いざ聖地へ
GWはいろいろ不便ですが。。
ぼちぼち始めます。お待たせしてすみません。
アッコンの港はそれ程広くもなく、スミュルナに比べて物も市場も少ない。ただ港には多くの船が泊り軍船も見行ける。
エルサレムがイスラム教にとっても聖地であり、ナイルより定期的に大型の船舶が行き交うのである。
場所が変わると人種も変わる。商店はより香辛料の匂いが強くなり、服装も皆より隠すブルカやヒジャブが増えていた。
当然の事ながら白人も姿が見えない。敵認識されると兵が来るので、騎士達も白いガラベイヤを着てムスリムに変装する。パッと見は観光客に思えるだろう。先頭は顔の濃いいコロンブスが先導した。
「…この港は通り過ぎるだけです。馬に乗り参ります」
「はい♪聖女様」
「…この子供は?」
「ジェノヴァよりこっそり乗りました!レオナルドです!」
「ヴァシリキは知っているのですか。まぁ邪魔にならないようついてきなさい。。」
「はい。何か役に立つかと邪魔にならない程度食事を与えてました」
声が小さくなるのは理由がある。
この港は半分軍港でもあり、兵士が多く出歩いている。またイスラム独自のカトラスを腰に下げるだけで一般と区別つかない事もあった。
レオナルドが加わったとしても一向は約20名に足らず。3つに別れそれぞれ港を出て。薄い丘の麓にある馬喰に向かう。この辺りはアジアの流れを組んでおり、馬厨という設備がない。馬を扱う一族に金品で譲ってもらう。
□□□
「ヘイ。マイド。ドチラニ?」
「ああ。聖地巡礼だ。歩きでも良いのだが女子もいる」
「エルサレムネ。マダオオイジキデハナイ」
新芽を食べ移動する馬喰は簡易的なテントしかなく、その一族が管理する体制をとっている。馬は12頭借りる形だ。
知らない分高く見積もられたが時期的な物であろう。馬の出産は早春から今の季節が一番多い。飼葉や冬開けで相場も上がる時期である。
「では借りて行くぞ。はぁっ!」
エルサレムはさほど遠くはない。
半日もあれば着くであろう。
コロンブスなど水夫は船に戻り、数頭馬が丘を駆け上がって行く。
「…スグニ伝言ダ」
「イイ金ニナレバヨイデスネ」
空は少し雲り。
また風だけは乾燥した砂を上げる春の事であった。
□□□
「先程馬喰より連絡が。数名欧州人が聖地に向かっていると」
「教皇のものか?視察の可能性は」
「確かにその可能性はあります。が女子も紛れており騎士団というには大袈裟かと」
「エルサレムを奪うわけではあるまい。港の船の動きを見張らせろ。ラビ・シフの差し金か。。?」
アドズズは報告を受けて考える。
エルサレムはセルジューク朝受け入れ住民も問題が減ってきた。方向性は異なれど同じ宗教であり同人種。強いていえばユダヤ人勢力が力をつけている事か。ユダヤ教は先を見て投資話など胡散臭いが、商売は上手い。シナゴーグのラビ・シフ、ジェイコブ・シフの行動はエルサレムでも影響力が大きいのもある。
「トゥーマルトをここへ。ラビ・シフの動きを調べろ。カルファは西欧人の身元と目的をさぐれ」
「「ハハッ!」」
モスクよりアザーンが成り。
人々がモスクに向かう。
アラーに祈りを。
―――アラー・フ・アクバル
町中で声が木霊する。
礼拝堂で祈る姿は異教徒であれ美しい。
この世界は様々な宗教が乱立する。
それもまた 神の教えである―――
□□□
エルサレムに無事到着したカネラ一団はそれぞれ役目を全うすべき散開した。
まず最小の人数であるエーリス姉弟。
そして3人の騎士をつれて『上の部屋』へと向かう。
エルサレム旧市街の南西のシオン門を抜けると石に囲まれた一角が見える。人気は少なく、道も狭くなるに連れ緊張が走る。
