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次なる目標

どうも慎重になり遅くなりました。

この辺りの時制は今後も重要になります。


では!シューリヘト頑張れ!

竜玄歴1208年 8月

 ジェノヴァ シュリンプ商会


「それでおかしな所はないですか?記憶や体調は」


「うん。大丈夫だよ?・・カネラ〜いい加減離れて〜」


「シュリは私のものでし!ううっ」


「はいはい。カネラちゃんドーナツですよ〜美味しいですよ〜」


「行きまし!」


 復活してからというものカネラはこんな感じで、バチカンにすら帰る気配はない。皆が言うには成長したらしいが。赤ちゃん返りした風にしか見えぬ。。


 今僕の側にはエーリス、アレフレッドだけが残っている。トランポとヌジャビにはお願いをしそれぞれレグナム神国に。コロンブスは初めてあったけど、アメリカ大陸を探すと資金を援助した。


 側使え的なニコレとマルコ。そして久しぶりなアレフレッドに詳しく話を聞いている。ちなみにジュゼッペも来ていた。


「では帝国も落ち着き、十字軍はエルサレムを奪還できたと。プラハやウィーンはどんな感じかな?黒死病を含め」


「はい。フランク王国がウィーンを。ハンガリー神国がプラハを守っており大きな混乱はありません。流行病も徐々に収まり欧州に被害は止まってきました」


「…旧ポーランド領にだがな。帝国が変わり、人種差別が始まってきた。ユダヤ人などは廃墟といえるポーランド領に逃げていると聞く。またファーティマ朝と揉めだすだろうな」


 流石に情報網が豊富なジュゼッペの近況は大きい。


「…ちなみにだが。冬に西ゴードの王女様があろう事にフランク王国に嫁ぐと聞いた。。シュリンプ、いいのか?」


「いいって?政略結婚でしょ?フランクとの争いは消えていいのでは?」


「それが。クリスタ・フェアリーズ・ゴード。お前さんの婚約者と噂で聞いたが?」


がーん!というより言われて気づいた。

クリスタと僕は婚約していたらしい。既にいなくてもクリスタは頑なに諦めないでいた。が、王が亡くなり国としても大国によりそうしかないと。。重い重いぉ!


「むきー!?私というものが居ながら!婚約者などシュリ!」


ああ面倒くさい。。しかしクリスタか。元気かな?


―――言われてみてから気がつく事がある。


僕はずっと何かに巻き込まれて対応して。。

いや、それが嫌なわけではないんだ。

必要とされ、こうして救われて戻れた事に感謝をしている。泣きじゃくるカネラも。側にいる商会の仲間も大切なんだ・・


―――ああそうか。


  今いる事は運命という神の選択にある。

  問題はいろいろあるしどんどん増える。

  でも僕は自分が選択して来たと思いたい。

  だから次にする事は自然と浮かび上がる。



「みんな。聞いてくれないか?母上を救いに行く。協力してくれないかな?」


 みんな分っているんだろう。また主が無茶言って。

返事や服従ではなくて。困った顔をしながら”しょうがねぇな〜”と近づいてきた。僕は葉に噛んで笑うけど。


………その時が心より嬉しかった。


「もちろん行きますよ♪」


優しく手を握り微笑んだカネラにドキッとした。

ああ。僕はこの娘に惹かれているんだと。

ちょっと眼をそらしてしまう。




□□□


「それで。ハーデスとどの様な契約を?」


「姉さんしか言えませんよ?冥界の掟は知ってるでしょ?」


レグナム神国で決められた事は数多いが。

『神との契約』に関してはシンプルだ。


『話しては行けない。疑う事は行けない。感謝を忘れては行けない・・』


この事を怠ると、加護は失うだけでなく。

世捨て人となり能力だけでなく人として人格を失う。

首都アテネの郊外で浮浪者が多いのはその為で。

彼らは貧民街(スラム)に住む神無人(リティメノス)と呼ばれる。

単純に浮浪者となり恵みで生きているだけの人である。

過ちは老若男女平等に陥れる。

現実もそうで有るように。


ヌジャビはハーデスと契約をし冥界の案内役を受けた。それは見えない鎖が心の臓を絡めつけて。ヴァシリキはそれ以上は追求する事がなく去って行く。


「シューリヘト様か。冥界から戻れし聖者。。」


懐かしい短い草木の生えるレグナム神国を歩く。

空はとても太陽が注ぎ虫たちがなく。

石畳は紀元前にできたものだが歪みもなく。

二つの革靴が音を出し進む。


「さぁ。我ら母国に主を戻そうか。トランポ様」


「ようやく。。この国も落ち着こうぞ」


「あら?ぶひはいいのですか?」


「どちらでもよいでぶひ。では参ろうか。シューリヘト様が来る前に安全な所ヘ移動するには某方の能力が必要不可欠」


「はい。心得ております」


「「「我ら黒潮衆も命をかけ!」」」


首都アテネの丘が見えて来る。

いつも見る景色に変わりはなく日の光に映えてみえる。


シューリヘト様より願われた依頼は。

領主である双子を安全な所ヘ。


レグナム神国は新たな局面を迎える。




□□□


 リュフォーリルは焦っていた。

国をまとめることがこの様に大変な事業だったと。


レグナム神国は元々貿易で栄える国であった。

が、東側オスマン帝国の混乱、そしてイタリシ共和国の好景気。大理石など家財は売れたが、その分単価が下がる。

また重量が大きく船で運ぶには向かない代物であった。東小三国の復興に向け人手も流れていき。気がついた時には財政は圧迫していた。


欧州でメリットにもデメリットにもなるのは。

好景気の場所に人員が流れやすく戻らぬ事も多い。

良くも悪くも陸続きで止めようがないのである。


これは側近を切ったからこそ情報が入らないことも関係した。

そして他国の王族と関係が薄くなった事も影響する。

苦肉で打ち出した関税を上げた事は更に悪循環を呼ぶ。


「…お母様。顔色が悪くてよ?」


「よく眠れないのかしら?暑い時期になりましたね」


「うるさい!黙って食べなさい!」


「「…はい」」


この所ますます厳しい表情をしてまともな会話はない。

11歳になった双子は成長し見かけは母に良く似てきたが。母子の間は縮まる事もなく広がっていた。


経済が悪くなると治安も悪化する。

教皇が強くなった影響か、神殿派の中でも武力を持つべきと広めるものも出てきた。北部テッサロニキではその新教が流行っているという。十字軍の偉大さと聖女様の慈悲を重ねながら。


そうしてこの七月の終わりに。

中都市テッサロニキで内紛が起こり行政府が攻撃された。

主犯で旗を掲げるのは奇しくも失脚されて北部にいた、ロンツォ・ニードルであった。この事実は首都アテネを脅かす。


多くの粛清で元重臣はこの世にいないが。

その家族や親族の中には逃れたものもいる。

ロンツォ・ニードルは過去の英雄でもあった。

火の神ウルカヌスの加護を持つ「炎の狼魔術士(エンダファ)」と呼ばれ領主カルツァ共に侵略国と戦った。それもオフリド大司教の正式な祝福を受けテッサロニキをまとめていく。


少しずつ旧重臣派も力を取り戻す。

これは王宮内でも同様に連鎖する。

古くからいる重臣は、長く権益があり、そう簡単に排除ができない。



この事が更にリュフォーリルを苦しめる事になる。


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