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海の魔獣カリュブディス

更新が遅れすみません。

バタバタしてますが頑張りまし!


「ん?なんかあれ変じゃないか?近づいて・・」


「渦潮だろ。でかいな・・」


レグナムの東、幾数の中小の島が入り組む。

水路は細くなり、海底面も浅い場所が増えてくる。中級者以上の航海士か、地元の水先案内人を雇う必要がある海域。「多島海(アーチペラゴ)」が語源となったエーゲ海域に船隊は入り込む。


 周囲には島により海流が重なり渦ができる。近寄らなければ問題ないので、船隊は縦の配置で航路を征くが…前方に意思を持ったように近づいてくる渦潮があった。


「いかぬ!カリュブディスの食事の時間だ!総員櫂を持て!走り抜けるぞ!」


 ヴァシリキの声が響く。カリュブディスはこの辺りに出る魔獣のひとつ。元はポセイドンの娘であったが、その欲望により食べれるものを全て食べる大食漢の娘。神の怒りに触れ今の様に。。


「なんだと!?カリュブディスはメッシーナ海峡ではないのか?」


「春に向け暖流に乗り東地中海にも現れます!櫂で全速前進!急げ、あれは戦えるものではない!」


『ウゴォォォオオオオ………』


大きな口を開く様に牙が現れだす。

その大きさは既に10m程広がり船に向かい速度をあげてくる。周囲はまるで竜巻が起きた様に海流が大きく蟻地獄の様に変化した。


「ぶ、ぶひ〜速いでし!追いつかれるぞ〜」


「くっ。。私が神の・・(ゲロゲロ〜)ダメ……」


「カネラ様は撒き餌まかず中で大人しく!要らないものは捨てよ!軽くして速度をあげるぞ!」


皆が一生懸命櫂を掻く。

魔獣ならまだしもカリュブディスは海の中で既に渦潮と同一している。倒すのは海を倒すと同じく不可能である。

できる事は使わないものなど投げ込むだけだ。樽や壊れた櫂、網などが水面に散乱する。


「アレフレッド!これ重いからひとつ捨てるぶひ?」


「トランポ様、、それは。。ええ渦に投げ込んで下さい!」


トランポが腕を巨大化させ木箱をを渦に投げ込む。3m四方の木箱は見事カリュブディスの口に入り。


     ドゴ―――ン!!  

