第一次ウィーン包囲
よくペリークリトや、マギア・ウノ、ヴォクス・ディなどの名前の由来ですが。
ラテン語ベースで少し変えております。
意味も通じるところが多いので調べて見るのも楽しいかと。
物語はどんどん!十字軍は進みます!
神が望まれた!!
首都ウィーンは高き城壁に囲まれている城壁都市である。
北と東はドナウ川とウィーン川に阻まれ、攻撃位置は西と南に絞られる。そこには強大なケルンテン門がそびえ立つ。
兵士自体はそれ程戦力差があるわけでもなく、十字軍の様に洗練されている訳でもなく、魔剣アンシャルを持つアンドレアと同様の猛者もいない。正直十字軍は、直ぐに陥落すると思っていた。
しかし攻撃を初め半月。未だ門を超える事はなかった。
守備軍は南のケルンテン門に射撃の精鋭部隊を配置しており、この時代の攻城の難しいさを知らしめる。
騎馬隊などで城から迎え打つ事はできるのだが、門に近づくと矢の雨が十字軍を門にも近づけない。
「くそっ。守りが堅いな。。手はないのか?」
「流石ウィーン。東ゴード首都だった理由ですな。ふむ。聖女の奇跡があれば状況も変わりそうですが。。」
「・・祝福を見して指揮を揺さぶるか。神と戦う事の効果は出そうであるが。あいにくあちらも厳しいのだ」
「私が川を登り川際より襲撃しましょうか?」
大きな斧を持つジル・ド・レが声をかける。
「ふむ。しかし川沿いもまた石垣が高い。なんとかなるのか?」
「はい。手はあります故。そうですね。1500ほど借りれれば」
「分かった。おい、イタリシの子供はどうだ?そろそろ出来た頃合いと思うが。。」
「はい。森にいるとは思います。呼びに参りましょう」
「よし。軍議を揃い次第行う!今日取るぞ!」
□■□
ウィーンの街は既に混乱していた。
何せ教皇よりの司令で、十字軍が来ているのだ。
教会関係者は日々教会にて会議を行っており、解放の為に来てくれたのに何故争うのだとハプスブルク家を罵り、また戦時に巻き込まれる心配をした。
「どうにか十字軍を街に入れれぬものなのか?」
「とはいえ十字軍がどの様にこの街を占領するかも分かりませぬ。帝国とは近く絶好の前線になります」
「ふむ。。周囲の村の様子では多く助けられていると聞くが。。どの道私兵が抜けられない限り。接触は取れんか……」
ヴィルヘルム・フォン・ロゲンドルフはウィーン防衛に携わる指揮官である。十字軍と言えども、ウィーンに侵入させるなとルドルフ四世より守備を任される。
現在南と西の城壁の内側に土塁を築いてさらに二重防衛線を敷く作業に従事していた。
「しかし神兵と戦うとわな。ヴィルヘルム大丈夫か?」
「誰が来ようとこ街ウィーンは守るさ。帝国軍も侵略できなかったのを忘れたか?ニコラウス」
「ふむ。。しかし今回は。応援はいないぞ?」
「もとより帝国の応援など断る。だが西ゴードで噂のアンドレア将軍か。。一筋縄で行くまい」
「あぁ。街内までは手伝うが。入り込めば逃げるぞ?俺は」
「・・『神の狙撃』らしくもないが。無理は言わまい。長い仲だったな」
「・・本当にな。誰かに伝えるコトあるか?」
「ない。ウィーンを守るだけの人生。悔いなどないわ」
「変わんねぇな。ヴィルヘルム」
小さな村で。冒険者を目指した二人。
いつも互いに支えてきたが。
一人は神兵と戦うのを嫌がった。神の加護を授かり。
一人は守る事を選ぶ。それが全てだから。
◇◇◇
数キロ離れた森の一角に。
二人の子供と中年女性、魔術士だろうか?深いフードを被ったまま数人の木こりとあーだこーと話ていた。
既に木々を組み合わせた大きな弓の様な機械。
「おいレオ。こんだけでかいと引っ張られないよ?」
「いいのいいの♪角度はしっかり合わせてね。・・この辺りは風が南西だから位置はと」
「私はこんな天使細工作りに来た訳じゃないのに。。ううっ」
「オルファ姉さんの土魔法は凄く興味深いよ!今度石像作りの時”魔力粘土”ちょうだい♪」
「はぁ。。こんな投石機見た事もないし。。土魔法で運ぶって発想も良く浮かぶわね?レオナルド」
「うん♪イイね〜ばっちりだよね♪サライ、試しに岩を置いて見て」
「へいへい。糸もないのに飛べやしねえよ。。」
オルファに頼み魔法で草の蔦を絡みつける。緑色に光る蔦より機械的な音が「ゴトン」とはまり。次の瞬間『ビュー!』と風切り音と共に岩は空に飛んでいった。。
「・・飛び過ぎて見えなくなったよ?」
「うん!計算通り!これでアン将軍も勝てるよ♪サライ、オルファもありがと〜♪」
「おーい。フィレンツェの子供達よ。10日かかったのだ、できたか?軍議をやるので来いとアンドレア将軍がお呼びだ」
「うん。できた!行くよ。オルファさん運ぶのお願いします!」
・・・
