灯籠祭と魚好きの晩餐会
前回の続きです。
下町→教会→馬車→神殿。灯籠祭始まります。
日が傾いていく。空の雲は多くなったが日は強い。
丁度真夏真っ只中なのに違和感は蝉が鳴いていない。島は一応離れているので蝉も来れないのだろうか。それともこの世界には蝉はいないのかな?
「とーろー!」「りりるのでばーん!」
「えらいなークリル、リリル。爺様に届けようね〜」
「シューリヘト様、そのかわいいお子は?」
「あ、クリスタ様、妹達です。まだ3歳半ばですが」
「まぁ!よく似てかわいいですわね。双子なのかしら?」
「右目が青いのがクリル〜」「左はリリルだわよ?」
きゃっきゃっと仲良く遊んでいる。まあこの場は任していいだろう。
すでに神殿につき側使えは灯籠準備をしている。リア達側使えも混じり、クリスタ一同も参考に灯籠を贈るらしい。
神殿の中にはお母様とお婆様、そして武装解いたラインストーン兄上がいる。
神殿の周り、少し範囲を広げ森には近衛の姿もチラホラ見えた。基本この島の島民なので顔見知りでないとすぐに目につく。小さな島ならればの安心感かな。でも他国の賓客にもしもがないよう警備は手抜かりない。特に神殿内は武装禁止なので兄上がいろいろ調べている。
神殿前の大広間も大分埋まって来た。
僕はこの『灯籠祭』のほうが好きだ。
故人に捧げ祈るのも、家族で集まるのも自主的であり、小さな子から老人までみんな参加できる。神儀式は基本年齢や婚姻、葬儀などが多い。なのでみんなが集まるこの年に1度の儀式は毎年行いたいと心から思う。
「母上、祝詞はどうしますか?」
「シューは魔力平気ですか?私はどちらでも」
「では通常通り母上が祝詞と祝福を述べ、僕は風を呼びましょう」
「あら、いいですの?神の子が裏仕事など。ふふふ」
「いいのです。この『灯籠祭』は家族で行う神儀。主役は故人、またその家族ですから。遠くから戻る島民もいます。見慣れた母上が行うほうがしっくりします」
「ほほほ。シュー坊もしっかりしてきたのぅ。フルダークも嬉しいじゃろうて」
お爺様と合ったことはないけど、モスフィタス家がこの家系と神殿を守っていたんだよね。そう思うと感慨深いなぁ。
「シューにぃー!とーろー準備できたよー」
「はいー待っててリリル!今行く〜手離しちゃダメだよ!」
僕は階段の上のちびっこ達の元に行く。
天が赤く染まり神殿の篝火が着けられらした。
僕たちは祭壇の左右に。クリスタ一同も祭壇の近くの長椅子へ案内された。
母上が民衆に見える祭壇の位置に立つ。
すでに大広間ではいっぱいの民衆が集まってる。遅れそうなのか、丘に上がる道に松明の灯りがゆれるのが見えた。次々に登ってくる。
「それでは。静粛に」
アレフレッドの声が透き通った。
僕は預かっている聖典を持ちゆっくりと祭壇に乗せる。母上はクスッと笑ってくれた。
祭壇に一礼し、もとの位置に戻り灯籠を持つ。
祭壇で 聖書を開き リュフォーリルが口を開く
「レグザの民よ。このネプトゥヌス神殿で祈れる事を誇りに思う。命の神ゲルットヒルムにより生まれ育ち最高神アテネの名に示し天に変える。
人は永遠には生きれない。が、受け継ぐものの心の中には永遠にある事を知る。悲しむ事は無い。哀れる事は無い。人は死して尚絆ぐ心がある」
一斉に民衆は下を向き躓く。
「篝の火を誘う」
左右より護衛騎士が篝火より火をわける。
階段下の灯籠が灯り。暗い大広間にオレンジの灯りが灯される。
僕たちも同じ様に灯籠を持ち火を。婆様も兄上と持ち、クリスタも側使え一同と持つ。
二人の妹にしっかり持たせ母の横に立つ。
「影りの中イスダーク神に祝福を。我がリュフォーリルより風の神アネモイヘの祝福よ。天にある祖先へと導きたまん!」
母の祝詞と共に心で祈り、腕を上に拡げる。
初めはゆっくりだ。火を消さない様に。灯籠が浮かび上がれば魔力をゆっくりと込め更に上に。
後は自然の風をまとえれば良い。
けして抗わず、風の流れに合わせる。
オレンジ色の灯籠は その様々な神の色紙に反射し
夜空の星に向かいそれぞれ吸い込まれていく
皆空向け祈るもの、喜ぶもの、お願いするもの、話しかけるもの。それぞれだ。これは奇跡でも何でもなく。故人思いやる気持ちが闇の風に吸い込まれる。
妹達もクリスタも無事灯籠を上げれたみたいだ。
上空を不思議なそうに見つめてる。
・・母上と目を合わし頷き、ゆっくり手下ろし。。後は自然の潮風が海へと送ってくれるだろう。
□□□
「とっても素晴らしい灯籠祭でした!」
