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北上その先


僕はこの旅でトランポ公爵を見直していた。

万の行軍は指揮者の能力が問われる。

騎士が多くいる他国に比べ、僕たちは修道士や白魔術士など行軍に慣れていないプルトゥゲザ王国軍が多い。


遅れが見えれば行軍を遅らし。

疲れが見えれば休憩の段取りを行なう。

また多くの収納袋のおかげで、食事に困る事はない。

定期的な時間に料理を配り適切な夜回りの警備配置も補っていた。


 定期的に行なう事で十字軍に安定が生まれる。


「猪八戒。昔軍隊にいたのですか?」


「ええ聖女様。若い頃は結構国内でも戦乱が多く。私は島の出身で主に海賊退治でしたが」


「なるほど。ぶひがないでし!えい!たぁ〜『唸れ風刃(ウィンドカッター)』!」


「ひ、ひゃー!酷いでぶひ!痛いぶひぶひ!」


聖女の遊び相手もよくしてくれる。

カネラのウィンドカッターは小さいながら威力ありそうなのだが。。ぶひぶひ避けたり水で盾を作ったり意外とタフだ。


 先頭を進むジャコモの騎士団は魔獣などを退け。

僕ら聖女達の行き先の準備をしてくれる。

綺麗な鎧も今や泥にまみれていたが誰も文句を言うものがいない。ブタペストを抜ける事で皆思う事があったのだろう。


「Around the world 新しいことに〜 Around the world フミダスチカラで〜Around the world〜 世界は変わるさ♪」


カネラが歌うのは日常的になった・・

でも声が透き通るのと上手いので皆何も言わずに。遠征は進むしかないのだ。少しだけ癒やされた。


時間は夕時前。夜営の準備を皆がするのを横目で森に入る。


「ここまでくれば大丈夫だよね。アク〜出てお出で」


「ク〜ク〜シュ〜?」


「うん。では魔力入れとくね〜近くで食料も探すか」


夜中は光バレる可能性があるので、この所食事前に魔力共有する。アクは時々カタゴトの言葉を覚えている。名前を言われる、となんか嬉しいよね。


精霊なので魔獣や獲物を見つけるのも得意。

行軍で多くの騎士もいるので、食料問題も必要な事である。


「もう一匹いた〜それ!」

『クークー!(ぶくぶく.。..。)エライ?』

「偉いぞ〜ありがと!アク♪」

『アリ、ガト。。?クー?』

「感謝の気持ち。いつもいてありがとうね。アク♪」

『クークー♪』


 アクを投げて獲物の顔に着ける。

呼吸を押さえつけるので傷もなく効率的な狩りだ。

今日はダチョウでこれで五羽目。

結構いるもんだ。でかいなダチョウ!


「…なるほど。約に立つのだな、スライムも」


「!!誰だ!」


森の中で警戒は解いてない。

隠密系の技術(スキル)か。。

構えたがあちらはすんなりと姿を現す。

ジャコモの鎧、騎士か。。単独は珍しい。


「ん?あぁ悪い。兜を脱ごう」


「・・あれ?ジョバンニ?なんでここに?」


「失礼な奴だ。初めからおろうに。。ジェノヴァを代表して行くのだぞ?責任者はいるだろうが。シュリンプ」


 それから少し話をし、ブタペストでの事を褒めてくれる。ジャコモは王族の分家で、見守りの任務にもあると。挨拶が遅れたのは聖女と大体いるかららしい。まぁ甘えん坊だしカネラ。(視界だけど)


「シュリンプは人気を避けるのはなるほど。精霊か」


「・・怖くないのですか?」


「ん?私も精霊使いだぞ?ほら、出てこい」


『ギャギャギャ〜』


おお。サラマンダー。尻尾燃えてる。。


「クークー?(ガブッ)」

「アク!食べちゃダメ!!!」

「(ペッ。。)クーゴメン。。シュ〜クー」


「すみません。小さくなってるけど。大丈夫と思いますけど。。」


「あぁ…そのスライム。喋れるのか?サララはあの程度で消えはしないが。。驚いたな………少なくとも話せる精霊など・・」


「あれ?ジョバンニも魔力与えてるのでは?話せないですか?」


「いや。。もう十年の付き合いになるが。呼べばくる。確かに冬とか暖炉を好むが。。魔力を与えたりはない………規格外なの思いだした」


 ジョバンニが精霊と合ったのは駆け出しの頃。

古跡の探索で南イタリシ、ポンペイに行った時だ。水路より隠し階段が見つかり地下10階層で偶々(たまたま)見つけたと。

 神々(こうごう)しさから精霊と分かったが、弱っていたので魔力を与えた。すると元気になりそれから魔剣に付いたり、炎球飛ばし助けてくれたという。確かにサララはトカゲと言うより小狐ぽい。

アクに怯えているが。。もう。メッ!


「すまんな。精霊は恥ずかしがりやなのだが。もう一度見てもいいか?」


「はい。アク〜出てこい〜」


「…人型で三目。。魔力はサララの数十倍はあるな。。大事に育ったみたいだ。さすが神の子シューリヘトだな?フフフ」


「もうからかって!アクは大事な友人でし!」「デシ!」


「ああ。期待している。そなたの知識で多くの十字軍が救われた。改めて。感謝を」


「‥‥‥でも。多くの人を亡くしてしまいました。。あなたの部下の冒険者達も。。。」


「あの状態で冷静に指示が出来たのはそなたのお蔭であろう?もちろん口うるさい子供がどうとか皆言っておったが。。。あの状態で正気を保つ。私も指が震え得る作業であれ、一度も恐れを見せていないシュリンプ。神の子でそのものであった」


