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吸血鬼バートリ夫人

少し遅くなりました。


「ワォ―――ンッ!・・」


狼の遠吠えと共に森の中に殺気が膨れ上がる。


「全員総武装!魔獣か?いや違う!」


ジャコモ騎士団長の声が響く。

森にて夜営の準備をしていたその時だ。


「修道士は中央に集まれ!包囲するぞ!騎士団!その鎧の赤十字は飾りではない事を証明しろ!」

「「ハッ!」」


緊張と狼の唸り声が近くなった時。


”水球!ズドーン!”

「キャ―――ンッ!・・」


木々は倒されまるでトンネルを掘ったかの様に道ができる。

「よし。先制成功と。来るぞ!」


「グァル!」「ググッ!」

一斉に多くと十字軍の戦闘が始まった。


「!個々は対したことがないが、アンデットだ!詠唱を「・・ガァルル」くそ数が!」


四方八方より襲いかかる魔獣は、以前見たグレイブハウンドに似てるが、それ以上に腐敗していて臭い。切っても回復が早く、なお且つ狂暴で力が強い。


「出し惜しみするな!ウォーターショット!」

「行くぞ!ぶっ放すサララ!炎火弾!」

「は、八戒!来ましたよ!守りなさい!はわわ〜」

「任せてぶひ。ネプトゥヌスの加護を与え給う。巨人ポリュボテスの岩の強さを我が腕・・」

「わ、わ長いですよ・・八戒!きゃー!」


既に7匹の巨大な狼が。。聖女カネラの匂いに飛び交る!


豪傑(ごうけつ)!』


ズドドドォーーーオオオオオン!!

「うきゃーーー!」


周囲が吹っ飛び木々が倒れた。。皆が振り返ると。

猪八戒ことトランポ公爵の腕が膨れ上がっている。

そう。まるで巨人の腕の様に赤光をして。どう見てもバランスおかしいでし!


「待たせましたな!カネラ様。ほれエーリスそなたはカネラ様につけい。ほれほれ犬っころ、どんどん行くぞぃ『豪傑』」


ドドババァアアアアアンン!


殴ると言うより、腕を叩き着ける。。すると地面事めくれ上がり狼は吹っ飛ぶ。その後にはでかいクレーターができるだけだ。


「はっ。カネラ様失礼」


「おお。沙悟浄!遅いではないか。。しかし八戒強かったのね。。」


「あぁ見えても「神国のトランポ砲」と恐れられた人物。まぁ砲弾無いので地面えぐってますが」


「・・沙悟浄も何かあるのか?」

「ハッ!教えません」

「!!ひどいではないか。。ううっ」

「では少し中央へ下がります。う、重くなりました?食いすぎですよ、豚姫様」

「ムキー!?」


華麗に持ち上げ中央の集まった所へ飛んでいく。カネラは大丈夫そうだな。しかし八戒。。無双してるな。爆音が聞こえる。

・・ストレスだろうか?


「・・行きますよ!騎士団は下がって!大天使聖ウリエルの神の炎よ!悪しき獣を近づかせるな!」


ゴォーッ!!

まるで魔法陣の様に炎柱が立つ。

円陣を組んでいた円陣範囲の地面が燃え、狼は怯む。

近づき円内で交戦していた魔獣は燃え尽き、逃げ行き、場が炎で明るくなった。。ルシアパない。。出番がないと真摯に感じた。

しかし一番役に立ってないのは誰が見ても中央でエーリスに絡む聖女カネラだろう。うん知っている。


一通り周りを確認して、怪我程度で済むか。。しかし誰が?ふむ。。


「ほう。やるではないか?」


炎の先より人影が近づいてくる。

森の奥には更に気配を感じた。


「……誰だ?」

「まったく。我がかわいい狗(クドラク)を…」


「という事は親玉かな?吸血鬼(ヴァンパイア)さん?名前を聞いても?」


「ほう。吸血鬼(ヴァンパイア)とな。悪くない。!!黄金の眼。。青き髪の子供。。そなた。。美味しそうじゃのう」


炎を前に(ひる)む事なく。

足は燃えてもすぐに再生する。

ただ着ている物は燃え尽きるが。。


その姿はまさしく。銀色の髪をした聖女と相反する雰囲気(オーロラ)があった。ゆったりと近づき周りの騎士達はなんとも言えない悪寒を感じる。

本能が恐れる空気を纏い。

そして何より絶世の美女であった!


「そうか。バートリ伯爵夫人だね?」


「ふん。名はなんという?子供よ」


「シューリヘト。神の子シューリヘトだよ」


手から三叉の矛を出し青光の稲妻を纏わし構える。脅しなんて通用しない。これは戦闘態勢に入った事だ。


「気に入った!フハハハ!気に入ったぞシューリヘト!(そば)で永遠に生きようではないか。腕などすぐ生える!「ドカッ!」グッ!誰じゃ?」


「残念でした!シューリヘトは私の(モノ)です!譲りません!」


おい、コラ。誰がお前の物になった。

ちなみに石投げるとか。。ないわ!


