シチリア捜索
翌朝。身支度を整え聖女救出に向かう。
ジンクスではないが昔の神殿服を。
燃えているが一番しっくりくる。
うん。。サイズぴったり。成長はどこへいった!
エーリスは既に船の手配をし迎えに来てくれた。
昨日と違う事は黒をベースとした服装、そして長い髪をバッサリ切っていた。
「髪を切ったのか?」
「はっ。変装しやすいが為染めていた故。今は神に使えし時、この髪形は古来よりの巫女の髪形です」
・・おかっぱに少しボリュームがあり。
徹子さんにしか見えない。
けど眼力強くなったね。黒髪だったんだ。。
年末なので帰宅の人も多く、連絡船内は混み合っていた。昨日より続く雪の影響もあるだろう。ナポリを経由でシチリア自治州に入ったのは伍の刻になってからだ。僕らはパレルモに向かい情報収集に。
「呑気な田舎な感じがすんだけど。マフィアの島なんだねぇ」
「元々は皆農地管理人ですので。農業を主とした産業をしております。また地元では人気です」
「なら幸せに過ごせば良いのに」
「そうですね。ただ周りの環境が許してくれません。ここは地中海でも中心の島。皆が欲しがり何度も支配下におかれています」
歴史が物語っている。ロマノ、アラビアン、ファーティマ、フランク、西ゴート。北欧ノルマン、イタリシ、そしてオーストリア。東ゴートと住む人すら混血を繰り返し、何人かわからないらしい。
「そっか。その度に変わり。搾取され続けたんだね。。」
「はい。六年前にイタリシよりサヴォイア家が管理とありますが。実際は追い出されます。シチリアにとってイタリシすら他国なのです」
「公正さを微塵も期待できない社会か。なら自分達で自治管理か。少し気の毒でもあるね」
「些かやり過ぎになってますので。容赦はしません」
山あいをゆっくりと馬車で揺れながら。
それぞれ特徴的な集落を見ながら大きな島だなと眺めていた。
そんな中でも商会証でやり取りをしている。優秀なんだな。と思う。
「エーリスは、帰ろうと思わないの?聖女を救出すれば別に無理に付き合わせる気はないよ?」
「いえ。シュリンプ様が怖いのは本当ですが。私も生まれは島のもの。神国は知っての通り内戦をしてました。ここと同じですね。上が変われば風を見て。調略や暗殺、妨害やで嫌気がさし出ました。一族という縛りから出たかったのです」
「しかし現実は。出てもやる事が湧かないのです。結局従うしか能がないと気付き。できれば神に使えるこの機会を大切にしようと」
「そっか。僕もレグナム神国出身なんだ。あんまり覚えてないけど…よろしくね♪」
!!間違いない。彼は、神の子だ。
我が一族がどうしても見つけれなかった”シューリヘト・オズベルタス・レグナム”神の子にしてレグザを救いし者。
あぁこれは。伝えるべきか否か。。
――言わない。
悩んだ末の結果、私は今従者としている。
青の間で遠目に見えたその綺麗な瑠璃色の髪と金色の眼。そして深青のシャボン玉の祝福は忘れません。
私が知っているのはそれだけだ。
右腕を失い。より強い力をもった神の子。
言えばすぐにもレグナム神国に戻るだろう。辛い思いをしレグナム神国を建て直してくれる。でもそれは望む事ではない。
これからどうなるのかを。側について見たいと思ってしまった。
この小さな子供がどうなるのかを。
年相応の顔にはしっかりしているが、どこか心配そうな表情を見せる。不安なんだ。神の子ではなく、一人の主として付こう。
私は初めて自分の意思で決めた。
主を選ぶのは初めて。
祈るように跪き。手を交差させ。
「シュリンプ様。一生お付き致します」
「う、うん?」・・そんな話ししてたっけ?
馬車はゆったりと島を進む。
日が赤く染まる頃には。ミケーレ・グレコの本拠地、チャクッリの街が見えて来た。
□□□
「新年前というのに人質とぁ面倒だな。コーザ・ノストラ叔父貴も帰るらしい。。地下にはおけんな?」
「とりあえず。送りますか?」
「カリャリか。。仕方なし。でも殺されねえか?神官など相当恨んでるぞ?奴は」
「コカニーで手を打ちましょう。まああそこなら分からないはずです」
「そうか。まぁそうだな。とりあえず連絡だけ。聖女は海岸通りの地下墓所でも入れておけ」
とりあえず聖女というのは本当らしい。騒いではいるが、食い物食わせば落ち着く。後はどういう風にグレコと接触するか。。
地力はあっちの方が格段上だ。まともにやれば潰される。。か。幹部が集まる前に手を打たないと行けねえ。
……クソっ!情報が足りない。。
バチカンで何かあったのか?
