【Day 3】午後3:00:最悪のバグ
【Day 3】午後3:00:最悪のバグ(足手まとい)
アレンは地面にへたり込んだまま
荒い息を繰り返していた。
サラは投げつけたパイプレンチを拾い上げ
フンと鼻を鳴らすと、アレンに向かって手を差し伸べた。
「おい、大丈夫かい? 腰が抜けてるよ
パーカーの兄ちゃん」
アレンはその手を無視し
自力で立ち上がって衣服の埃を払った。
極度の恐怖の反動で、彼の口からはギーク特有の
冷淡で攻撃的な言葉が溢れ出た。
「……助けなんて求めていない。
そもそも、あなたの介入は論理的じゃない。
あの状況なら、僕を囮にして彼らの隙を突き
背後から無力化するのが最も生存確率が高かった。
見ず知らずの他人のためにリソースを割くなんて
ただのバカだ」
サラは呆れたように目を丸くし
それからカカカと大声で笑った。
「ははん、助けてもらって開口一番がそれかい!
道理で理屈っぽいツラしてるわけだ。
アタシはサラ。この先の自動車修理工場で
メカニックをやってた。
あんた、名前は?」
「……アレン。言っておくけれど
僕に関わらない方がいい。
僕は合理的じゃない人間とチームを組むつもりはない」
アレンはサラを突き放し
中継局のデータサーバーへ向かおうとした。
しかし、サラは悪びれもせず
彼の後ろをピタリとついてくる。
「へえ、アレンね。でもさ
その合理的ってやつのおかげで
あんたさっき死にかけてたろ?
アタシの直感の方が役に立つと思うけどね。
それに、あんたそのバッグに上等な工具とか
無線パーツを詰め込んでるね?
アタシの車の修理に協力しなよ」
(計算外のバグだ。
一刻も早くこの女を撒かなければ
僕の生存率は下がる一方だ)
アレンは内心で毒づきながら
中継局の端末にノートPCを接続した。
サラはその手元の画面を、感心したように覗き込んでいる。




