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あと語り

お待たせしました!

この章はもう少し続きます。


 此度の遠征は秘密裏に行われた。


 聖女カネラがエルサレムに行くと聞く事より教皇が描いた戦略であった。十字軍は東小三国の開放で大きな成果をもたらしてくれた。資金も援助も増える中でやはり出てくるのは力を示すべきだと。


 正直成功の裏に沢山の犠牲がある事は分かっいる。無理に攻め世を混乱させる事も危惧をしていた。ただ、『聖地エルサレムの奪還』はとても魅力的な言葉である。


 このイスラム勢力が欧州に攻め込まれ500年の間。聖地エルサレムは長く占領されているだけでなく、東方教会など勝手に作る勢力もでき教皇一派としては手が出せない状況が続いた。


 5000の兵を募集したらその倍近く集まる。これは神兵として守護兵なのでなく。十字軍という職業ができたと言える。周辺国より個々にイスラム教へ恨みもある。そうした傭兵が増えていた事も原因であった。


「まさかファーティマ朝の宰相アル・アフダルより使者が来るとは思わんだ。。」


「オスマン帝国は既に分裂し、同郷であろうとも争いが絶えません。また、異教徒の対応はどうなるのか探りを入れているのでしょう」


教皇の秘書長(カメルレンゴ)のジョレルは自信に溢れていた。イスラム教国より使者が送られるのは欧州とっても初であろう。内容は協同戦線を引くと。一緒にセルジューク朝をイスラエルから追い出すと提案が。


「それで私が呼ばれたのですね。大義としては聖女様を守るという名分で。して目標は?」


「すまぬなゴドフロワ。そなたの先見的な交渉術と、状況判断に長けている事に委ねる。聖地エルサレムを奪還。トリボリは既にファーティマ朝が抑えておる。補給をし北上アッコン港を落とし南下せよ」


「御意!」


「・・簡単に口にする事はないが、きつく厳しい戦いになる。着けばファーティマ朝の言う事は聞かんでよい。守れ!」


「ハッ!聖地住民、イスラム教徒は如何に?」


「全て任せる。神の名のもとに祈ろう」


  ―――神の名のもとに。


  とても都合の良い風に捉えろと。


  ゴドフロワは振り返り去って行く。



 

□□□


 オスマンガレー船は川に佇んでおり、コロンブスとジャックが迎えてくれた。騎士が二人死亡。それだけで済んだ事は幸運に思える。


「しかしいつの間に十字軍が?何か聞いていますか?エーリス知っているのでしょう?」


「聖地エルサレムの奪還が目標と聞き」


「なんと!それは思いきった事ですね!おかげで追っても来ず。十字軍には頑張ってもらいましょう♪」


「…聖女様。我ら騎士も十字軍に合流しようと考えます。絶好の機会であり少数としてもお役立てれば」


「ユーグ。構いませんがせめてもの傷を。大天使ミカエルに祈り給う。。。あれ?癒やしがでない?」


「カネラ様は既に主神をアテネ様に捧げているぶー。そちらでダメぶひ?」


「戦と知恵の神アテネに祈り。。回復しべき実りの果実を此処に。。おお♪はい林檎です。回復しますよ!」


ポンポンと林檎を出しては騎士に配る。

聖女が入れば食事に困らないなとイリダは思った。


 ユーグは林檎をもらい身の上話をしてくれた。

実は単にフランク王国の脱走騎士ではなく、失脚したフィリップ1世の弟であった。その事は首にある紋章が証明してくれた。


 十字軍ヘの憧れ、また自由に生きる姿に見惚れ大将ゴドフロワに信頼を置ける事になる。彼自身エルサレムを占領後も残り、テンプル騎士団を立ち上げる立役者になるのはもう少し後の事である。


