思いがけない援軍
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お待たせしました。
少し長くなりましたエルサレム攻防編です!
無事に聖杯を持ったトランポは精霊の後を追い階段を駆け上る。既に地下深く入っていたのはトランポ達が先であった。音は段々と大きくなる広場へ向かう。
「カネラ様!ご無事で・・ないでぶひね?」
「おおっ!猪八戒!早くこいつらを倒せ!」
広場は既に半面がオリーブの樹で埋もれ。中央に大きなオリーブと聖女カネラが枝を伸ばしつつ守護神と縺れ押し合っている。既にトロントという魔獣にしか見えない。
その遠方ではエーリスやヌジャビが別のガーディアンと戦っている。
「ここも。。神の加護が効果ないようですね。索敵が効果せず。しかし聖女様はあんなオリーブ生やして・・?」
「気にするでないユーグ殿。どうせ加護でなく私が神だとか言う。魔法は使えないので其方の出番だぞ?」
「アレッソ、あの炎弾は使えそうか?」
「いや。。私は丸焼けになる気はない。そしてこの地下空間。皆窒息するぞ?」
「では炸裂弾か。行くぞ!」
アレフレッドが飛びだすと、アレッソは収納袋よりダイナマイトの様なものを渡す。器用に火をつけガーディアンに投げつける。
爆音と共に木っ端微塵に吹っ飛んだ。もちろんオリーブもだ。
「ああぁ。。オリーブちゃん。。焼きオリーブになっちゃう!」
「では私共も加勢を。シルウェス、横風連刃!」『スースー!』
風の刃が波打つ様に連打で入る。
削られる様にまたガーディアンが一つ崩れた。
――広間が落ち着くのはそれから半刻の時がかかった。
所々残り火やオリーブの匂いが立ち込める。10体いたガーディアンは動く様子がない。というかボロボロで土砂と変わらなく。
「ふぅ。終わりましたね。聖女様」
「…皆生きてますか?なんなら祈りまし。――豚の精霊よ。天に登り人に生まれ変わり…」
「…かろうじで生きているぶひ。一番元気なのはオリーブの檻にいる子供達でぶひ。お腹減ったぶひ…」
「トランポ様。守護神の止め方も石版に記されていると思いますが?」
「……すみません。爆薬で扉もろとも木っ端微塵です」
アレフレッドが申し訳なさそうにエーリスに謝る。
まあ確かにその方が早いが結果として守護神は全て破壊した、また聖杯も手に入れれたので良しとする。
周囲を見渡すと皆ボロボロで傷だらけである。
オリーブの木は意外と硬いのだ。
「・・少し休んで帰りましょう」
「「「賛成!」」」
カネラはシュリンプの収納袋より料理を出す。
何故か食事が多く入ってあり、ジェノヴァの懐かしい味がほっこりさせてくれた。バケットにいっぱいの野菜と生ハムのカスクート。
トメトとラディッシュ、そしてはちみつマスタードと分っている。少しアクセントでそこらに落ちてた黒オリーブを載せケチャップも駆け渡す。
「…あの。このオリーブって」
「出来立て神の祝福でし!旨ぁ!」
『スースー♪』
「シルウェスが食べるの初めて知った。。」
「うん!美味しいぶひ!!もう一本くださいぶひ♪」
しばらくゆっくり休憩をする。
守護神の頭部がこちらを見ているが、もうあの赤い眼は消えていた。ゆっくりと小さな子供が持ち上げる。
「うん♪いい素材だね。なるほど〜可動部はオリハルコンか。。ふむふむ!」
「こら〜レオ。遠く行ったらダメだよ〜」
「はーい。あ、姫様、僕もオレンジジュース頂戴!」
□□□
「それでは岩のドームはものの抜け殻とな?」
「は、はい。どこに逃げたやら。。しかし聖岩、原初の聖典は無事でございました!」
「盗みではないのか?・・ふむ破壊だけでもないとすると目的はなんだ?聖遺物としても特別なものなど。。」
既に教会を包囲する形で4000の兵が取り囲む。円形広間に入り司令室とし、一般の客も既に封鎖している。応援で南に兵を送っていなければ万を超す兵力はあるのだが、いないものは仕方ない。
ゆっくりと髭を揉みつつ考える癖がアドズズにあった。
少人数と地下という事もあり、どうも攻制に出せず時間が立つ。また地下で音が消えたのも原因の一つである。
既に守護神に倒されているならそれで良い。地下探索で200名程失った苦い経験が足を止めていた。
「あの。。どうしましょう?散策に下ろしますか?」
「…しばし様子を見る。近くの下水もよく見張れ。どこに出口があるかわからん」
「ハッ!」
・・しかし何か嫌な予感がする。
「おい。ラビ・シフの様子はどうだ?トゥーマルトはどうした?」
「それが。。戻られてませぬ」
「・・まあ良い。カルファを呼べ」
「それが。カルファもお姿が見えず…」
「なんだと!門を見に行ったのではないか?」
「ハッ!その通りでございます。東門より北門を周りつつ西欧人を探しておりましたが。。近衛共に連絡なく姿が」
「くそっ!何故それを直ぐに言わん!」
「ハッ!申し訳「敵襲!敵襲です!北門より敵団隊がエルサレムに向かっております!」
「なんだと!規模は!どこの軍か!」
おかしい。この辺りに他軍などいる筈はない。西遼は遙か南東におり、早くても二週はかかる。まして北よりならアッコンや馬喰が連絡を寄こす筈だ。
「で、伝令!アッコン港は落ち、脱走兵が南下していると!」
「報告!敵襲は赤十字旗を持ち!十字軍です!」
「北門より!その数八千!半刻後には門へ!」
「西の海岸に軍船多数!上陸を開始!エルサレムへ寄って来てます。。ファーティマ朝の軍船ガレーです!」
な、、、なんだと!!?
