閑話 マギノ・ラーム(魔義手の右腕)
義手の話でし!
ついに完成した。
僕の義手”魔義手の右腕”が。
思考錯誤を繰り返し、おおよそ十ヶ月。。うっ嬉しい!
聖女を救出して、数日後。やっと帰らせ落ち着いた頃に魔法組合に行く。
「久しぶりだにゃ〜シュリくん。ボスかにゃ?」
「ミーアさん。はい煮干しどうぞ〜あ、義手が出きたと聞いたので」
「♪煮干し煮干し♪気が利く子にゃ♪ほうほう。義手は5階だにゃ〜良かったにゃん。これで生活楽になるかにゃ?」
初めて上がる5階は、武器や防具また様々な冒険者道具が所狭しに置いてあった。おお。鍛冶屋みたいなのもある!
「ん?坊主冒険者か?魔法使うなら杖安くするぞ?」
「いえいえ。杖でなく〜ドゥカティさんどこですかね?」
「ああ。奥にカウンターがある。聞けば近くにいるだろうよ」
てくてくと歩いていく。お客もそこそこいて面白い所だ。男子ならばテンション上がる場所だが、今日は義手!カウンターはすぐにわかりドゥカティさんは初老のおじいさんだった。
「ほうほう。聞いてたよりも小さいのぅ。ほれ出来ておるぞい」
「わーやった!着けてみていいですか!」
「うむ。関節部に魔石を入れて駆動には魔力「バキバキッ!」を入れて。。おい!壊すでない!のぉおお!?」
腕根に着けて、少し動かしたらバキバキに。。えーん。。
「小さいのに魔力が多すぎるんじゃ。。わしの三ヶ月がぁ!」
「ごめんなさい。。うーん木ではダメですねえ。。なにか変わりの金属でできませんか?」
「魔力を通し動かすならできんでもないが。。魔石が持たん。。重くなるし手入れも金属は現実的でない。錆びるしのぅ。。」
そうか。確かに重くなりそうだ。
ちょっと鉄腕アトムみたいなの期待してしまった。
「魔力が通る媒体があれば。。ふむ〜魔獣の骨とかどうじゃ?」
それではアンデットになる!NOー
媒体媒体か。。あっ!
「これでは媒体の変わりに成りませんか?魔力通り易いですし」
イレーネに貰った真鍮だ。量はギリギリくらい。
実は魔力の通りが良く、アクも入って遊んでた。
スライムベスの黄色だったが。
アクいわく少し重いから水のほうが好きらしい。
真鍮にしては柔らかく粘土みたい。
「こ、これわ。。神鍮ではないのか!?」
「オリハルコン?」
コテッと頭を倒し指でこめかみを。。
そういえばどこか聞いた気がする。はて?
「凄いんですか?まあ媒体にできればと」
「ああ!やってみる。来週また来い!」
僕はお願いしますと後にする。
そして翌週。
おお。それっぽい。爺さんは綺麗な腕型を見せる。
「どうじゃ!性能のいい魔石「ガキーン!バキバキ…」ぬぉお!壊すでない!ううぅ。。」
んー壊れたのは可動部の魔石部分なのでその辺りか。
それから毎週。。試着しては魔石を壊す。
ミーアは「かつお節がいいにゃ♪」と贅沢になり。
ドゥカティ爺さんは心が折れてきた。
□□□
「・・という事なんです。上手く行かなくって」
「まぁそれで魔石を調べれに。ん〜大きくいい魔石があれば代用効きそうだけど。。腕が頭みたいに大きくなるわね」
それも嫌です。はい。という事で今久しぶりに魔石を調べに図書館に来ている。それでアルジェさんに相談した。
「ん〜専門ではないし。。あ、そうだ。聞いて見たら?専門家に。ちょっと待ってて!」
「こんにちは。う〜ん私はクルーランや歴史を翻訳しているだけなので、錬金術は詳しくないのですが。。」
ロバートさんと呼ばれたその人は、無精ひげでパーマかかった大学教授といった風貌であった。アルジェさんに聞くと、最近毎日図書館に来て調べものをしてるので、役に立つのではと。
「この子はシュリといいます!幼い子供が困っているのに。。助けて上げれないのですか。。ああお労しい」
うぅ。。と嘘なきをしロバートは見事騙された。チョロい。
僕はかくかく然々と事情を話し、そしたら逆にどういう機能をつけたいのかと尋ねてきた。
「職人ではないので、魔石が壊れるなら付けなければいいと思うのですが。。義手で必要とする事はどんな事?」
確かに。ロバートが言うには神鍮といえども金属なので、加える物質により硬度が変わるはずだと。なら手の部分は柔らかく変化させればいい。そして固い部分を腕のベースなどに。
まさに化学者的発想だが、神の金属と騒ぐドゥカじぃよりは現実的と思う。
それから図書館で話し合い、物質には詳しいからといろいろ話した。だんだん乗り気になり実際に魔法組合の5階でドゥカじぃを交え打ち合わせをする事となる。
あーだこーだ言っても決まらず。とりあえず少し譲って貰い調合してみるとロバートは張り切った。
それから半年。。調合の実験漬け毎日をロバートはこなしてくれて3つのパーツが出来上がった!
