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東の港

 港街スミュルナに辿り着いたのは昼前の時であった。たった14日程度の航海ではあったが、陸地を踏める事は嬉しい。


 市場は賑わい、それでいて欧州とは異なる言葉が飛び交う。


「ラッシャイ。果物オイシイヨ〜」

「イイヒツジ肉トレタヨ!ケバブイカガ?」

「欧州ノオリビオイル!ハダイイヨ〜」

「特製石鹸。オミヤゲニドウ?」


 異なるのは販売物もそうであるが、街内の格好、そして肌の色や人種が異なるのは明らかであった。また独自の匂いや黒人の奴隷も見受ける。南阿州よりこの辺りは奴隷制度が確立している。


「相変わらず賑わっているな」

「主様がいると喜びそうな物が多く在りますね」

「ふむ。では少し早いが宿に向かうか」


 石造りは変わらないが、その材質や色合いは大きく異なる。石壁は黄色く作りも重ねるだけに近い。そして屋根にはからふね屋珈琲な絨毯が飾られており雨防止より時折吹く突風対策というものか。


 市場はより混み合い皆は商業地域(スーク)に足を踏み入れる。カラフルな土産物屋と香辛料が山の用に店先に並べられていた。宿というよりモールの建物に近い横穴を上がり、石壁で囲まれた部屋でやっと一息つけた。


「カネラ様お疲れ様でした。今お茶を準備万端しますね。こちらは主に紅茶(チャイ)を好んで飲むのでいい茶葉が採れると聞きます」


「ありがとう。ニコレ。まだぐるぐる揺れますわね…」


 ニコレは紅茶(チャイ)を垂れてくれ小さなガラス容器入れてくれた。聞く所によるとトルコのチャイはミルクなどを入れず透き通る茶葉の色が綺麗に見えるらしい。

 暖かい所で熱い物をと思うが、スパイシーであり量も少しなので汗が引いた気がした。なるほど、理に適っている。

ちなみに私の記憶である紅茶とはかなり異なり初めて飲んだ味だった。


水桶を準備され体を拭う。ああ。。潮風に当たっていたのでかなりベタついていたから気持ちいい。すると窓から気配がした。


「…黒潮衆のものですか?覗いてないで入ってきなさい」

「ハッ!聖女様色白いですね〜おっしゃる通りザハロです。音は立ててないのですが。流石聖女様!」

「見えない分気配でわかります。いい身体でしょう?ウフフ」

「胸が大きく羨ましいでし!」


「物音がし失礼します。ん?ザハロ窓より来たのか?」

「エーリス様。お久しゅう。この街は路地が混み合うので屋根伝いのほうが早いのです」


容姿を整え、屋上の中広場にて報告を受ける事に。

この宿は大きな部屋もなく開けっぱなしの窓なので屋上のほうが気安いのだ。



□□□


「キリニは既にエルサレムにて。聖杯を調べております。私も現地にて捜索を行いましたが、はっきりとした場所は解らず」


「とはいえそのまま表情。目星はつくのか?」


「はい。笑顔は絶やさず!主な所は散策終え宝物庫や聖遺物保管庫などには在りませんでした。となると三つ程警備が厳しい場所があり。そのどこかと思いまする」


伊達に隠密衆と名乗るだけの実力がある。

ザハロは音を消し、虫を使い捜索にはもってこいの人材でもあった。


「………その三つの場所とは?」


「一つ。『上の部屋』と呼ばれるダビデの墓にある部屋です。ダビデの墓に近寄れない程厳重でした。二つ。『聖なる岩』があるとされる岩のドーム。予言者の重要地としまた警備が多いです。三つ。『聖墳墓教会(クリストス・アネステ)』の地下です。巡礼服に身を変装しキリニが入りましたが。地下にスカラベを入れ大洞窟があると革新しております」


 全てが全て怪しい事は違いない。

廻りを見渡しカネラは即座に判断する。


「全て廻るにしろ時間がかかります。三隊に別れ聖杯を取り脱出。如何ですか?」


「良いと思いまする。少数精鋭の猛者が揃う上」


「ではそうしましょう。『上の部屋』にはエーリスとヌジャビ。そしてイリダと騎士三人。『聖なる岩』にはトランポ、アレフレッド、アレッソと騎士三人。『聖墳墓教会(クリストス・アネステ)』には残りの者とザハロ案内を。ロコンブスとジャックは沖で駐留いつでも出港準備を」


「「「ハハッ!」」」(…コロンブスです)


「私達はしばしスミュルナに留まる。何か有ればここまで戻ってきてくれ。すまんなカネラ様」


「いいえ。グリマルディ卿には大変感謝しております。皆が皆無事で戻れる用に。神の導きを」


カネラが片膝をつけ祈る姿は聖女である。

皆も同じく躓き同様に祈りを行う。コロンブスだけはなんで名前を覚えられないのか悲しい顔をしていた。。



□□□


 その日の夜は街に留まる。

異国の地であり急ぎたい気持ちはあれど船旅の疲労も積み重なっている。夜空は満天の星で照らされ生ぬるい風が少しずつ冷えてくる。


『ララララ〜ラ〜ララ〜ララ〜♪』


昼の屋上でカネラは歌うと言うより口ずさむ。

この世界は争いばかりで既に目も見えず。

ただやるべき事は増えて来た。


少なくとも決められた事ではなく。

自分で決め歩きだす事を。


「…悔しいですがカネラ様の歌声は綺麗です」


「エーリスウフフ♪ありがとうございます」


「その歌は何処で?あなたは不思議なリズムで歌われまする?」


「私は転生者と言うものでしょうか?それで分かっていただけましょうか」


「・・なるほど。不思議な言動も理解しました」


それから、言えない事も話せれたと思う。エーリスはどこか親戚の姉さんの様に。口うるさいけど心配してくれている。

気がついたら長い時間話ができた気がする。


「エーリスはシュリの事が好きなのですか?」


「好きと言いますか。。良き主と思います。少なくとも救われた気がします。私も部下も争いに使われてばかりでしたから」


珍しくエーリスは過去の話を少しした。

どこかカネラと通じるものがあったのだろう。


「私は好きですよ?ウフフ♪」


「まぁ。お似合いと思います」


「トランポはどうですか?ああ見えていいところありますよ?」


「・・ないですし無理でし」


「アハハ!ウケますね!」


そんな言葉を交わしながら夜も深けて行く。


翌朝。東の為に日が出るのは遅いのだが。

違う神の祈りが街中に聞こえ。

不思議な感覚とともに目が覚める。


「あれが詠唱すべき(コーラン)ですか。。」

「ええ。ここよりイスラム圏ではどこでも。(いず)れ慣れるでしょう」


多くの民衆が祈る声は街中に木霊する。

これが人の言葉で出せる力なのか。


・・聖女カネラは宗教の事は詳しくない。

だけど、いつかこの宗教が世界中に広がる事に懸念を示した。


再び船に乗り込み南下する。

次なる目的港アッコンを目指して。


「さぁ!参るぞ!船隊はもうついて来ない!我が船よっ!いざ聖地エルサレムへ!」


「「オオォ!楷を組め!出港だぁ!」」


皆イスラムの服装に着替え周りからはもう区別がつかない。目しか見えない深いニカーブを被り。

遠く海の向こうを見つめ船は走りだす。

このラ〜ラ〜♪は関山藍果のAestheticでした。

(聞かれてないですが)


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