【Day 4】午後11:30:悪夢の変化と、確信
ガレージに戻り、無事に燃料の確保を終えた二人は、自家発電の微かな明かりの中で泥のように眠りについた。
その夜、アレンは再びあの悪夢の領域へと引きずり込まれた。
赤く点滅する軍事基地の地下制御室。
鳴り響く警報。
しかし、今夜の夢は昨日までと決定的に違っていた。
いつもなら暗号化に阻まれて読めなかったメインフレームの画面が、アレンの Day 4 のハッキング経験によって『同期』され、鮮明なテキストとして読み解けたのだ。
『最終シークエンス:ノックス郡全域への戦術核(Resolution-01)の投下まで、あと96時間』
「これは……自動報復システムじゃない。軍が、感染を完全に焼き尽くすために、最初から仕組んでいたタイムリミットだ……!」
夢の中のアレンは、その真実に恐怖し、絶叫した。
だが、その時。暗闇から伸びてきた無数のゾンビの手を、引きちぎるようにして追い払う影があった。金髪のポニーテールを揺らし、レザージャケットを着たサラだ。彼女は夢の中でアレンのノートPCを拾い上げ、彼に手渡した。
『立て、アレン! あんたの頭脳なら、このクソゲーを書き換えられるんだろ!』
「はっ……!」
アレンは激しく息を吐き出しながら跳ね起きた。
冷や汗で濡れた顔を上げると、モニターの微かな光の向こうで、サラがポリタンクのキャップを閉め直している姿が見えた。
アレンは確信した。あの夢は、ただの精神的ストレスではない。自分がダークウェブで傍受した軍の最高機密の断片が、脳内でサバイバルの本能と結びついて見せている「確定した未来の警告」なのだと。
世界が核で灰になるまで、あと4日。
アレンはもう、一人で生き残ることだけを考えてはいなかった。
(サラ。君を、この世界の終わりで死なせたりはしない)
ギークの青年の心に、本当の「強さ」が宿り始めていた。




