第84話
Soul changeも完成し、あとは結果を待つだけ。
それまでライブを繰り返し活動をしていた。
そして今日は、久しぶりに予定のない休日だった。
奏と達磨は会っていた。
達磨が奏に声をかける。
「奏。和ロックって興味あるか?」
奏は少し意外そうに達磨を見る。
「どうした、急に。」
「最近動画サイトで、和風なロックが再生多かった。」
達磨はスマホを見ながら続ける。
「一曲くらいJJらしくない曲あっても面白いかと思ってよ。」
奏は少し考える。
「なるほど。」
「良いかもしれないな。」
JJの曲としては珍しい方向性になる。
それも悪くない。
奏は達磨を見る。
「達磨、作曲してみてくれないか?」
「え?俺が?」
思わず聞き返す達磨に、奏は頷く。
「俺より達磨の方が自然な曲作れそうな気がするんだ。」
達磨は少し考えた。
そして、肩をすくめる。
「まぁ、やってみるわ。」
話が一段落したところで、達磨がもう一つ話題を出す。
「あと、姫が配信でアカペラやってたやつ。どうすんだ?」
「明日って曲。」
奏はすぐに答えた。
「あれは姫希の曲だ。」
「JJの曲としては出さない。」
達磨が奏を見る。
奏は続ける。
「でも、作るの協力してやってくれ。」
「俺が作るとJJを意識して作ってしまうから。」
「姫希のオリジナルとして完成させてやりたい。」
一方、颯太と姫希も久しぶりの休日を過ごしていた。
颯太が姫希を見る。
「姫ちゃん、どこか行きたいとこないの?」
「せっかくの休みだよ。」
姫希は少し考える。
「うーん、なんだろう。」
「出掛けたいけど。」
「どこいく? 何する?って聞かれると答えられないかな。」
「行きたい気持ちはあるんだけどね。」
颯太は少し考えてから言った。
「なら、行きたいとこある。」
「多分姫ちゃん好きなとこ。」
姫希の表情が変わる。
「電車乗るけど大丈夫?」
「何それ〜。」
姫希は楽しそうに笑った。
「楽しそうじゃん。」
「行こうぜ!」
「すぐ準備するね。」
二人は商店街を抜けて駅へ向かう。
久しぶりの休日。
二人で並んで歩いているだけでも、いつもの活動とは少し違う時間に感じられた。
駅が近づいてきたところで、姫希がふと足を止める。
「ん?」
颯太も姫希の視線を追う。
駅近くを、大地が女性と二人で歩いていた。
姫希が目を丸くする。
「凄い綺麗な人だね。」
二人の姿を眺めながら、姫希は小声になる。
「どういう関係だろうね。」
「彼女かな?」
そして、颯太の顔を覗き込む。
「気になる〜?」
颯太は大地たちから目を離さないまま答えた。
「久しぶりのデートかもしれないし、声かけちゃダメだよ。」
「あー……。」
姫希は納得したように頷く。
そして一度、大地たちを見る。
「そうだね。」
そう言った直後。
姫希はスマホを取り出した。
颯太が嫌な予感を覚える。
姫希は大地たちに気づかれないようにスマホを構えた。
「じゃあ。写真一枚撮っておく。」
「後で聞けるように。」
「いひひ。」
颯太が呆れた顔をする。
「やってることが雑誌のカメラマンと変わらん。」
姫希は楽しそうに笑いながら、撮った写真を確認する。
大地はまだ、二人に気づいていない。
颯太は姫希を促す。
「ほら、行くぞ。」
「見つかったら面倒だろ。」
「はーい。」
二人は大地たちに気づかれないよう、その場を離れて駅へ向かった。




