上はもう次期目が冷めます。この数年記憶を失いこの島で住むようになるかと。吸血鬼は倒しました」


 パルテノン神殿の出来事を話す。 

この数年、いや人質であった頃から変わってしまった理由も含め。大きく驚いていたが、二人共に安堵した表情を見せた。


次に来たのはカロミラである。


「!まだあんま無茶しちゃダメだよ!」


「もう生まれて8月は立ちます。安心ください。ほらおじちゃんだよ〜ラインハルト♪」


「だーだー?」


ううっ。。またおじちゃんになった。。。

しかし髪の色も目もラインストーン兄上とそっくりだ。元気そうな男の子。赤子は癒やされるよね。


『クークー?』


スライムのアクが飛び出す。

興味津々でポニョポニョ近づく。


「あらあらアク様。遊び相手になってくださるの」


芝に下ろし、はいはいしながらアクと遊ぶ。

なんかほんわかした雰囲気で、クリル達も座り抱き合いこしていた。


「アク様の感触!ああ。。気持ちいい♪」

「昔よく遊びましたね?リリル♪」


『クークー?』


島の子供達も来て一緒に遊び出す。

島民は皆笑顔で楽しそうにして。

ああ。。この島に帰って来て良かったなとつくづく思う。周囲は賑やかに家族で縁日を楽しそうにしていた。




□□□


 屋敷は手つかずで草木も生え泊まる事はできないので僕たちは下町の宿に泊まる。大通りに新たに出来たらしく、周りの雰囲気にあった赤い屋根。そして目の前に大きな尖柱(オベリスク)が立つ。


30mはあろうだろうか。

多くの名前と、下に僕の名前も刻まれていた。


”レグザの救世主 シューリヘト・オズベルタス・レグナム 多くの者を救い神殿に結界を張り守られ 行方を暗ます”


…なんかとんでもない気がした。


 宿は新しい木の匂いと、石の床が冷たくて気持ちいい。住民の多くは実家に戻るが、商人達も増えて宿でまた飲み会をしていた。そういえば少し街全体が広くなった気も。


「さて。まずは新しい屋敷を作るよう段取りですな」


「あの辺りは変わってないし森も近いので、三月もあれば問題なく治せるかと」


「うん。よろしくお願いします。費用は僕でいいよ。あとは港の拡張と定期航路をピレウスにも」


「ガレオンが入る程度水深を掘るぶひね?技術者を派遣しとくぶひ!あと僕の別荘もほしいぶひ!」


「しばらく様子を見て。リュフォーリル様はできるまで別邸にいたほうがよろしいかと」


「そうだね。できるまで僕も一度ジェノヴァに戻る。みんなに挨拶もしてないからね」


 相変わらず酔いつぶれたカネラを寝台に寝かせ、クリル達も部屋に戻ったあと今後の事を話し合う。一度マルコを連れて来て特産品など話し合ったほうがいいかも。防衛も含め様々な意見が飛び交う。


そんな時だった。


久しぶりに僕の商会証(コレト)が光ったのは。


シュリンプ商会からでもよっぽどの事がないと連絡は来ない。宛先はマルコからだった。



――シュリンプ様、緊急です。港街ナポリが”赤髭(バルバロッサ)”艦隊により強襲。多くの犠牲と持たないと。。ナポリ陥落によりオスマンの勢力がジェノヴァにも向かっています。カネラ様をお守りくださいと教皇より早馬が――



とっさに無意識に立ち上がる。

いや、今すぐ何をしようという訳ではないが。。


背筋にゾクッと悪寒がした。



僕の争いは終わらない。

この世界は救いがない―――



第4章  奇跡の聖杯 完

4章終わりました!長くかかりすみません。。

5章も頑張ります!


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