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終焉の世界にて  作者: なおちゃん
終焉の世界にて

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【Day 2】午前8:30:咳き込む街

【Day 2】午前8:30:咳き込む街と、最初のスクリーニング


浅い眠りから目覚めたアレンは

ベッドから起き上がるとすぐに

一度も電源を切っていないトリプルモニターの前へと這い寄った。



前髪を無造作にかき上げ、乾いた目を

さらに細めて画面を睨みつける。




「……やっぱり、潜伏期間(インキュベーション・ピリオド)

は24時間から48時間か」





ハッキングした街の公衆防犯カメラの映像は

明らかに昨日とは違っていた。





マルドローのメインストリートを行き交う人々の数が

目に見えて減っている。



辛うじて映っている通行人も

その大半が歩みを止め

激しい咳を植え込みに吐き出していた。





アレンは手元の無線機を

ノックス郡の緊急行政周波数に合わせた。




スピーカーから、ノイズ混じりの冷淡な音声が流れる。




『――ノックス郡保健局からのお知らせです。

現在、局所的な急性的インフルエンザの流行が

確認されています。

住民の皆様は、不要不急の外出を控え

他者との濃厚接触を避けてください。

繰り返します――』




「インフルエンザ、ね。

嘘をつくなら

せめてもう少しマシな病名を選べばいいのに」




アレンは吐き捨てるように呟き

キーボードを叩いてローカルの

医療ネットワークへ再侵入を試みた。




画面に表示されたのは、郡内の病院の

ベッドがすでに100%埋まり

廊下にまで患者が溢れかえっているという

内部告発のチャットログだった。




そこには『患者が看護師に噛み付いた』という

奇妙な記録も、一瞬だけ残されては消去されていた。




アレンは冷徹に、デスクの上のノートに「

感染フェーズ:1.5」と書き込んだ。





まだ完全に社会は崩壊していない。

だが、歯車は確実狂い始めている。

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