「・・あのな、レオ坊よ。儂は投石機と聞いていたが。。なんだこの強弩の様な機器は?」
「アンドレア将軍。任してくださいよ。うーん五人ほどまとめて飛びたいのですけど、風魔法使える騎士とかいますか?」
魔術士で魔法を使える者は多いが、風魔法士は基本少ない。いても内政や治水、内務につく者が多いので少なく、騎士で魔法騎士は本当に稀であった。
「ハッ。私は風の神アネモイの加護を持ち。一通りの風魔法が使えます」
「お姉さん『重爆風』使える?」
「はい。問題なく。」
「見ぬ顔だが。名前を聞いて良いか?」
「ヴァシリキ・コルフ。レグナム神国出身ですが亡命先のフランクにて帝国軍と戦ってました」
「安心せい。『緑の風見鶏』ヴァシリキは良く一緒に戦った。ジャンヌも多く助けられておる」
「分かった。よろしく頼む。儂も行こう。近衛より残り三人を集めよ。してどうする?レオ坊」
「んふふ♪これは面白くなりそうですね。良いですか、まずは・・」
軍議の端で小さな子供と将軍が話込む。
この様な軍議で子供が、と言われそうであるが、東十字軍の事実上リーダーはシューリヘトで七歳にしか見えない。
子供という浅はかな考えは皆消えていた。
事実、調合、魔術の知識などレオは多才な一面を見している。
この度集まった第一次十字軍は。
多くの国より優秀な人材が集まり、惜しみなく才能を発揮したという。無名の新人や、今後歴史を変える様になる人物さえも。
11歳になったこの天才発明家。
既にレオナルド・ダ・ヴィンチは空を飛ぶ鳥の模型を開発していた。
■□■
「さぁ!十字軍よ!その腕に剣を持て!赤十字の旗を掲げよ!行くぞ!出陣!神は我ら軍と共にあり!」
「「オォ!神が望まれた!」」
まずは上流より川沿いで戦闘が始まった。
ジル・ド率いるフランク軍である。器用に船を岸に寄せるが、上より弓矢の雨が降る。盾を掲げつつも桟橋の下に入り込む。
「久々に使うのぅ。これも神の思し召し。さぁ出番である!『神剣ジョワユーズ』よ!城壁をその草で埋めつくせ!」
ジョワユーズが光ると同時に様々な色に変わる。
城壁に入り込む蔦の様なものは勢いを帯び丸太クラスまで膨れ上がる。流石に城壁を崩すまでに行かないが、大樹で覆われた様に城壁が一変する。
「よし!誰が一番に登るか勝負じゃ!このジル・ド・レ逃げも隠れもせんわ。斧の藻屑となるがよい!」
西部城壁に異変が起き、ヴィルヘルムはどうしても兵を廻す事になる。例え陽動だとしても、フランク王国ジルの猛将の名は知れ渡っている。
「うむ。城壁の兵が減ったの。いけ!レオ坊!」
「はい!オルファ任したよ!」
「・・生ける草の成長を。ケセドの守護天使たる大天使ザドキエルの加護をここに。伸びれ天地より茎となり―――」
強弩に蔦が伸び「ガタン」と機械音がする。今度は岩でなく石像が。天使の石像が設置されていた。
「角度。。良し!弓度。。良し!ヴァシリキ〜風は?」
「しばらくは南西より変わら風速4〜8ノットです」
「よしいけ〜!『バシュッ!バシュ!バシュ!バシュ!』」
なんと。連弩であった。
あの短期間にこの様な物を作るとは。
次々に予定通り収納袋より石像を出すサライ。
予め作らされていた天使をモチーフとした石像ぽい粘土。
色は魔術具で白くされているが粘度は高く壁や地面に落ちて引っつく。見かけは天使だが質が悪いトリモチだ。
特に城壁の上に取り付いたのは移動を難しくさせて効果的だった。
「よし!騎馬隊突撃せよ!弓の勢いは落ちたぞ!」
「――っ!やっと出番だ!兄者遅れるなよ!」
「わかっとるわ、ゴドフロワ。弓騎馬は城壁を狙え!無理に犬死だけはするでないぞ!」
忘れてるかもしれないとブイヨン兄弟は必死に門前で暴れる。既にケルンテン門の上では大混乱であった。
「く、くそっ投石機があるとは!聞いてないぞ」
「なんという。。西も城壁に登られた!」
「うぉ?、これ石じゃないぞ。。引っつく」
「焦るでない!未だにケルンテン門は健在だ!落ち着き整えよ!」
『どば―――ん!』
と光が爆発した。。クッ眩しい。。魔石も入れているのか。。。
徐々に視界が戻りだし・・門の内側でバシュッ!と音が聞こえた。内側だと!?
「はぁ〜『重爆風』!!」
さらに突風が砂煙を上げた。
……そこには門を飛び越し。
十字軍が数人門の前に入り込んでいた。
「なんだと……どうやって、入れた?」
「ふむ。空を飛ぶとは。なんとも気分が良い。魔剣アンシャルよ!神の糸で兵士と門共々切裂け!」
魔剣より光の束が周辺に蜘蛛の如く散り
門の閂は外され切り刻まれた
『神の蜘蛛使い』アンドレア将軍の反撃が始まった。
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