うんうんとクリスタ一同は頷く。規模が比較的小さい事と、島という立地条件がいいとロンツォ・ニードルは説明する。
「もちろんレグナム神国の他の町でもできればとおもいますが、島々一部でしか行われていない現状です」
残念ですね〜や、そんなに価値のあるものを。と皆好き好き話している。とりあえず、接待成功と思って良さそうだ。
晩餐が始まる。できる限りもてなしをと、文官や護衛騎士長も席に着く。
「お口合うかわかりませんが。。この島周辺の魚貝をださして頂きました」
料理運ばれる。興味津々だけど、生魚を見てクリスタがちょっと引く。
「これは新鮮な生魚ですが、味付けをしております。薄く食べやすいので野菜と共にどうぞ」
僕は賓客に毒の無いこと示しパクンと食べる。うん美味しいカルパッチョ♪レモレモ最高。クリスタが恐る恐るフォークでとり。。目を瞑って口にした。するとぽぽぽ・・
「あら、美味しいです。。不思議な味付けですね。ハーブと酢、柑橘ですか?いくらでも入ります」
にこにこ母上も、皆も興味深く食べはじめた。
「ほう。これはさっぱりと前菜に。。奥方様。今度城でも」
「今日のメニューはシューリヘトのレシピなので。私分からないわ。料理の説明はシューにお願いするわね♪」
得意の困った顔にロンツォは苦笑する。
「次はエビのフリットです。ソース共に」
「名物シューク貝の酒蒸しです。色どり綺麗ですね」
「グリル野菜のスープです」
「メインで、魚ですみません。こちらバター蒸しで、きのこや野菜と一緒に蒸し上げたものです。魚とご一緒にどうぞ」
次から次に出るメニューに皆驚いている。兄上も目を見開く。
「シュー。この蒸し物は。。魚の白身か?日々食べてるのにこんな味も出せるのだな」
「・・私、魚は生臭く泥っぽいイメージでした。。これは全然美味しいです!バターも、きのこも!プチトメトも温めるとこんなに違うのですね!」
食事が進む話も盛り上がりやすい。文官同士は文官で、騎士も騎士、側使えもそれぞれ交流を話合う。
お魚を美味しいと言ってもらえ満足だね。うん♪
「では最後で何ですが。白子のアヒージョです。好き嫌いはありますので無理せず。スープではなくオリビ油なので熱いのと飲まないよいに。具材、きのこ、野菜を取ってお食べ下さい」
エビ、マッシュルーム、アボボイ、そしてタラの白子。とって食べる。うん。アンチョビ作るの苦労したぶん。美味い!
この料理の反応は皆食べると静かになった。
メインの後だが残す事なくペロっと行ってるので不味くはないと願いたい。
「・・シューリヘト。このレシピは後私が買います」
「お母様!兄の私にも権利が!ぜひ!」
「いえ。お二人方。これは王宮料理にとり……」
「シューリヘト様!お友達ですよね?たまに。。食べに来ます!」
・・これには苦笑するしかできない。
大人達はワインを開け嬉しそうに。子供の時間終わり、長い一日だった。魔力も使ったのでベッドでゆっくり眠れた。
□□□
翌朝。朝食も終えイレーネに差し入れでも行くかな、と思った時クリスタとロメスリードがやってきた。
「シューリヘト様、もしよろしければ魔法を見せてもらいませんか?」
ロメスリードが嬉しそうに。年は18歳位かな。髪をポニーテールで結び、騎士というには少しおしとやかな印象。
「・・いいですけど、傷つける魔法は師匠に禁止されてるのです」
「魔法なら何でもよろしいです!お庭で待っています」
はぁ。『ぷにスラ』で遊ぼうか。。まぁとりあえず『ウォーターボール』かな?
庭には興味があるのか、護衛兵だけでなくクリスタもいた。ラインストーン兄上やリアとかもワクワクしている。うーん敵が増えそうな気がする。。
「さぁ!いつでもどうぞ!本気でも鎧がございます!縁料なく!」
「分かりました。『ウォーターボール!』」
「うっ。。ヒャッ!、こ、これは。。シューリヘト様。。」
そう。水球が螺旋を描いて後ろからロメスリードの臀部へ当たる。つまりパンツビショビショだ。
「プッぷはは!それでは子供のイタズラではないか。わざわざ見にきたがシュー、面白い魔法だな」
・・だって子供のイタズラだもん。
ロメスリードは顔を真っ赤にして、脱兎の如く屋敷に走り去っていった。女性陣の視線が鋭くなったのを感じ。。
・・しばらくこの魔法は封印だな。
毎日投稿していく予定です。
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