豪傑の八戒
好きな回です。
よろしくお願いします!
チェイテ城は小高い丘にあり。
庭園なども準備されているが風が強いので低い雑草が生い茂るだけの古城であった。
周囲の頑丈な石垣以外は代わり映えがなく。
珍しいものは地下にある拷問施設ぐらいであろう。
庭園でお茶を飲み。
従者と共にいる貴族の風景があった。
「姫様。取り逃がしてよろしかったでしょうか?」
「ふむ、フッコ。儂が死ぬのを待っておるのか?」
「いえ。姫様が望まれてるかと思い故」
「・・良い。また機会があろうて。神の子シューリヘトか。奴もまた。我と同じ”在らざる者”だ」
―――確信はある。口を吸いつつ牙で少し。
飲んだあの血の味は忘れられない。
神官や巫女とも異なり。
あんな苦味のある血は初めてだ――
混ざっている、この世の理不尽と。
「奴も・・不老の呪いを持っておる。神の呪いをな」
バートリ夫人はこの十数年後三男三女を養子に迎え。
バートリの家督を継がし守らせた。
本人の事は秘密とし。不死は尽きる事なく400年の更に生き。
不死故に死を望み。
追求し残虐行為へと思考が変わったと伝えられた。
後に「血の伯爵夫人」と恐れられる様になる。
彼女の美貌は保たれていたのが崩れたのは500歳を過ぎてから。
―――その苦悩は誰にわかるだろうか?
不死であっても不老は失われ。
肌は緩み色も濃いくなる。
あの張りのある乳房も下を向く。
まるで騙されていた様に老いは容赦をしない。
唯一。血の風呂に入るときだけ忘れさせてくれた。
処女の若い血は甘美の香りをしていたのだ。
東欧州にその名とその残虐さを深く印象つけた。
ただ。この一帯がどの国にも支配を受けず。
養子の子孫はハンガリー王国の王になるほど影響力があった。例え吸血鬼としれども。残虐な悪魔と恐れられたとしても。美しく在りたかったのだ。
少なくともこの周辺の村には慕われていた。
―――彼女の苦悩はまだ始まってもいない。
□□□
終わった。。
瓦礫に座り辺りに動く気配が無いことを確認した。
もう闇の亡者達は現れない。
「つ、疲れた〜」
ああ。暖かいベッドが恋しい。
ゆっくり寝れればそれでいいかな。。
「隣。宜しいですかの?」
「はい。猪八戒。。うぐ。トランポ公爵」
「はっはっは!八戒でよろしいですわ。年も年なので若くなった気がしました」
正直この太っちょ貴族があそこまで力があると思わなかった。いや誰が思えようか。『豪傑』のふた文字でクレーターを作る化け物。。
お陰で助かったと思う。
騎士団の被害が防げた。何人かは失うが。。
「・・八戒。疑問をお聞きしても良いですか?」
「ええ悟空。何なりとぶひ」
「神国が内戦に合った時どうしてその力を?その力があれば抑える事も出きたでしょう」
「・・痛いとこ突きますな。流石シューリヘト様。私はそなたの父上。領主様と約束したのです。どっちにも着かないと。。」
「・・そうですか。父上はなんと?」
「領主様は、争うなら好きにさせろ。わしもそうやってきた。勝ったものが苦しむだけだ。そして、もしシューリヘト様が帰れば隠せ。クリル達と島で幸せに育てろと。。守ってくれ。トランポ。あれは宝だ」
驚いた。。父上がそんな風に思っていてくれたのか。
「私。正直領主は嫌いでした」
何か爆弾発言!
「リューは。リュフォーリル様は私の娘みたいなものなのです。。」
トランポは淡々と話してくれた。海賊を倒せる様になったとしても、お婆様には叶わない相手だったと。島民同士昔はお祭りがあり、良く他の島で遊ぶ事があった。
リューは本当に可愛らしく、エギナ島でも有名だった。誰が彼女を嫁にとるのかと。そして領主一同が現れ。攫うが如くリューは連れて行かれた。
ボリネスクは島民を上げ、本気で首都に乗り込んだ騒動があった。
「あれは驚きましたよ。本気で首都を滅ぼすつもりで皆集まりましたから。しかし実際に戦闘には成りませんでした。リューは。惚れやすいのです。。貴方様と同じように」
またまた爆弾発言!一月で惚れた母!チョロい!
