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優しいジェノベーゼ

好きな回です。是非感想を。


 ペリークリトを出て歩く。スクエア型の大広場は更に人が増え、噴水や大きな石像に人が集まっている。


僕は真っ直ぐに大きな大聖堂に進む。


それは生まれてから当たり前の様に行っていた祈りをするため。

近くに行けばわかるが、本当に大きな大聖堂だ。まず入口の門がアーチ状に3つもある。装飾もハンパない。


 入口より空を突き抜けるほどの高い天井。

 身廊は長く優雅な彫刻がある長椅子。

 カラフルなステンドグラス。

 天井には物語の一片の絵画が覗く。

 石をベースにしているアテネとは違い、ジェノバの大聖堂は木をベースとしている。

 白と黑を基調とした中央絨毯を歩いていく。

 床の大理石は幾何学模様柄の菱形が永遠に続く。


 祭壇には誰も立って居なかったので。

僕はいつもの様に足を躓きお祈りをする。


―懐かしい感覚が言葉を呼ぶ ヒュン


『海の神ネプトゥヌスの加護を給えたもう』


すると、スッと光の柱が伸びた。。あれ?

魔力は込めていない。。はず。


『クー?』


後ろから何事だ?とザワザワと声が。

まずい。。とりあえず中途半端は良くない。


「咲かせよ 鼓草(ツヅミグサ)の羽種の様に」


僕の声と共に羽光がパーッと舞い散る。

光の柱は消え、天からの祝福という事で。うむ。いい出来だ。ひと仕事終えたと。よし。バレる前に帰ろう。

立ち上がった時には既に神官に囲まれてた。


「少しお話をよろしいでしょうか?」


「あ、はい。。」




□□□


 大聖堂の横の通路の扉が開き、地下に入る階段が見えた。

神官の服は綺麗な青いシルクで上から被さってあり、高貴な神官とわかる。

階段の横ドアが開き、待機場の様な個室に通された。


「サン・ロレンツォ大聖堂神官長のサルヴァトーレでございます。まずお名前をお聞きしてよろしいかな?」


「はい。シェリンプ・リルです」


「では先程の祭壇で光の柱について。。聞いてよろしいかな?」


「久しぶりに教会に祈りを捧げました。三年ぶりですので祝福が出てしまったのでしょうか」


「ふむ。魔力のあるものは(ぐう)に祝福を授かるいうが。どちらで祝詞(のりと)をお習いに?」


「レグナム神国の神官より。幼少期二年ほど習いました」


少し周りの神官がザワつく。


「なるほど。旧神殿派か。某方の着用している服も合点が行った」


「旧神殿派。。?聞いた事はありますが、新革命派とか、違いとかございますか?・・内容まで違いがわからないです」


少し困った顔をする。周りの者もまぁよかろうと説明してくれた。


「旧神殿派はレグナム神国を元に東国に多い。神への祈りを行う。元より神殿も多く、それを作ったのも神という歴史的事実も踏まえておる。多くの神が存在するのは知っての通り。祝福もそれぞれ祈る神より効果が異なる。よろしいかな?」


 確かに。起源の話しはマシュー厶師匠もしていないが、おおよそその通りと思う。奇跡や祝福は慣れてきたがそれぞれの神で異なる。


「新革命派。これは今より1000年前に一人の人が神に生まれ変わった。絶対神であり他の神は存在しないという考えだ。主にはイタリシ共和国にあるバチカン宮殿の教皇が使徒とし存在する。祈りは神ではなく神に使えし天使へと行われている。西側諸国は多い」


・・全然違う。これは確かに。衝撃的だ。どこか古い記憶が、キリストか。


「ここの国も新革命派が多いし私もそうだが。。私自身どちらも正しいと思う。どちらも祈り、祝福が得られるのだから。。しかし祝福を見る事で妬む、恨むものもあらわれる。。残念な話しだが。教会出身者に多いのだ。だからこそ今後祈りを行う時。気をつけなさい」


少し寂しそうに話しを進めだした。


「旧神殿派や新革命派となり争う事は無意味だ。あなたの国の有様(ありさま)を見ると心が痛む。。」


「!?なにが。。レグナム神国で何があったのですか?」


「知らないのか?。。領主候補が真っ二つに別れ。戦争しておるではないか。今もまだ内戦中と聞く」 ヒュン


それからの話はあまり聞いていない。

なぜそのような事が。。


「詳しく知りたいのですが。。今は心の準備が。。」


「それも良いであろう。教会は全てのものに開かれておる。いつでも訪ねてお出でなさい」


破れた神殿服姿を不憫に思ったのだろう。

神官長は子供用の神官服を渡してくれた。


「あなたは今まで見た中でも大きな祝福を持っている。神によほど好かれているのであろう。この出会いに神に感謝を」


「はい。また訪れお話を聞く事があると思います。メルクリウスの運の加護がありますように」


軽い祝福と祝福お返しだ。

赤いあかりがポッと僕に届き、くるっと振り向き様に破れている右から光の金箔が舞うように落ちた。


神官達は見たことのない祝福返しに驚いていると思う。


僕は真っ直ぐと。


大聖堂を後にし。


これから何をすべきか考える。


レグナム神国が。

僕の国が、内戦中だと?それも宗教如きの問題で!