貴族特有の膝を着け左手を伸ばす。。



「副ギルド長はいろいろ助けて貰いましたから。手は取りませんよ?まだ先は長いのです!さぁダチョウ運んでくださいね〜」


僕と副ギルド長は笑いながら皆の下に行く。

ダチョウは喜ばれ久しぶりにワインが振る舞う。

トランポは腹を出し炭で腹踊りを始め。

皆は大笑いで酒を交わす。


そう。辛い事が合ったからこそ。

宴会は必要なのだ。


カネラは歌い止まらない。

「プハーッ!おい!孫悟空!そちも歌え!」

「カネラ。。また寝小便しますよ?早く寝ないと」ぐびぐび。プハー!ハンガリー製は度数高い♪


「くッ!それを言うとは。。沙悟浄!サゴー!」


「はい此処に!泥酔姫(酔っぱらい)。アコギの準備が既に整ってます」


最近エーリスは聖女に毒舌だよね。。

まぁ面白いからいいけど。もっと言え(にやにや)


「ほれ!シュリンプ!歌え〜踊れぃ!」


ん〜あんまりギター弾けないのだけど。


トルゥン トルゥン …トルゥン トゥ〜 トゥ.トゥットゥトルゥントットトト トルゥントゥ〜トゥッ..


を♪エーリスも合わせてくれる。

簡単なフレーズだから合わせて。うん思い出して来た。


『catch the wave〜♪』


歌うのはカネラかい!

まぁ英語も分かるし上手いからいいか。

エーリスも巧く合わせくれる。



  辛く苦しい時があるから 笑顔になれるんだぁ〜


  Catch the wave, 感じてその手を合わせて

  合致して負けないでみんなだって悩んで〜♪


    太陽からもらっているエネルギー

      自然の恵みと香り

    海の風 山の小川 森を浴びて

       小鳥とアコギ〜


僕は日本語のフレーズを歌い。

久しぶりにカラオケに行った気分だ。


束の間の息抜きの時間を過ごす。



□□□


旧スロバキア領はけして広くはない。

東欧州において中心を位置し山に囲まれた高地に当たる。元々というか、ハンガリー王国に支配されていた為大きく風景は変わらない。

 

赤い屋根、高くない牧草と牧場の柵。

そして温度は夏というのに少し肌寒い。

風が強く大きな建物もない変わり映えのない田舎の風景だ。


集落の規模は小さく、どこも離れて家がある為か黒死病(ペスト)の被害は見慣れなかった。

高地の為ネズミも避けて行ったのか。


「この辺りは大丈夫ですね」


「ふむ。しかし農民の者は。。近寄ろうともせぬのだな?」


集落で井戸を確認し、しばし休憩だ。

ちなみに井戸も補充しておく。ジャバー


昔に帝国が攻め入った原因かもと思うが、この地域もまた戦乱に明け暮れていた。十字軍と知っていれど、近づかない。


軍隊がいきなり虐殺を始める事も良くある事なのだ。

農民は端に固まり。ゴソゴソと小規模で話をする。


…こいつ等は大丈夫か?食糧は取られないか?家畜は奪われないか?殺されはしないか?


「根暗な感じね。もう」

「まぁ仕方ないよ。休めるだけいいと思わないと」


ふと遠くから小さな女の娘が寄ってきた。


「ん?こんにちは、お嬢さん」


「あ、あ。はい。こんにちは。。あなた方はもしや。バートリ夫人を捕まえに来たのですか?・・でしたらお止め下さい。帝国兵と同じ帰らぬ様になります」


「・・いえ。私達は流行病の治療と帝国兵より救いに来ました。北上しプラハへと。帝国兵は近くに?」


「そうでしたか。でしたらチェイテ城に近寄らず。お進みください。私達はバートリ卿に感謝しております」


詳しく話を聞こうと思ったが。

少女は楚々くさと去って行った。


「何か怪しいわね。事件の匂いがぷんぷんと・・」

「ごめんぶひ。おナラバレたぶひ?」

「うぉい!ブタ!くっさー!」


騒ぐ二人を放っといて、少し嫌な予感がした。

見つめる先に。カルパティア山脈が佇む。



□□□


「ふっ!んんン!はっ、はっ。。」


「姫様。イリャバの村民より連絡が。十字軍がもう近くにいるとの事」


「ふぅー。。なんじゃフッコ。寝儀を見るとは。関心せんのぅ」


「・・申し訳御座いませぬ。それは既に()()()()()が」


 寝具(ベッド)には乱れた裸体の貴婦人の姿が。

興味無さそうに腰を上げて()()、動かぬ()()の胸を突き潰す。悲鳴の一つも聞こえず血の滴る音だけが。布団を濡らす。


「帝国は肉体美(タフ)と聞いて負ったが。。張り合いのなぃ。さてさて。神兵は楽しましてくれようか?ひひひ」


 全裸で興味も無さそうに窓から外を伺う。

 霧が出ており、丘の下の様子はわからない。

 ただ、森の葉は湿っていた。

 初夏を迎え様とするのをだが、まるで春先の季節風が如く風が呻いていた。



「フッコ。さっさと次の男(エサ)を連れて来い。血が(たぎ)って押さえれんわ」


「はい。恙無く。」


フッコが連れて行く帝国のその亡骸(したい)は。

”ラインハルト・ハイドリヒ”

旧スロバキアに十字軍を足止めの為派遣された、帝国軍2000の兵を率いた親衛隊長であった。


  透き通る様な白い裸体。

  ふわりと舞う羽の様な茶髪。

  赤眼は細く少し垂れており。

  保たれた姿と女性らしく丸みを帯び。

  見た目20代の貴婦人しか見えない。


  エリザベート・バートリ伯爵夫人。

その丘の上、石垣の城がシューリヘト達の行方を阻む。

毎日投稿していく予定です。


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