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SEED  作者: 泣きピエロToY
第十二章「天体観測」
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第86話


颯太と姫希は、街の中を歩いていた。


駅前から少し離れると、祭りへ向かう人の流れが見えてくる。


小さな街なのに、思っていた以上に人が多い。


颯太は周囲を眺めながら歩いていた。


「この街って小さい街なのに、昔から活気が良いって有名なんだよね。」


「そうなんだ。全然知らなかった。」


姫希は少し意外そうに街を見回した。


通りには祭りの準備をしている店もあり、あちこちから人の声が聞こえてくる。


そんな中、颯太が少し先へ視線を向けた。


「あれ見て。」


「ん?」


颯太が指差した先。


ひときわ人が集まっている建物があった。


「あそこ、安西アクセサリーの工房。」


「今日の目的地。」


「え?」


姫希が足を止める。


「あれが?」


「そう。」


姫希は工房を見つめた。


店の前には人だかりができている。


中へ入っていく人もいれば、店先で商品を眺めている人もいる。


「人集り凄いね。」


「an-Zは有名ブランドだからね。」


「そっか。」


姫希は改めて店を眺める。


そして、自分の指へ視線を落とした。


そこには、いつも大事につけている指輪がある。


「私は有名になる前にこれ買ったから。」


少し得意そうに胸を張る。


「見る目があったってことだね。」


「自分で言う?」


颯太が笑う。


「だって本当じゃん。」


姫希も笑いながら、指輪を眺めた。


その時だった。


「あっ、その指輪。」


後ろから女性の声がした。


姫希は反射的に振り向く。


「あ、ども。」


いつものように軽く頭を下げる。


だが、顔を上げた瞬間。


姫希の表情が止まった。


「……あ。」


女性も姫希の顔を見ている。


「え?」


姫希の目が大きくなる。


「嘘?」


一歩、女性へ近づく。


「ひまりさん!!」


思わず声が大きくなった。


颯太も驚いて女性を見る。


「いきなり会えた。」


ひまりは姫希の声に驚きながらも、指輪へ視線を落とした。


そして、懐かしそうに笑う。


「懐かしい。」


「私の初期作。」


姫希は思わず指輪を見る。


ひまりは改めて姫希の顔を見た。


そして、何かに気づいたように目を見開く。


「ん?」


「あれ?」


姫希を見る。


「もしかして……JJの姫希さん?」


「え?」


今度は隣にいる颯太を見る。


「あれ?」


「隣は……颯太Zさん。」


「え?」


姫希も颯太を見る。


ひまりは二人を交互に見た。


「嘘!」


「マジ?」


さっきまでの落ち着いた表情が一気に崩れる。


「ヤバい。」


「ちょっと待って。」


ひまりは周囲を見回した。


工房の前には、まだ人がいる。


二人に気づいている人間がいないか確認する。


「すぐ応接室用意するね。」


「ここでファンに囲まれたら大変。」


「こっち。」


ひまりは二人を急いで店内へ案内した。


姫希は歩きながら颯太を見る。


「なんか凄いことになってきたね。」


「まだ目的地に着いただけだけどな。」


「それが凄いんじゃん。」


二人は笑いながら、ひまりの後について工房の奥へ入っていった。

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