「ふん。人間如きに何ができようか!」

「うるさい!痴女め!いけ猪八戒!」

「ごめんぶひ。命令なのぶひ。。『豪傑』」


ボコーんとバートリを吹っ飛ばす。

再び闇の奥に追いやらせた。

こうしてバートリ夫人との戦闘が始まった。


・・ちなみにいきなりなので僕は三叉の矛を構えたままなんだが。なんか気まずい。出遅れた感がひどい。




□□□


「・・おのれ!ふざけよって!行け闇の亡者達よ!」


ボコボコっと地面がめりあがる。。これは。


「来るぞ!亡者達(ゾンビ)だ!白魔道!詠唱を!」

「ハ、ハイ!キャッ!?」


「ギャーギャー」「ンンンァ・・」「ゴル・・」

「アァアアア”ッ!」「ガ。フッ」


 辺り一面が一斉に死臭が漂う。更に地面から這いつくばり出て来た亡者達(ゾンビ)は思いの他に動きが早い。そして。。全武装とか。。あれは帝国軍の鎧か?既に500は増えて段々と霧も濃くなる。。


「ぐぅっ!力が強い!まともに受けるな!囲まれるぞ」

「ンァアアアア!」「ガッ!。。くそっ!」


元がもとだけに剣技も上手いか。。面倒だな。


「なんじゃ?他愛もない。ふむ。まずまずか」


くそ。。段々と理詰めに狭めて来やがる。。もちろん八戒やジャコモの周りは切伏せているがキリがない。何人犠牲にしやがった!?

 ・・考えろ。メデューサはだめだ。。スキュラもまた見境なく。。くそ!


『ドッコーーーーン!』

「『豪傑』!ほらほらこちらに退避じゃ!」


ナイス!八戒!しかしファイアボルトはもう。。待てよ?


「エーリス!矛を使え!勝手に動く!」


「ハッ!しかしシューリヘト様は。。武器を手放し。フンッ!」


言ってる側からも湧いてくる首を蹴飛ばすエーリス。矛を投げると上手く掴み、その周辺の亡者(ゾンビ)を薙ぎ払う。あれはそういうモノだが。。どれだけ保つか?エーリスは次第にペースが上がり鎧ごとぶった切る。()()()()()()()()()()()()()のだ。


「おお!沙悟浄!やるではないか!蹴散らせぃ♪」


「ググゥ。。。これは魔力が。なるほど。。う、しばし大丈夫かと。近づくな十字軍!巻き込むぞ」


「カネラ!霧をなんとかしろ!騎士が持たない」


「う、分かった。十二大天使サリエルの月の霊力の陰、そして陽よ。我が周り天使の月光に照らせ。『月食』」


 月明かりが真っすぐ降り注ぎ。

 周囲一帯は霧が蒸発した。

 月は雲の合間から照らし周囲が良く見える


…残念だけど亡者達(ゾンビ)は弱まる素振りもなく、猛然と追いかかってくるが。余計に表情が見えて怖いのは仕方ない。


「ほれ騎士よ!反撃の好機(チャンス)ですよ!」


「よし!増えてはいるが、数はこちらが上だ!数人で囲みつつ足を狙い行け!ただし噛みつかれるな!毒があるぞ」


 確かに反撃の好機であるには違いない。

個対個の戦いより固まる戦術は確かに有効である。

実際にあちらの亡者達(ゾンビ)が押され壊されていく。。が、こちらも数人被害者が。。どうしても半数以上修道士や白魔道士の関係で押し通せない。回復をしてくれるだけ助かるが。


バートリ夫人は上空で飛んでいた。

特に参戦する訳でもなく、蝙蝠の羽を羽ばたかせ様子見と言うとこか。真っ裸の白い肌が憎い。。いい身体だ。

僕は水魔法を使いつつ推される所にフォローに向かう。

戦場は停滞となり消耗戦になった。


一刻、二刻と時間だけが過ぎ。

既に深夜を過ぎ翌日の朝近くまでに過ぎていた。


十字軍は疲労と血脂で剣は切れ味を失うが、戦局は有利に押し返している。トランポが壊すコツを覚え数個の個対をぶっ放す。。元気だ。

エーリスは限界だろう。少なくない騎士もまた。。やられている。


「よし。アクお願いしていい?終わらす」

『クー?クークー♪』


ジョバンニにお願いし、周囲の警戒を任せつつ祝詞を唱える。


―――我は世界の神々に祈りを捧げしものなり


―――海と雷、地震を司る海神ポセイドンの加護を給えたもう


―――ポセイドンの血を引きしエキドナ 哀れな子に再び光を


―――強き水の蛇よ 召喚し再び世界へ


―――天に浮かぶし水鏡にその姿を


―――混沌と生命の証 ヒュドラを召喚し給う



 月に照らし出される上空に波打つ水鏡が揺れ動く


―――次の瞬間 水が九つ大きな大蛇となり降り立つ


 一つ一つ長さは数十mの長さを無数に天に巡らす


『グギィ・・グゥ・グォオオオオオオオ!!!』


「アク!お願い!」


「クークー!」


その九頭の大蛇(おろち)に光る精霊が飛び込んでいく。

一瞬ビクッ!と体を震わし。

一つの頭がシューリヘトへ一直線に飛び込んで来た。


(う。。ダメか。。)


右腕を大砲の様に変化させ構えると。

目の前で大蛇の顔が微笑む。


眼を細く変化させ『クークー♪』といつもの様に。


―――やった!良くやった!アク!