まずは上腕部。これは単に魔力の触媒用。
短い腕を囲むだけの代物だ。神鍮そのものに近いが表面はコーディングしている。
中腕部。関節部分に柔らかい神鍮、棒二本は繋がれ骨の変わりに。ちなみに固い神鍮だ。全て神鍮のみで作られる。
手の部。丸い球状。しかし全体で柔らかい神鍮で変化
が効く。魔力次第でどうにでもなるし、容量が足りないなら薄く伸びると。つまりあれだ。見た目ドラちゃんの手。浮いてるけど。
三つの部位は繋がっておらず、普通の人は動かない。
ただ魔力で反応する様になったので着けて流せば浮くらしい。
そこまで聞いて早速試す。
上腕部を着けて魔力を流すと。。。おお!超合金みたいに腕が浮かび上がり自由に動く!しかも手は。。グーパーできるん♪
「驚きましたな。。こうまでスムーズに動くとは。。魔力は大丈夫ですか?」
「・・実際浮くんですね。そう作りましたが、これは。。」
「最高でし!これで。。鍋も振れますし、じゃんけんも!チョキも行けます!」
僕はビシッ!とピースサインをした。
ここに世紀の大発明。”魔法の右腕”が完成する。
「ありがとう!皆さん!神に感謝を!」
ズパパーンと青い光が落ちて。ラームより水とシャボン玉が出るわ出るわ。。久しぶりの祝福テロだった。
みんな見事に固まる。
う、うん水を出してもラームは大丈夫!壊れない!
せっせと後片付けをし。
「では。」
「「ちょっと待て!」」
うぅ。。
□□□
ロバートは錬金術に興味を覚えて、また実際に見た魔力の魅力に捕らわれる事になる。その後様々な本をラテン語に翻訳し、残す。彼の作品は日に当てられたのはもう少し先の世界であった。
遠くイングランドよりゴート、イタリシ、そしてジェノヴァ。数々の出会いを旅して行った経験が花を開く。
この義手事件をきっかけに、イスラム、ジャービルの書をラテン語に翻訳しヨーロッパの錬金術と、後の化学の発展の礎を作った。
さらに。その後モリエヌスを『錬金術之構成書』として翻訳する。
ジャービルのアラビア語による『Kitab al-Kimya』はAlchemiaの語源となる事に。
後に彼は”チェスターのロバート”と呼ばれる事になる。
その著書はあの天才錬金術師パラケルススに多大の影響を与える事に。今よりさらに400年の後である。子供の頃、喉から手が出る程に欲しかった、部屋にはいつも置いてあったと後世パラケルススは述べる。
彼の行った翻訳は錬金業界に多大に影響を与えた。
チェスターのロバートが錬金術に興味を持ったきっかけは。右腕のない子供の義手を作る為など。
歴史にはシュリはどこにも残されていない。唯ジェノヴァを期に趣向が変わっただけと記載されている。
そして現在。終年インドの算術の書を翻訳していたロバートは。我々に欠かせない技術を残す。後にビル・ゲイツが友人に話したと聞く。
「我々が成功したのは技術ではない。その発想力だ。チェスターのロバートの訳書へ記載された”アルゴリズム”がヒントになった」と。
彼の翻訳は多くの言語の根源を作ることに。
歴史の真実は得てして不可解であるものだ。
2章ありがとうございました!
週末閉話をいくつか掲載します。
3章は週明け予定です。お楽しみください。
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