「落ち着いた頃。リューは帰って来ました。流石に身重で帰らす訳に行かず。。ライン様ですね。リア様の時も。シュー様を身籠ってからは島に居残りました。病弱だったのですよ?ああ。大きくなって。。」
僕は本当に生死を二年くらい彷徨ったらしい。。
「そしてクリルとリリル。双子というより初の女の子。ボリネスク様は一気に柔らかくなった。あの島では本当に幸運に恵まれてたのですよ?」
クリ&リリはトランポに取っても孫娘だったらしい。忙しく会えないが、婿候補に養子を入れるくらい溺愛だ。。ココは聞くんじゃなかった。そういえば何度か灯籠祭に来ていたみたい。
「だから驚きました。私、領主嫌いといいながらリューの息子をかわいがってましたし。嫌味の一つでも言われるかと」
「確かに。。貴族の交流も出ないトランポリンて聞いた事あります。。」
「だってピレウスが忙しいのに。行けないでしょう。ハハハッ。領主様が少し柔らかくなったのは貴方のお陰ですよ?シュー様」
「え、僕迷惑しか。。あれ?」
「そう。馬鹿みたいな祝福。ぐちぐち言う神殿関係者にカウンター。洗礼式でもこれくらいやれよと言わんばかりの暴走。そして神の子と街中で称えられる。最後にはレグザ島を救った英雄と。レグナムで知らない人はいませんよ?領主はさぞかし嬉しかったでしょう。貴方も大きくなればわかると思いますが。親は子を褒められると嬉しいのです」
―――ヒュン
そうか。父上は。確かに褒めてくれていた。
優しい笑顔で。兄達に守れと。。。ああ。なんで忘れていたんだ。
ボロボロと泣く僕に大きな手を頭に乗せる。
「クリル様もリリル様も大きく育ってますが。。夜時々泣くのですよ?『しゅーにぃ。しゅーにぃ』と。速く顔を見せて上げないと。。お兄ちゃんでしょう?」
絶対狙ってるな。。ああそうだよね。家にいた兄はずっと僕だけだ。見つけるとヨチヨチと二人共に寄ってきて。甘えてた頃を思い出す。ポツリポツリと。。。
(にぃにぃ〜)(しゅ〜にぃ〜)(食べれるの?)(遊ぼうよぅ〜)(うわ〜きれい♪)(ありがと。にぃ♪)
うぅ・・妹は元気にしてるかな・・
「猪八戒。天竺はもう目の前ですよ!悟空もぐずぐず泣いてないで!いざ!」
「タイミングが最悪過ぎます!!!法師様!」
「生き〜ることの〜苦しみさえ〜きーえるとーいううよぉー♪」
クソっ。悔しいけどこの旅で歌が上手くなってやがる。。
早速と後ろ向きで歩くから。。ぐにぃ。。。あぁ〜あ。ウンコ踏んでる!
「うぎゃ!こ、これは!悟空!水じゃ水を!」
「臭いので近寄らないでください。馬糞女。ペッ!」
「おのれ、唾飛ばしたな!うぅ。。。」
「ばっちーばっちーバリア♪ペッペッ!」
「2回もした!見たぞ!沙悟浄。どこじゃ!」
「はっ!臭いので結構離れております!」
「ムキー!!小奴ら!つけちゃる!まてぃ!」
3人が3人追いかけっ子しているの。フフフ愉快愉快。
天国から領主様も困った顔して見ておるな。。泣いた顔がすぐに笑う。ええ子供達だの。
□□□
旧オーストリア神国。
いや、旧東ゴード王国という方が正しいと言えるだろう。
中央欧州に置いて重要な拠点。それがこの場所であった。
60年前に政変があり国は二つに割れ。東は共産軍事国とし首都をウィーンとし発展を続ける事になる。
政変の理由は様々だが、ゴード王国全体が大き過ぎた事にある。
西と東では考え方も違い、また人種すら異なる。
既にまとめ上げた神聖ロマノ帝国は300年も昔になる。
60年前。このウィーンを基とする貴族の影響が既に王国を超えていたのが分裂の原因である。
領土の相続をめぐってルクセンブルク家、ヴィッテルスバッハ家、ハプスブルク家が介入し。東国ハンガリー王や、ボヘミア王、フランク王国、ルクセンブルク共に大同盟を行った。
こうして東西でゴードは別れ。どちらも影響力が強い中にバイエルン帝国が攻めこんだのである。戦争が続くに連れて。
一強に偏る大貴族が帝国の誘いに懐柔する事になり。東ゴード王国は滅亡した。
現在その大貴族はウィーンを初め周囲の旧オーストリア神国を帝国に任され管理を行う。遠くバイエルン帝国の血を引く者。
未来に欧州随一の名門王家、ハプスブルク家の支配であった。
「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」
現当主伯爵ルドルフ四世の撃ち出す政策は。
欧州に深くハプスブルク家の血を残す事になる。
「くそっ。守りが堅いな。。手はないのか?」
「流石ウィーン。東ゴード首都だった理由ですな。ふむ。聖女の奇跡があれば状況も変わりそうですが。。」
ヴェネチアより高山を超えて順調に遠征をしていた”西ルート十字軍”のアンドレアとゴドフロワは。
攻めあぐねる高い城壁のウィーン攻城に手こずっていた。
城壁前に陣を設置し、大きな街を見つめる。
既に半月ほど足止めを受けていた。
毎日投稿していく予定です。
是非ブックマークいただけると嬉しいです。
下の評価、レビュー、応援コメントなどどれでも嬉しいのです。モチベーション上がります!




