【Day 3】午後2:30:計算外の銃声
【Day 3】午後2:30:計算外の銃声
気象中継局への道中は、アレンにとって悪夢そのものだった。
大通りは炎上する車と、血を流して倒れる人々
そして何より、昨日まで「病人」だったはずの
うつろな目で歩き回る『動く死体』で溢れかえっている。
アレンは路地裏の影を縫うように進んだ。
頭脳で危険を察知し、死体の視界の死角を突く。
ここまでは完璧だった。
しかし、中継局の裏口に辿り着いた瞬間
彼の計算は完全に崩壊した。
「おい、そこを動くな!」
鋭い声と共に、アレンの目の前に二人の男が立ちはだかった。
即席の防具を身にまとい
手には猟銃とナイフを持った略奪者だ。
彼らの目は血走り、正気を失っている。
「いいバッグを持ってるじゃねえか、兄ちゃん。
中身を全部置いていきな。抵抗するなら、ここでハジく」
アレンの身体が凍りついた。
頭の中のシミュレーションが激しくエラーコードを吐き出す。
(武器の射程、肉体の強度、勝率は……0.3%以下。
動けない、身体が――)
男が猟銃の銃口をアレンの額に突きつけた、その時だった。
「――そこまでだよ、クズども!」
突如、路地裏のコンテナの影から、凄まじい風切り音と共に
金属製のパイプレンチが飛んできた。
レンチは猟銃を持つ男の顔面に直撃し
鈍い骨折音が響く。
「な、なんだぁ!?」
もう一人の男が振り返る暇もなく
一人の女性生存者が突っ込んできた。
彼女の名前はサラ(26歳)。
破れたデニムのジャケットに、ミリタリーブーツ。
短い髪をなびかせ、野生動物のような敏捷さで
ナイフを持つ男の懐に飛び込むと
その手首を掴んで地面に叩きつけた。
「アタシの縄張りでコソ泥やってんじゃないよ!
ズラかりな!」
サラがドスの利いた声で一喝すると
男たちは命からがら路地の奥へと逃げ去っていった。




