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閑話 カロミラ・ディオス

大きな流れをまとめる感じでし!


 私がラインストーン様に会ったのは成人の儀を終えたあとだと思う。領主一族に仕える事に決まり、また騎士として認められた事に誇りと思った。


 主な仕事は護衛。近衛騎士として領主の警備であるが。年齢の関係によりよくラインストーン様とリアコタス様に付く任務が多くあった。領主様には既に長年の騎士やヴァシリキ様がいる。

特にライン様は貴族院より護衛騎士として側使えにいるので気のしれた相手だと思う。当時恋心などは無縁。任務で付く日々であった。


「カロミラ、弟がいるのだがな。面白くなりそうであるぞ」


「シューリヘト様でしょうか。まだ六歳になられたばかりですが…」


「おぅ。あやつ我に傷をつけたのだ。ほれ綺麗に切れておるであろう?」


 確かに晩餐より戻られたライン様は首筋に赤い線がくっきりと入っていた。時に既に武術を高めていたライン様に練習といえ傷をつけるのは私といえども難しいであろう。


「……弟君ですので手を抜かれたのですか?」


「いや。油断はしていたが。あの病弱なシューがここまで強く速くなったとはな。打ち込んだあと泣いておったぞ?」


「はぁ。。泣かれて?」


「心は母上ににて優しい。祝福や魔力操作は多分婆様に継ぐほどだ。我にはできんな、ハハハ!」


 余り笑う事が少ないライン様は嬉しそうに話していた。六歳でいきなり祝福を見せた事、また食事のやり取りなど教えてくれる。私に兄弟がいないのを知ってか、幼い妹や弟、如何にかわいいかを必死で説明してくれた。




□□□


 青の間警備の時。

 どうしても弟君シューリヘト様に目がいく。

想像以上に小さく可愛らしい様子である。

神殿服はその容姿に合い、着られている感覚ではない。警備はライン様だがシュー様の行動にハラハラしていた。


 シュー様は初めて見る青の間をキョロキョロ見て。多くの人混みに圧倒されている様子。年相応でおかしな事もなく・・!?

 ワインをぐびぐび飲んでらっしゃる。。

ああ。。神殿長一向と揉め。。

!?なんだ!あの()()()は……


「ライン様!シューリヘト様が・・」


「分かっておる!直ぐに父上に隠さす!」


 その後紹介まで一連凄くハラハラされたが、神の子は本当に合った表現と思う。神国として様々な祝福を見て来たが。


シューリヘト様の祝福は格が違った。

まさに神に愛されているのであろうと。幼い青髪の子の横顔を遠くより見つめていた。


 シューリヘト様が大きくなり成人になる頃。

私も警備に付くであろうか?その位の印象しかなかった。




□■□


 帝国と戦争が始まり私達もアメディア小国に向かう事になった。ライン様は魔剣ティアマトを手に入れ、前線での戦いに繰り出される。


「騎獣の数は少ない!落ち着いて数で当たれ!魔術師よ先に行くぞ!魔剣ティアマト!轟音と共に燃やし尽くせ!」


レグナム神国が有利な点は魔法を使える魔術師が多い事にある。また我ら近衛は騎獣すら操れ中距離を主に戦っていた。

逆に帝国は火筒など投げ込むが、風の魔術師がいる中では逆に被害が増える。つまり兵同等ならばこちらに負ける要素が少ない。


「ライン様!前に出過ぎです!戦時は魔力消耗が激しいこと頭に!」


「カロミラか。分かった。しかし張合いない。。」


 確かに帝国は大きくこちらに戦力を送る事はなく、将軍クラスは出てこない。実は帝国軍がバートリ夫人に足止めをされてるなど神国はそこまで把握できていなかった。

 帝国側は金に雇われたルーマニアやスラブ糸が多くいた。夏を前にしてレグナム神国の攻勢は続いて前線もアメディアを抜ける勢いだった。


ただ、この辺りで進軍は遅れる。

物資の供給、また山賊が増え始める。アメディアは農村街が主なので守るにしろ適していない建物しかない原因もある。


北部アメディアに砦を作る事や騎獣の襲撃を防ぐのが主な戦争と変わりだした。


「ふむ。アメディアは協力的だが。。既に貴族連中はいない為指示が難しい。カロミラ、どう思う?」


「確かに。ただ食材は寄付されますし我が軍は略奪などもありません。東小国に入るにしろ数はまだ少なく。援軍がくるまで我慢のしどころでしょう」


「そなたは文官の知識もあるな」


「いえ。エーリスがさっさと物資と援軍を送ればもっと速く行動できるものを。。」


 攻勢で進撃を続けるライン軍の活躍は神国にも届く。同時に援軍、また一気にという所領主よりストップがかかったのだ。

 特に後方支援のエーリスが動きを止めた事で軍に多少の混乱も起こる。王宮の事情は逆に戦場に入りにくいのだ。こうして冬を前に撤退するまでは、私達は前線で過ごす事になった。