「よし!行くぞ〜アク!戻れ三叉の矛(トライデント)よ!」


一頭の大蛇に乗り込み亡者(ゾンビ)の群れは噛み砕かれ、その太腹に潰され。次々に飲み込まれていった。


まさしく神が生みし神獣。ヒュドラであった。

騎士達に触れても濡れるだけ。

水流に巻き込まれ、青光の雷に打たれ。。


2000もの亡者達(ゾンビ)は朽ち果てた。

次第に夜が明けて来だす。


「どこかでこの光景を…ああ。日本昔話のエンディングのようね。うふっ♪」

「これは。。ヒュドラ。。伝説の」

「ああ。助かったんだな。。」

「さすがシューリヘト様!」



ゆっくりとバートリ夫人に近づく。

神妙な顔してこちらをじぃ〜と見つめる。


「バートリ夫人。まだやりますか?もう日の出ですよ?」


「・・そなたは神の子か。納得いった。ああ負けじゃ負け。兵が無くては守れまい。裁判でも火炙りでも好きにせよ」


「えーっと。。何故襲ったの?」


「ん?捕まえに来たんじゃろ?クロアチアのなんて村かの。忘れた。()()()()()()がひどい生き物だからの」


「えっと。。僕ら通ってプラハ行きたいだけなの」

「・・行けば良いではないか?」

「帝国に襲えとかは?」

「・・儂が聞くとでも?喰ったぞ?」

「はい。。?何故此処に?」

「はぁ。。」


 話を聞くとバートリ伯爵夫人は既に120歳になる。一世紀程前に叔父に呪われ吸血鬼になったと。それから年は絶たず血を飲む事で生きながらえてきた。正直に若い生娘のほうが美味しく。

立場もあるので定期的に他国より食材をもらい生きて来た。修道士や神巫女の血はコクがあり美味しいと知る。

ともあれこの一帯を守る使命もある。こんな性格なので一族も子供も子孫も残虐された。また戦乱はオスマンやハンガリー、帝国などキリがない。


 近くを守る契約を行い、安定の村より生娘をもらい守る。だが戦争は勝手に来るし、殺せば報復にも面倒くさい。なので亡者(ゾンビ)として取り込み警備をしていた。


死ぬのは構わんが。残された領地を守ると。


「そっか。。じゃあ守ればいいよ。お邪魔したね」


「やけに信用するな。。お主。殺せばいいものを?」


「そりゃ。。まぁ仲間を殺されたし。恨みがないわけではないけど。。人よりまともと思えるよ?」


既に話が長くアクヒュドラの上で話していた。


「ふむ…迷惑を掛けたの。600程か。亡者にするか?」


「いや、いいです!」怖いしむりでし!


「なら。。うーどうしたものか。おお!これをやろう。魔剣ティアマトらしい。同胞より送られた」


「!!誰にそれを!?」


「南にいるヴラドじゃ。好かんが強いは強い」


ふむ。吸血鬼でヴラドか。。面倒だな。

考え混んでいるとふと気配を感じ。

頭を上げるとそこにバートリが目の前で口を吸う。。!?


「チュッ♪ンー・・ん!んん!ん!」


バンバン!待て!ディープじゃないか!(カプッ)いて!!


「うぅう。。初めてなのに!酷いよ!」


「すまんな。性癖じゃて。ふむなかなか。。ごちそうさまでした♪」


ぺろっと舌を舐める姿はさすがだな。。

てか、普通に話すといい女だよね〜


「こ、コラ!シューリヘトは私のものだから!手を出すな!痴女!」

だからお前のものじゃないし!はぁ。。

「悪い悪い。聖女とやら。儂の負けじゃ〜」


下に降りてヒュドラを消す。

せっかくだから城に来いと誘われたが速断る。

ヒュドラに吸血鬼、呆然と佇む皆に声をかけ被害の状態と。


バートリ夫人に既に敵意がない事を伝えると皆疲れきった様に座りこんだ。夜通しずっとだもんね。


 日が出ると闇の亡者は消えて、帝国の鎧だけが残った。

とんだ吸血鬼に巻き込まれたもんだ。。

バートリは別に日を浴びようと問題ないらしい。下等な亡者と一緒にするな、ただ日焼けはいやじゃと。。


「よし!我々の勝ちだ!勝ち鬨だぁ!」


「「オ、オー!?」」


いきなり騒ぐカネラは締まらない。


しかしいろいろ疲れたな。。

毎日投稿していく予定です。


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