「それでは!ピヨピヨス!出港です!」


「…もう既にスしか合ってませぬが。はぁ帰るぞ!野郎共!」


「「「おー!」」」


 歴史の通りではないが、無事に聖女カネラ率いる聖杯奪還は成功し、無事に戻る事になる。被害は騎士二名と水夫が怪我人少数。今までで一番被害が少なかった。



□□□


 主要な人物が地下ネクロマンディオに集まった。

レグナム神国北西、コルフ島が近く穏やかな丘が組まれる間にポツンと地下ヘの空洞がある。古きからの教会だろうか。

その地下にハーデスを司る神殿があった。まさに地下神殿という冥界ヘの入口のようにひっそりと。


 帰郷、そしてシューリヘトをプラハより運ぶ段取りで既に暑い七月の半ば。空はギラギラしていると相反して神殿は冷気を纏う。


「では。段取り通り私が」


「エーリス姉さん。何か伝言ある?」


「ヌジャビ。あなたは一族を継ぎ守りなさい。主が起きればまた感謝をお伝えください」


「…エーリス。私が替わり。。」


「いえ。この『反魂の秘術』は我が一族しかできませぬ。よいのです。その為に生かされておりました」


「エーリス様!」「ううっエーリス様」「・・エーリス姉御」


「黒潮衆も恙無く。幸せにお成りなさい。――我が主神ハーデスに祈り望むもの・・テラ・サルートヌ・ゲニネソシス…」


祭壇より紫色の煙が出る。

ここより先は手を出す事ができない。

聞かれない発音とエーリスの表情が怖ばり。

聖杯を手に手首を切り血を落とす。


 ぼとりぼとりと


ヌジャビが割り込み自ら手首を切り血を。


「!なにを!?」


「まぁ姉さん。冥界に行くのは二人でも行けるでしょ?それに僕の主神は半神半人のヘラクレス。うまくいく」


 聖杯は簡素な木で宝石が軽く一つついているだけの代物だったが。血が入るに連れて紫色に染まる。また溢れんばかりの血を惜しむことなく吸収する。


「・・カネラ様神の血を」


   コクリと頷きエーリスに渡す。

  指でスッ――とシューリヘトの首筋に掛ける。

  そして聖杯に注ぎ。


  寝静まるシューリヘトの口元に注ぐ。


―――次の瞬間シューリヘトの棺桶と共にエーリス、ヌジャビが倒れた。予定通り、冥界へ交渉に向かう。



☼☼☼


んんっ・・ ここは?


洞窟かな?


見たこともない深い洞窟・・


・・クークー!


あれ?アク?どこにいるの


―――ん?人がまだ彷徨いておったか


だれ?クーはどこに


―――其方は理解するのか ここは冥界


・・死んじゃったのか 閻魔さん?


―――随分久しい呼び名である ほほぅ 他にも二匹



…シューリヘト様!帰りますよ!

…起きてますよ。姉上。


頭の奥で声が聞こえる

 なんだろう懐かしい声が

   視界がボヤける 

    何かをいい合っている


…真っ直ぐ クー様の呼ぶ方へ

…振り返らず 私達も後で・・


《もぅ!早く起きなさいまし‼》


ひやぁ!ごめんごめんⅯ⑥◁ⅹ□≯。。。


 クークー!

 クークー?

 クークー♪

 クークー…



  うっ眩しい ここは  


  ・・・・・・

 

  ・・・・・


  ・・・・


  ・・・


  ・・


  

―――ゆっくりと目蓋(まぶた)が開く


「シュリ!シュリ!ふぇ〜ん!やっと起きたよぅ。。私頑張ったんだから!」


眼の前にカネラが抱きつき泣いていた。

相変わらず泣き虫だなーよしよし、と。


「えっと?おはよう?」


「シューリヘト様!」「シュリンプ殿!」「主!」「シュリ様!」「坊っちゃん!」「ぶひっ!?」「神の子が。。」「・・おはよ」



「「「復活された!」」」


 周りは洞窟なので声が反照する。

徐々に自分の状況が解り。

手をグーパーしたり右の義手を上げ下げ。

うん何も変わってない。


「ねぇニコレ。僕どのくらい寝てたの?」


「ううっ。シュリンプ様・・そうですね約一年ですか」


………ぬぉおっ!またやっちゃったのか。

そういえば少しずつみんな成長しているな。


立ち上がりジャンプしてみる。



    「「おおっ!」」




…みんな反応が大げさだよ。

棺の横に二人寝ている。手はまだ血が流れ。。

治す事は自然と思い浮かぶ。


・・なんだろう?少し変わったのかな?


僕の魔力はより強く。

見ても聞いてもいない祝詞が思い浮かぶ。


「さあ起きて?エーリスと弟くんでいいのかな?えい!『神水洗波(じゃばー)』」


風と水流、そして金色の水。

顔をびしょびしょにされたエーリスはぱちくりと目を冷まし、ヌジャビは鼻に入ったのかゲホゲホむせて目覚めた。


「・・生きているのですね。シューリヘト様もう一度会えるとは」


「うっ。ひどいなぁ〜冥界まで交渉に行ったのに。ゴホンゴホン!」


「エヘヘ♪ありがとうみんな!シューリヘト・オズベルタス・レグナム復活でし!」


「「「おお!」」」



姉弟の顔色は青かったが回復し。

手首の傷は既に完治しており。

魔力が更に高まった様子の神の子供。


首筋に綺麗青いラインが入れ墨のようであるが。


あの時と同じ綺麗な目をして葉に噛んで笑っていた。

カネラはわんわん泣いて。

トランポはぶひーぶひーと混乱している。

黒潮衆はエーリスによりすがり。

皆は集まり騒ぎ出す。


その奇跡を、聖杯の奇跡を喜んだ。



ここに再び『神の子』が動き出す。


  ―――物語は創られていく


シューリヘト復活です!


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