『クークー...』


―――僕は怒っていた。



□□□


落ちついて考える必要がある。


 初めはペリークリトに戻り食事を取ろうと思ったが、人も多くいそうなので近くを探索した。何故か頭が回らなくなる。。


 逆の坂道を探索する様に降りていく。坂の角を曲がった所に、おしゃれな感じのリストランテを見つけた。

通路から階段を降りた側なので、人気も少なくゆっくりと出来そうだ。

ランテメニューの看板には大体3銀貨あればいける。


少し今の僕には値段が高めだが、その店に入った。


「いらっしゃいませーませ?」

「あ、一人でいいですか?日替わりパスタとコーヒーを」

「・・坊やコーヒー飲めるの?」

あ、ついクセで。。


「飲めます!食後にお願いします」

「はいはい〜じゃあ窓際が温かいわよ?どうぞ。パスタ一つ!」


食事ができる前に頭の中を整理する。


・・腕が無くなる前後の記憶があやふやなのだ。



――思い出せ。知らないと!



―まず妹に二人双子がいる。かわいい!これ確定。クリルとリリル。うん青い目と黄金の目。元気にしてるかな?


―兄上二人いる。。よね?ラインストーン。。とリアコタス!よし順調だ。どちらも年は離れて。。困った顔が浮かぶ。迷惑かけたんだね。。兄様。


―僕の周りには側使えがいる。。うん!いたんだ。あれ?もしかしてお貴族様なのかな?うーん。


―母上は。おっとりとして優しい。名はリュフォーリル。そして何やらもやもやと。。うー


―父上は。。顔はわかるが、名前が出ない。んー


―お婆様。。あれ?何で?。。涙が出るんだろうか?

たぶん。。死んだんだ。僕の右手と関係しているのかな?


「お待たせです!え、、ごめんなさい!?キツイ事行ったかな。。お姉さん。。」


「あ、大丈夫です。なんか辛い事思い出して。。いただきます」


湯気ホカホカのジェノベーゼは少し大人の味で美味しかった。

トメトの角切りと、蒸しエビのバランス、そして香草のマッチングが美味しい。香草。この味は―――


―――8つの椅子と大きな食卓が浮かぶ。。家族のみんな揃って・・・楽しそうに晩餐を。。僕の。。6歳の誕生日だ。。。 ヒュン!


でも、ダメだった。なんで。。邪魔するんだ!



一口食べる事に。お婆様の顔と記憶が蘇る。


―元気になったからいいじゃないか。

―坊や。おやつ食べるか?

―婆やの時は修道院に。。。

―偉いのぅ。もう古文字も読めるのかぃ。いひひ・・

――悪いのぅ。。最後まで。かわいいシュー坊や・・ ヒュン


ポツンポツンと涙が止まんない。もう限界が。近い。


「・・大丈夫ですか。あ!?無理だわこりゃ!マンマ!」


持ち上げられ、捕まえられ、横に抱かれて厨房へ運ばれる。うぐっうぐっ。。涙が。。止まんないよぅ。。


「マンマ!マンマ!」

「何だいミア!やかましい!お客様呼び込みに・・」


「パス!」


大きなお腹をしたおばちゃんの胸に押し付けられた。


「ウァーーーーーアアアン!お婆様。お婆様。。。えーん!!!!」


僕はぐしゃぐしゃになる程号泣をしてしまった。

おばちゃんの胸は僕の悲しみを包み込んでくれた。懐かしい様な。。

みんな。。ごめんなさい。。心配かけて。。。


・・・


優しく頭を撫でられる。心地よい。

「ほら。少しは気が済んだかい?泣きたい時は泣けばいいんだよ?」


「うん。ごめんなさい。。」


「悲しい事は吐出せばいいのさ。はぁ。まぁ驚いたけどね」


鼻をチーンと噛まれ。お礼をいい席に戻る。

あぁ。スッとした。既にランチタイムは終わっていて、店内には誰もいない。料理を作り直してくれた。


「温かいの作るから。待ってて!」


優しい味のジェノベーゼをだった。

もきゅもきゅと美味しくいただく。ちょっと食べづらいのは、右手がなく左で食べるから。慣れない様に口に運ぶ。


前の席に座ってじっと見る看板娘さん。優しいな、何も聞かない。何も聞かずに見守ってくれてる。。


うん満足満足。ご馳走様でした。

お腹からアクがクークー言って出てきたので、水を飲ます。小さくなってる。。気づかない位に混乱してた、ごめんね?

アクは気持ち良さそうに水を飲む。ヨシヨシ♪


「……それは何って聞いていい?」


「僕の友達スライムのアクです」


『クークー♪』


「まぁ元気なったなら良かったわ。何か悲し事あったの?」


「うんと、ちょっと船で遭難して。。たぶん死んだお婆様の事を思い出したの」


「そっか。辛いね。。だから一人で来たんだ。右手もないし。ご両親も?ごめん。。」


「いや、、母様も父様も生きていると思うけど。。ここの国では一人かな?」


「ここの国って。。あんた一人で来たの!?」


「うん。砂浜から歩いて。。どったの?」


看板娘はドタバタと厨房に行く。

しばらくギャーギャーと騒いでいたが母子揃って僕の席にきた。


「あんた。一人なのかい?」


「う、うん。昨日来たばかりだし」


「どうやって生きて行く気?」


「冒険者でもして稼ごうかな?って」


「何言ってんだい。腕もなくこんな小さい子供に!何ができるっていうんだ」


「そうそう。いいでしょ?マンマ?」


「はぁ。。仕方ないね。しばらく家で預かるよ。皿洗いくらいできるだろう」


「やったー!あたしミア!名前は?」


「シュリンプ・リルだよ?」


「・・美味しそうな名前ね。。シュリ!よろしくね♪お姉ちゃんて呼んで良いよ?うふふ弟ほしかったんだ♪」


なんだか一気に話しが進んでよく飲みめない。


こうして僕は宿生活からミアの所に居候する事になった。



素敵な話しになるよう頑張ります!

毎日投稿していく予定です。


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