プラハ城 聖ヴィート大聖堂
「門に黄金の糸が!行くぞ騎馬隊!」
「ええい!門内にいる敵兵は数人だ!誰でも良い!討取れ!」
全ての姿勢が門周辺に集まる。
射撃兵は弓を構え、守護兵は我が先にと切り込む。しかし既に手中はアンドレア将軍の手の内にあった。
「奇襲とは、入ってからが本番。蜘蛛よ舞え」
金色の糸の先に蜘蛛が現れる。近寄ろうとする守備兵は足が絡まれ、また糸により剣が引っかかり。矢を射たとしても網の防壁を破る事はできず。
ほんの数メートル、もう少しの位置で討取れただろう。
だが届かない。
集約する兵の中央で風が舞い出す。
「我は神に祈りし者。冷たき風の神ボレアースよ。その凍てつく北風でむさぼりつくせ」
氷を含んだ小さな竜巻は。
網に絡まる兵を切り刻む。規模は刻む毎に大きくなり風は更に厳しくなる。周辺はいきなり冬に変わり地面は赤い血氷で固まった。
「大した魔法であるな。ふむ開け門よ」
ギギ・・ッとケルンテン門が大きな門を糸で開く。
―――その一瞬。黄金の糸と氷の風が振り荒れる中。
スッとアンドレア将軍が退いた。矢が右目に刺さって。。。
「グッ。。」
「将軍!ご無事ですか!」
「ああ。眼を殺られただけである。どこからか。。」
アンドレアはふんっ!と矢を抜き血が吹き出す。
矢には聖書の引用されし言葉が記載されていた。
―あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている―
…どういう意味であろうか。
「・・確か『神の狙撃』と呼ばれるニコラウス隊長がこの街にいると聞き。あ、騎馬隊が来ました」
「アンドレア将軍!お怪我を。。皆門を守りつつどんどん兵を送れ!既に門は開かれたぞ!」
騎馬隊は流れ込み、門兵は切伏せられる。
『聞け!ウィーンの民よ!我ら十字軍は教皇の司令により救いに来た!抵抗するなら戦うまで!しかしこれ以上住民を危険に晒すでない!神に歯向かうのか!』
この一言で。勝負は決定された。
門兵も守備兵も狙撃兵も。。武器を落とす。
こうして17日に及ぶウィーン奪還は。
十字軍の協力により達成された。
赤い十字の旗を持ち威風堂々と十字軍はウィーンに入り込む。
既にルドルフ四世を含むハプスブルク家は既にリンツに逃げさり。貴族の屋敷はものの抜け殻だった。
教会関係者は怯え、教皇の判断を待つとするが。
酷い事にはならないだろう。
責任を取り指揮官のヴィルヘルムの首は中央に晒される。
それでも人々は足止め、祈りをしていく。
―――少なくとも彼は。
この街を何度も守り抜いた英雄でもあった。
□□□
東ゴード王国中心に位置する街。
欧州広くともいえど、どこか他と異なる。
川の側は生活に必須となるので多くの都市が出来ているが、周りを低山に囲まれたプラハはどこか違って思える。
同様に山々に囲まれた盆地の街。京都がある。
独特の雰囲気と懐かしさ、また霊的な不思議さを持つ街。それが元プラハ神国であった。
丘を見下ろすと見えてきた。
幾十の尖塔がたち、中程度の大きさであるが、歴史を感じる作りで。周囲には畑が青々と麦を揺らす。
「これがプラハか。。」
「変わんないね。パッと見は」
「カネラは昔いたんだっけ?友達に会えるかもね♪」
「・・友達なんていない」
「そっか。黒死病が蔓延してなければいいけど。よし行こう」
十字軍は列を作り丘を下って行く。
この辺りは草原に近い。が湿地帯でもあり蛇が良く出るとカネラは言っていた。気をつける様に、言う側より出てきた。
「『唸れ風刃』結構大きいのもいるので。注意してね。首切れば大丈夫」
蛇と言うか。。魔獣大蛇じゃねえか!
2mはあったぞ。。おい。だが味は美味しいらしく、ササッと収納袋に入れてしまう本能。。うぐぐ。
その後も何匹か討伐しつつ畑を通り過ぎ。
伍の刻の頃、正門に辿り着く。
…まずはさて置き被害の状態を見ないと。
思っていたのと違い、門兵も立っており。
街は馬車も普通に行き交う。
街自体も特に壊れたり燃え上がった様子はない。
「あれ?何も被害無かったのかな?」
「ふむ。井戸の様子も変わっておらず。住民には見られてますが。とりあえず教会で伺いますかな」
5000を越す軍団なので周りに注目されるのは問題ない。門兵も跪き、まるで来る事が知れていたようだ。まぁ東小三帝国を救え!と教皇の手紙は教会中に知れわたっているし。
ゆっくりと馬を走らし、混乱なく街を進む。
どこか・・違和感がするが。うーなんだろ?
