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SEED  作者: 泣きピエロToY
第十二章「天体観測」
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第85話


颯太と姫希は商店街を抜け、駅へ向かっていた。


駅やビルに貼られたポスターや大型スクリーンに目が止まる。


「……あ。」


「どうした?」


「これ、新人アイドルじゃない?」


「爆裂ロマンス?」


「デビューしたばっかりみたい。」


「へぇ。」


「凄いね。一夜で有名人だね。」


二人はそのまま駅へ向かった。


駅に着き、電車に乗り込む。


二人で並んで座る。


電車が走り出す。


姫希は窓の外を眺めながら、流れていく景色をぼんやりと見ている。


「ねぇ、まだ?」


「まだ。」


「結構遠いんだね。」


「まぁ、一時間くらいだから。」


「一時間って結構じゃん。」


姫希は笑いながら、また窓の外を見る。


しばらくして、姫希が何気なく車内を見回した。


すると、車内広告にさっき見たものと同じポスターがあった。


「……あ。」


颯太が振り向く。


「何?」


「さっきもあのポスター見たね。」


「ああ。」


「広告費すごそうだね。」


「うん。かなり力入れてるよね。」


それだけの会話をして、姫希はまた窓の外へ視線を戻した。


それから一時間ほどして。


颯太が立ち上がる。


「この駅で降りるよ。」


「うん。」


姫希も立ち上がり、電車を降りる。


改札を抜けると、いつもの街とは少し違う空気がする。


姫希は周囲を見回した。


「何があるの?」


「地元の小さいお祭り。」


「へぇ、そうなんだ。」


颯太は姫希の少し前を歩きながら、駅前の通りを進んでいく。


姫希は隣に並び、何となく颯太を見る。


「でも、なんでここ?」


「ん?」


「お祭りなら、別にこっちじゃなくてもあるじゃん。」


颯太は少しだけ笑った。


「まぁ、それは後で。」


「何それ。」


姫希は不満そうに頬を膨らませる。


「気になるじゃん。」


「そのうち分かるよ。」


二人はそのまま街を歩いていく。


少しして、颯太が姫希に尋ねる。


「この街出身の有名モデル知ってる?」


姫希は首を傾げる。


「え?知らない。誰?」


「安西ひまりさん。」


「姫ちゃんがいつも大事につけてるその指輪を作った人だよ。」


姫希の足が止まる。


「え?」


思わず自分の指を見る。


いつも大切につけている指輪。


「an-Zの?」


「そう。」


「元々、この街出身で安西アクセサリー店て名前でネット販売してたらしいよ。」


姫希はしばらく指輪を見つめていた。


そして、颯太を見る。


「マジかー、知らなかった。」


少しだけ嬉しそうに笑う。


「良く調べた。褒めてあげる。」


「だろ?」


颯太も少し得意げだ。


「今日、お祭りで街に来てるって噂を手に入れたから。」


姫希が目を丸くする。


「誰情報?」


「S社斉藤さん。」


一瞬、姫希が黙る。


そして、ニヤッと笑った。


「ガチ情報っぽいね。」


颯太は苦笑する。


「だろ?」


姫希はもう一度、自分の指輪を見る。


自分が大切にしているものを覚えていて。


その指輪を作った人が、この街に来ることまで調べて。


そのために、わざわざ一時間も電車に乗ってここまで連れてきてくれた。


「颯太。」


「ん?」


「ありがと。」


颯太は少し照れくさそうに前を向いた。


「まだ会えるって決まったわけじゃないけどな。」


「それでも。」


姫希は笑いながら颯太の隣を歩いた。


二人はお祭りの会場へ向かっていった。

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