「姉さん。着けられてるけど・・」
「人数は10名。特に経験者ではなさそうね」
「では僕が?」
「目立つ行動はやめときましょう。先に進みます」
ダビデ王の墓所。ダビデ廟。ダビデの墓。
様々な呼び名があるが、古来イスラエル王が築いた石の小高い屋敷。古いものだとは分かるが、これが紀元前1000年前に築かれたと聞くと文化は劣化しているとも思える。
周囲がいつの間にか囲まれていた。
この辺りでは見慣れない黒い帽子と
「やぁ。西欧の教会関係者か?なんのようだ」
「私、一度『上の部屋』を見学したくて・・もしや案内して下さるの?」
「…一神教か?それとも神殿教か?」
少し悩むが正直に神殿教徒と話す。
神はどこで見ているか分からない。
「よかろう。私はこの辺りのユダヤ教では顔が効く。ラビ・シフと言う。ダビデ王の遺恨を紹介しよう」
「はい。エーリスと申します。顔を出せずすみません」
優しく異教の者でも案内をする事に騎士達は驚いた。バチカンなど選ばれし家名や手紙がないと入る事すらできない。まして案内などする事はない。
非ユダヤ人も神の下僕となり、神との契約を守るならユダヤ教徒になることができるとされる。この教えがユダヤを広める基本にある。
但し非ユダヤ人とユダヤ教徒には壁がある。
ダビデ王の墓を守る兵士は逆にラビ・シフを見ると頭を下げた。それなりに地位の高い人物であるのであろう。
内部は綺麗に装飾し直され。石の壁が涼しく感じた。
どこか欧州と異なる絵や模様。そうだ模様が目を見張る。このダビデ廟はユダヤ教のルーツともいえるもともとモスクを改造したものである。
「ユダヤ教会はキリスト教会と似ていると思い、またイスラムのモスクワとも異なると思いますが」
「いい点であるな。キリスト教はユダヤ教の真似をして盗んだ。そして勝手に教皇など置き教会の役目も商売にしておる」
「ユダヤ教のほうが古いのですか!?」
「イエスも只一人のユダヤ人であった。…まぁこの話は長くなるので。ほれ目的の『上の間』はこの先じゃろ?」
上の間。
キリストが最後の晩餐を行なったという大きなテーブルがある。勿論食材などなく閑散とされた客間にしかすぎない。
少なくとも目標のものは無く、また隠された様子はない。
「姉さん、外れだったね?」
「何か探しておったのかな?」
「…聖杯を。イエスの聖杯を見たく思いまして」
「聖遺物は教会ではないのかな?まぁすぐ見れる程の物ではないがダビデの墓ではないのぅ。して誰を復活させるのじゃ?」
「『神の子』シューリヘトです。協力いただけますか?」
「・・見返りはあるのか?」
「あなた方は今もこの聖地を守られて居られる。長き歴史に置いて支配者が変われど。次期支配者は数100年続くと思います。その際口利きもできるでしょう」
ヌジャビは声の質を変えそう話した。
もはや駆け引きではなく信頼の関係である。
ラビ・シフは少し考え込み、頷いた。
「よかろう。ここはそちらの神の聖地でもあろう。異教徒を迎え入れるは混乱と同時に発展もある。祖先の言葉を受け入れるとするか」
「ありがとうございます。ではさっそく『聖墳墓教会』へ向かいましょう」
「もう仲間が向かっておるのか?急がれよ。彼処の地下には守護神がおる。既に死んでおるかもしれぬ」
黒い装飾を着たひげの中年が踵を変え階段を下る。エーリス達も後を追い駆け降りる。ダビデの墓を守る兵士は既にいない。
次に聖地エルサレムで爆音の音が鳴り響く。
皆は話さず頷くだけであり、足早に聖地へ駆け出した。
エルサレムの攻防開始合図である。
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