別に住民は普通だし、病気で寝込んだり死人もいない。出店も普通に出てるし食堂も開いている。夕方時なので市も出ており食材も豊富に売られてるし。もちろん時を知らす鐘も鳴り響く。
?でも何かおかしい様な。。
「聖女様!おかえりなさい!」
「ああ。。聖女様じゃ。。」
年老いた人や、また食料を売る人が声をかけ、見物者が増えて来る。
「カネラ。有名なんだね♪」
「ん〜神儀式で何度か祝福したからかな。でも昔は顔見えてないし。あんま覚えてないのよ。どうしよう?」
「にこにこしながら手を振るといいよ?話さなければかわいいし「ドカ!」かわいいです!」
そんなやり取りをしながら教会に向かう。
大きな城の様に高い城壁に囲まれた宮廷だろうか。
いくつも立派な尖塔に挟まれた、歴史がありそうな大聖堂であった。これならみんな入れるかも。
遠征の目的地。聖ヴィート大聖堂に到着する。
◇◇◇
この世界でわかる事は、教会や大聖堂は大きな意味があった。単純に祈るだけでなく、銀行の機能、また祝儀の場所でもある。
多くの貴族がこぞって神像やステンドグラス、天使の絵などを飾るのはその地域でどれだけ力があるのか見せしめる意味が強い。
聖ヴィート大聖堂は広くジェノヴァに比べても古く歴史を感じる。名前の由来となる聖ヴァーツラフは東欧で初めて西方カトリック教会の洗礼を受けた人物である。
つまり、東欧でどこよりもが早くプラハの存在が欧州で認められたのである。
10世紀、国王ヴァーツラフ一世が洗礼を受ける事が出来たのも。この大聖堂を建てる事が出き、今もまたプラハ城壁は広く拡張されているのは。近くにあるクトナー・ホラ銀山のお陰であった。全ては資金によるところが大きい。
今もなお、大銀貨の価値は高い。東欧の主流となる銀の含有量も高く高品質である。
聖ヴィート大聖堂は今も改築中であった。そびえ立つ尖塔とその高さ。教皇に選ばれる人物も出たのでその関係だろうか。
大聖堂に入り前を進む。教壇のまえには、高齢アダルベルト・ヴォイティエフ大司教が従者を引き連れ車椅子に座り待ちわびていた。
「ファファファ・・十字軍とな?」
「・・まだ生きてたかじじい」
「ファ?おお。ぺちゃパイカネラか。。」
「!ムキー!『唸れ風・・「待てカネラ。殺す気か!?」」
ぷんぷんと怒っている聖女。
まぁ。。想像つくが、カネラはこの高齢の爺様に祝福を教わったらしい。
エロじじいと。。
てかもう要介護だよ?死んじゃうから!
「ファファファ・・『突上昇流』」
「!!スカートめくんじゃねえ!じじい!」
「あら、、嫌ですわ。見ないでください…」
基本修道士も白魔術士もローブなので、何人かがめくれ被害を受ける。カネラとルシアは前にいたのでばっちり目に焼き付けた。ルシアは黒で意外だった。もちろん騎士は鎧をしてるのでマントがなびくだけ。トランポは沙悟浄を見て残念そうだ。
「アダルベルト様。お戯れはその程度で。改めてご紹介します。聖ヴィート大聖堂、大司教アダルベルト・ヴォイティエフ様と、私は神官長のペトル・ヘルチツキーです。十字軍の皆様お待ちしておりました」
「ペトル様。この街は黒死病の影響を受けていない様子ですが。危機はないようで何よりです」
「ファファファ…神の導きじゃで」
この爺さんボケているのか、普通なのか怪しい・・
「・・その点を含めてお話し致します。代表の方は奥より南塔へ。騎士の方は料理を準備しております。テリア案内を」
僕達は聖女やルシア、またトランポ達を連れて。騎士はジャコモやジョバンニ、近衛を数名連れそれ以外は従者テリアの案内で大きな屋敷に向かって行く。既に元王族オタカル率いる貴族が揃っていた。
「私が話をしたほうがよろしいでしょうか。アダルベルト様」
高齢のアダルベルトは頷き。
僕らは貴族達のいる大テーブルに付き話を聴く。
「まず。プラハに現在子供がいない理由についてから」
ペトルはゆっくりと。そう切り出した。
納得いった。
この街に入ってから一人足りとも子供を見ていない。
違和感の理由はそれか。
これはただならぬ問題に巻き込まれと。
十字軍の代表を見渡すと皆、顔が厳しく変わっていた。
――もちろん僕も。
さぁ話を聞こうではないか。この街で何が起こった?
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