何が、何が起こっているのだ・・
何故?どこで間違えた?情報が何故。。何故だ!
竜玄歴 1208 四月後旬
聖地エルサレムは十字軍に侵攻され。
十字軍は聖地エルサレムを奪還する事になる。
ただ、城壁も高く攻城には時間がかかり一月の乱戦が繰り返される。思わぬ抵抗で物資が少ない十字軍は苦戦強いられた。
その恨みが深くなったせいか。。
犠牲が多かったせいか。
―十字軍は街に入ると神の名のもとに殺戮を起こし、イスラム教のモスクを焼き討ちした。民衆を含めて虐殺である。モスクに避難した民は膝まで血に埋もれ歩けなくなる程に殺された。
約束されしユダヤ教は一部は逃れたが、他同様にシナゴーグも火に燃やされる事になる。
他教会やその関係者達は捕まり。
多くの司教が殺される。
遅れ7月15日に。
一切の抵抗が無いほどエルサレムが占領され。
正式にエルサレムは占領発表があり。
この十字軍の遠征で総大将たるゴドフロワ・ド・ブイヨンは『聖墳墓の守護者』と名乗り統治する。
後にエルサレム大国と呼ばれる都市国家となる。
ただ。戦争は人を変える―――
あのおどけた表情のゴドフロワいなく。
厳しい表情と絶対なる支配をしエルサレムを守った。翌年援軍が教皇より送られて安定するが、残っていた兵は僅か2000程であった。
イスラムの国が内紛するぎりぎりのタイミングといえるだろう。
協力したシーア派ファーティマ朝も何度か交渉するが。エルサレムを受け渡す事はなかった。教皇の狙いは初めから『聖地奪還』にある。
この出来事が衝撃的に全世界を廻る。
いつしか歴史に残る頃。十字軍の遠征といえばこの『聖地エルサレム奪還』と示された。第一回十字軍の遠征として。
――歴史は都合の良い事を主にとらえる。
あとは都合で埋めて行けばよい。
まるでそれが当たり前で有るように
あなたの知る歴史は本当だろうか?――
□□□
地下道を上がりつつ警戒を怠わず。。ゆっくりと教会へと階段を上がる。人の気配が少ない?外で何かあったのか?
「おかしいですね?兵士も気づいていようでしょう」
「まぁチャンスです!逃げまし!」
階段が細くなり光が。。抜けた先は聖殿堂であった。
もちろん。。大司教が目の前に立つ。
「ヒィイ!ごめんなさい!」
「・・・・」
「ん?あれもしかして。。キリニ?」
「・・・ちっす」
「ブハハハ!ジジイが”ちっす”って!」
「脅かさないでよ〜それで状況は?」
「・・十字軍が攻めてる兵士門行った。でちゃダメ」
「???」
ほとんどカタゴトで聞くに難しいが、どうやら十字軍が北門でドンパチを初めたらしい。兵士は守備に各門へ。教会はこの戦乱もあり侵入禁止。民衆には外出禁止と緊急徴集の戒厳令がつい今し方出された。(翻訳 エーリス)
「分かった。では急いで出ましょう!ピロンクスの待つ船に!」
「・・ちょうどヨルダン川にいると伝言」
「という事は西!行くよ!みんな乗って!」
聖墳墓教会を出てペカサスの馬車を出す。
みんなすぐに乗り込み空へ。。
ドカ!バキバキ!ゴーン!ガン!
嘆きの壁にぶつかりまくる。。
「冗談は胸だけにしてくださいまし!カネラちゃま!追ってが来ますよ!?」
「ううっ。なんかこの壁変なの!認識しないっていうか、魔力感知しないっていうか。。とりあえず上に!」
「「ぬぁあああ!!」」
一斉に飛び上がりGがのしかかる。
中型の馬車は厚い雲に突っ込んでいった。
まるで金色が天に吸い込まれる様に。
「ん?あの光は。。聖墳墓教会からか。皆!聖女様は脱出した!さあこれからが俺達の時間だ!聖地奪還だ!神が望まれた!」
「「「オゥ!神が望まれた!」」」
こうしてエルサレム包囲戦が始まる。
懐かしい祝福の光だとゴドフロワは微笑んだ。
神が望まれた!再び!
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