「リッジョ兄!分かりました!教皇が。。現教皇が死んだとナポリより連絡が!」
「そうか!聖女と関連は?」
「死んだ教皇に東欧より連れて来られたくらいですが。。後街では有名な神の祝福を持つ聖女と」
…という事は枢機卿絡みは間違えない。
グレコもそうそうバチカンを離れられない筈だ。
「……よし。港に行くぞ。海賊らに話しを通す」
□□□
『ズドーン!』
静かな町に爆音が響く。
大きさは中程度、周りに比べて壁が高く装飾の目立つ屋敷は、水球で壁が崩れ大混乱に陥れる。
「なっ!?襲撃か!どこの組だ!」
「シュリンプ商会だよ。お邪魔しまーす」
「シュリンプ様、後は私が」
流石もと隠密部隊。足音を出さず当身だけでどんどん寝かせていく。そのスピードは目を見張るものがある。
「くそっ、こいつ速えぞ!」
「囲んで捕まえろ!」
「女如きがグレコ組と知っての事か!」
四人に囲まれ、捕まると思った時。
エーリスは振れた。いや、あれは。。分身か?三人になったエーリスは足払いや抜き手、回し蹴りであっと言う間に無力化させた。
「ほう。見事ですね、エーリス」
「はっ!私の特技”分身術”です。索敵によると。。三階に数名いますから、ここは始末しますか?」
「いや。上がるぞ」
……結果からして聖女はいなかった。
有益な情報もなく、わかった事は別のマフィア、ルチアーノ・リッジョの酒場で仲間が殺されていたと。そして聖女の受け渡しは第三者が介入をしている。グレコ自身はナポリにおり、コンクラーヴェが終わるまでは帰らない。命じられた事は「聖女を隠しておけ」だ。
「んーマファア同士もいろいろあるんだね。リッジョについてエーリス何か知ってる?」
「そうですね。新興勢力と思いますが目立った人物とは。場所はコルレオーネです。聞き出しました。大きな家族です」
とはいえもういい時間だ。
僕達はパレルモの繁華街で宿を取る事にした。どこも酒場だらけで悪そうな奴ばかりか。。適当に食事を買ってこさせエーリスと話す。名産品とお願いし。意外と美味いな、ライスコロッケ。あとレモレモ酒。ぐびぐび。これはキープだ。
「聖女とはどんな人物何かな?やっぱり可憐でお淑やかな感じ?」
「・・外見は。しかしどの様な性格までは分かりません。一度拝見した時。銀髪、銀眼と神々しさはありましたが、あの目は見えてないのかと。。」
「!眼が見えてない?」
「確かな事は言えませんが、祝福の際視界が定まっていませんでした。が動作などは普通でしたので一概に決めかねます。年は14、5くらいでしょうか。成人はしてないと聞きます」
眼が見えないと仮定すると。。誘拐は簡単だろう。
祝福ができる、また魔力はあるはず。魔力関知を極めればある程度見えなくても分かる。。実際”索敵”など技術は魔力操作の応用だし。
・・聖女か。どんな人だろう?
まさか”失われた魔法使い”ではないよね。。
視力を失ってまで得るものなどない。
「もう殺されていたりは。。」
「可能性はありますが、あまりにも意味がないので。コンクラーヴェの間行動できない様にする、まぁ奴隷として売るにも知れ渡り過ぎですし」
「そうだよね。じゃあ恨みのある所へは?教皇はともかく、教会側に恨みも強い組織もあるでしょう?」
「・・なるほど。神殿派、光明会、シオン修道会、、そして何よりオスマン帝国の赤髭。教会に何度も攻撃を仕掛けてますから」
「海賊と仲悪いの?」
オスマン帝国は地中海の南に位置する大国で欧州を400年前牛耳っていた。しかし教会率いる欧州連合軍により再び南へ戻される。
もちろん大きな戦闘がなく有効なレグナム神国や旧東ゴートもあるのだが、西ゴード、イタリシと長きに渡り海上交易権を争っている。
単純に南側は砂漠も大きく、土地が痩せてる。
北地中海は技術も発展しており食材が豊富。追い出されても昔取っていた土地を求め小規模な争いは無くなる事はない。と。だからこのシチリアみたいによくわからない国が無数にあると。
エーリスに聞いて驚く。
南側はほぼ無警戒だった。
世界はこうして様々な関係や交流、戦争や支配をもち今に至るのだ。
「オスマン帝国も視野に入れないと行けませんね。。地中海で要注意人物は分かりますか?」
「それは現在カリャリを占領している”赤髭”の異名バルバロス・ハイレディンです。1196年兄ウルージを西ゴードに討たれましたから」
何と。僕が生まれる頃から争いが。。
そして”赤髭”たぶん敵決定。これ確実・・
どうなってんの!?この世界。いろいろ問題多すぎぃ!
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