【Day 1】午後11:30:最初の夢
【Day 1】午後11:30:最初の夢
深夜。
アレンはベッドに横たわったが
脳が興奮状態で睡眠を拒絶していた。
遠くの通りで、時折
パトカーのサイレンが鳴り響いては消えていく。
その回数は、普段のマルドローの夜よりも明らかに多かった。
ようやく浅い眠りに落ちたアレンは
信じられないほど鮮明な「夢」を見た。
冷たいコンクリートの壁。
不気味なハエの羽音。
彼は、見たこともない巨大な軍事基地の地下
その最深部にある制御室に立っていた。
目の前には、無数のエラーコードを吐き出しながら
真っ赤に点滅する、旧式のメインフレーム
(大型コンピュータ)の制御盤。
夢の中の彼は、狂ったようにキーボードを叩き
画面に表示された「カウントダウン」を止めようとしていた。
しかし、あと一歩のところで
背後の暗闇から肉を裂くような絶叫が聞こえ――。
「はっ……!」
アレンは跳ね起き、激しく息を切らした。
全身が嫌な汗で濡れている。
時計を見ると、午前3時。
裸眼のまま、ぼやける視界をこするようにして
暗闇の中でモニターの電源を入れた。
液晶の強い光が、彼の鋭いサバイバリストの目を映し出す。
パンデミックの時計は、確実に
東北に近づく台風のように冷酷に1秒ずつ進んでいる。
ギークの、そして人類の、長い1週間が始まったばかりだった。




