【Day 2】午後11:45:悪夢の深度
【Day 2】午後11:45:悪夢の深度
夜、アレンの自宅の周りは、不気味なほど静まり返っていた。
ハッキングした防犯カメラの映像には
ガソリンスタンドの店内で、力なく床に倒れ込んだまま
動かないボブの姿が映っていた。
彼の周囲には、薄暗い常夜灯だけが寂しく灯っている。
アレンはベッドに入り、泥のような眠りに落ちた。
そして、昨日よりもさらに「深く、鮮明な」夢を見た。
激しい警報音。
耳を聾するほどのハエの羽音。
赤く明滅する軍事基地の地下制御室。
アレンの視界は、ディスプレイに表示された文字を捉えていた。
『PROJECT RESOLUTION:最終シークエンス起動まで
あと120時間』
夢の中の彼は、狂ったように文字列を書き換えようとしていたが、OSのコア部分に強固な暗号化が施されており、アクセスを拒絶される。
「くそ、このアーキテクチャは……政府のバックドアじゃない、
これは――!」
言いかけたところで、背後の防音扉が激しく歪み
鉄の引き裂かれる音が響いた。
暗闇から無数の、血に飢えた目がアレンを凝視し――。
「……っ!」
アレンはガバと跳ね起きた。
裸眼のぼやけた視界の中で、胸を激しく上下させる。
額からは冷や汗が流れ落ち、Tシャツはぐっしょりと濡れていた。
時計の針は、午前2時45分を指している。
アレンは震える手でトリプルモニターの電源を入れた。
画面の向こう、マルドローの街のカメラ映像の片隅で
昼間は倒れていたはずのボブの体が
不自然な動きでゆっくりと起き上がるのが見えた。
世界が崩壊するまで、あと5日。