     『・・ギャッ』


    海に船より数倍の水柱が立った。


「う、うぁ波が来るぞ!皆どこでもいいから捕まれ!」


「うひゃ〜すごい爆破。。やったの?」


「とりあえず捕まれ!イリダ!」


ザッパーン!と大波が押し寄せ。。。周囲は静かに揺れた。

先程まであった巨大渦潮の姿はない。


「よし!今の内に突っ切るぞ!皆前ヘ!てぃ!」



その後カリュブディスは現れる事なく。

なんとか危険海域から抜け出した。

倒せた訳ではなく翌日また漁船を襲い沈める。



カリュブディスとスキュラ。

二大魔獣が東地中海を主とし発生しては沈没さす。

倒せるものは未だいない。

腹が空けば現れ、また音が聞こえれば海より出てくる。

それも神が決めた仕組み。海には神より作られし魔獣がいる。




□□□


 穏やかな海はどこか揺り籠を連想させる。

聞こえるものは波とカモメの鳴き声だろうか。

定期的に近づき鳴いて去る。


「少しは落ち着きました?カネラ様」


「はい。。やっと揺れも落ち着きましたね。ニコレ」


「先程甲板に上がって見ましたが、風が気持ちよく気分が落ち着きますよ?」


ゆっくりと狭い階段を音に気を着け上がって行く。そう、既に日は落ち暗闇が空を覆う。小さな手より魔力が注ぎ込まれた。


ふっ―――


「・・視界を共有できるのですね。ニコレ」


「はぁ、はぁっ。。くっ、結構魔力が。。キツイですが、、如何ですか?」


「ええ。とても綺麗な星空ですわ。ありがとうございます!」


 周りには島があるが光は灯台ほどしかなく。

船の甲板から見る夜空は360°全て星で散りばめられていた。

灯りは船の左右舷灯が各赤緑に染まり。

暗い波もまた穏やかにコポコポと過ぎ去って行く。


「聖女様〜南部は暖かいですね〜」


マストの上より声がかかる。

見張りをしているヌジャビがトップヤードに座っていた。初めて見る顔はどこかエーリスと似ており姉弟と分かる。


「ほぅ。意外と幼い顔でしたかヌジャビ。落ちないよう気をつけて下さいね」


「は〜い。見張りは風が気持ちいいので好きです」


「ぐぅ。。カネラ様、限界です、すみません…」


再び視界が暗闇に覆われる。

でも今さっきまで感じていた星、波、船の形はそこに残像として残り、暖かい春の風が後ろより優しく帆を押して行く。


「…もうしばらく居ましょうか。少し船が好きになりました」


「はい!ゆっくりとお茶でもしましょう♪」


気がついたら聖女は歌いだし。

手拍子でヌジャビが相手をする。

夜の船上は音は風に消されるが、なんとも気持ちのいい空間であった。帆船は風を受け目的港スミュルナへと進む。




□□□


「なるほど。そこまでフランク王国は混乱しているのか」


「はい。残念ですが王フィリップ二世はイングランドと結び更に強権を保ち。。独裁政権が樹立されつつあります」


二つ程後の船、ジュゼッペの貿易船に乗っていたユーグ・パイヤンは自国フランク王国の事についてジュゼッペと情報交換を行う。


「現在西ゴードも荒れておる。せっかく帝国も落ち着くと思っていたが。。まだ北欧と貿易はできんな」


「何よりジャンヌ様が死刑になった事が民に不安にさせております。私はその時十字軍のお話を聞き。マルタ騎士団の様な騎士団を持ちたいと思いジョバンニに会いに行きました」


 騎士団を持つと言う憧れは欧州全土に広がっている。騎士は定説として主従に従うもの。ジャコモにほぼ好きにしていいという教皇の褒美は騎士にとって衝撃的であった。兵が城主になるくらいの出来事である。


「しかしジャンヌ・ダルクか。政治的な背景もあったが。。惜しい人物を亡くしたな」


 ジャンヌはフランク王国では異例の人気である。神より予言を受け剣を持ち帝国軍と戦う。既に勢いが止まらずランスまで攻め込まれていたフランク王国を救ったのは事実である。


 その農民出身、幼い綺麗な顔、派手な祝福と神の旗を掲げる仕草は、聖女カネラとまた対比される。そして伝説の賢者ファンネルの生まれ変わりといわれた影響も大きいだろう。


 この時期、フランク王国は絶対王政であり、例え救われたとしても農民ジャンヌを中央権力に入れる事は許されなかった。

国々で理由があるように。亡命をすればいいのにジャンヌは残り裁きを受け入れた。その気になれば王宮を潰してでも逃げれただろうに。


「はい。。残念で仕方ありません。ジル・ド・レ様は無理にでも十字軍に連れて行けば良かったと(なげ)いております。十字軍は聖女カネラ様を始め、シューリヘト様、予言のルシア様と()()()()()()()()()が多くいたとお聞きします」


ジュゼッペは静かに考えこむ。

そうであるな、と言う事は容易い。しかし運命がそうしたのであればまた。神の導きであるのだろう。


「うむ。私はスミュルナまでしか付き合えんが。カネラ様を。シューリヘト様を救う為よろしくお願いしたい」


「!ジュゼッペ様。。はい必ず救いまする!」


 四候ジュゼッペが一兵卒に頭を下げる事など誰が想像するであろうか。ジェノヴァの王家に頼まれた事と等しい。


  神の子シューリヘト。

  未だ姿は見た事はないが。

  皆にまた、愛されている。

  奇跡などよく分からないがついて行こう。



  ジャンヌ様が勇敢に旗を持って。

    先頭を駈ける姿が。

  誰よりも速く砦に立つ姿が。


―――ユーグは数少ない風の精霊使いである。


「シルウェス、よろしく頼む。同族に会えるのはいつぶりであろうな?」


  『ス〜?スースー♪』


船は陸に近づき走りだす。

欧州にはない、丸い屋根の石造りの街が見えて来た。


港街スミュルナ。

ジェノヴァの植民地とし、異教の地。

むわんとする熱気が風に乗り運ばれて来た。

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