 戦場というものは人間の素が出る。

誰も普通の生活が当たり前と思う様に不満や憤りがどの部隊でもあるだろう。人は暖かい部屋を好み、美味しいご飯を好む様に。

 ラインストーン様は立派に職務を全うし不満のひとつも言わない。例え野宿と変わらない、農民以下の食事で合っても。


 私が惹かれるのも自然の成り行きと思う。

明日死があるかどうかの戦場の中、私は温もりを求めライン様の宿泊に入った。そして受け入られた。年齢は私が上であったがどうでも良い。私は女として幸せになれた。



□□□


戦争は思わぬ形で終わりを告げる。

正直呆気なく思える程に。王宮に戻り領主様は既に長くないと一目で分かるほど痩せこけていた。また、貴族間で次期領主の派閥争いが既に始まっていた。


つまらない。。


そうつぶやくライン様は本音と思う。

戦場で戦いをする中で何をしているのだこいつらは。領主候補に媚びを売り、明らかに献上をし、裏で手を回す。

 神殿関係者も同様に政治に介入をする。


ライン様は此度の功労を明確に兵に与え、論功を平等に父の名で家臣に分配する作業に捕らわれる事に。


ただ、私との関係は遊びではなく。

時間の取れる時に愛を育む。

戦乱も落ち着きそんな冬で合ったと思う。


 春再び神国が混乱をするのは。


アレクシオス第一王子の反乱。

新改革派を含め神殿内に立てこもる事より始まった。

第一の犠牲者、ヴァシリオス神殿長の首が飛んだ。


まさに。エーリスより密告が合った通り。

第一夫人アナソフィアと対抗の内戦が始まった。


この内戦により多くの重臣は変わることになる。

神国で長きに続いた平和は、複雑に絡まる。裏切り、保守、密告、テロ。情けない事に優勢である私達では抑える事ができない。


そういう王宮内でも疑心暗鬼が蔓延する時。

領主カルツァ・オズベルタス・レグナムは死去する。


葬儀も大体的に出来ず。対外的にも知らせる事はなく。

家族葬すらできる事はない。

ラインストーン様は嘆いた。自分の力の不甲斐なさを…


それでも必死に反乱軍を抑え。最前線で民を守る姿は次期領主そのもので合ったと控えめに見てもそう思う。北や南。問題が起こればそこに誰が言うでもなく私もついて行く。


―――ライン様は不器用であるのだ。


 気がついた時に母君リュフォーリル様が立憲していた。どの様な方法であるのか、反乱軍をいち早く把握し。アナソフィアやアレクシオスを亡きものに葬り去る。

 

 ただ、、その方法は容赦がない。

まるで鬼神の様に敵対するものを家族は当然一族毎惨殺し。多くの貴族が消え去る事になる。ライン様は母君には何も言わず。

どこか信じているのではないだろうか。笑わなくなった母君を。


それでも王位継承はライン様と声が高まる時勢の時。

無情にも、、ラインストーン様は暗殺された。


■■■


「その様な事を・・」


「いえ。許しませぬ。例え神と称えられる人物としても。絶対に夫の復讐をやりとげます」


「分かった。頑張るが良い」


私は腰を上げその場を去る。

特定できた訳ではない。

母君は本当に悲しんでおられた。


しかし私も騎士だ。ライン様と様々な(いくさ)をし。

知り得る事がある。


何故リュフォーリル様より。否、リュフォーリルの()()()()だ。魔剣ティアマトの燃した跡の匂いがする?

私はいつもラインストーン様の側で護衛をしてきた。

魔剣を使ったかどうか。分からぬ筈がなかろう。


死骸にはいつも肉の焦げた匂いがした。

少なくとも。ライン様が私に残した感覚。リュフォーリル様の周りに何かいる。その何かは傷を負った。だから聞こえる様に言ってやった。


絶対に夫の復讐をやりとげると。

私の心に刻まれた。優しい夫はもういない。



私は近衛数名を率いり。

国に戻る事はないと皆に告げ十字軍に合流した。


幼き姿は同じであれど。

矛を持ち颯爽と先頭を行く姿は。。

オズベルタス・レグナムの名前に相応しい。

そしてやはり兄弟だからか。

ライン様と同様に厳しい時自分で抱える。。


私はこの神の子に着いて行けば必ず。

敵討ちができると心底思った。



□■□

着 ジェノヴァ


 行く所はなかろうとシューリヘト様はエーリスに既に手配をし、私をこの街に迎えてくれた。大きな街なので賑わいのある。。


 二階に上がりシュリンプ商会の取手を開く。


「いらっしゃいませーませ?」


「ミアはお静かに!どうぞ騎士様。マルコと申します。ようこそシュリンプ商会へ。お話は伺っております。産後まではどうぞ何なりと」


「カロミラ様ですね?ニコレと申します。どうぞ側仕えと思い何なりと。カンピに屋敷を準備させております」


「あ、ありがとう、助かる。しかしなんだ、シューリヘト様があの様になられているのだが。。心配はないのか?」


「はい。主が帰るまで私共は守るのが役目」


「大丈夫ですよ。シュリンプ様は無茶しますが。皆の事を考えています」


「それよりこの好景気で売らないほうが怒られますね。ウフフ」


当然の様に皆が皆心配の素振りすらしていない。そういう間でもしきりにやり取りや賓客が訪れ、奥の部屋に通される。


ああ。大きな窓でゆっくりできる部屋である。

私は寝具に座りやる事を考える。


―――元気な子を産むこと。


「ゆっくりなさい。シューリヘト様は私達に任せて。元気な子を生むのですよ」


「ふっ。其方に言われずとも。いい部下をお持ちだな。シューリヘト様は。こちらに来られ良かったのであろうかな」


「一文無しからここまで楽に来れたと?カロミラ。時間があれば図書館で勉学をしなさい。この街でシューリヘト様…いえ。()()()()()()がどの様に過ごされたかを。知りなさい」


 

何も言えなかった。

そうだ。私はシュリンプ様の事は何も知らない。

私は自分の想像力のなさに嫌気がさした。。右も左も分からず彼がどの様にして来たのかを。


―――時間は十分にある。


「エーリス。図書館の場所は?」


レグナム神国の感覚から見た流れです。


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