第83話 俺の魂も
復活ライブを終えた一同は、次の目標をアニメタイアップに向けた。
大地がSoul changeについて奏に聞く。
「Soul changeは今のライブ形式で行くか、一旦音源用で整えるか。どうする?」
奏はすぐに答えた。
「もちろん取り直す。基本の型を残しておきたい。」
ライブで演奏しているうちに変わっていった部分はある。
それでも、Soul changeという曲の基本となる形は、一度きちんと音源として残しておきたい。
5人はSoul changeの音源を作成し始めた。
奏が録音の準備をしながら言う。
「録音はウチを使おう。」
「編集から何から全て自分たちだ。」
「期限はいつまで?」
大地が答える。
「月末に郵送出来れば問題ない。」
「なら大丈夫だな。」
作業を進めていると、達磨がふと思い出したように口を開いた。
「そういえばミホちゃん、こっちで働き始めたらしいな?」
「兄貴の助手してるって?」
「新人バンドの発掘だろ。」
達磨が続ける。
「JJはダメなのか?」
奏が答えた。
「JJはもう新人じゃないらしい。」
姫希が首を傾げる。
「その境目わからないよね。」
そんな話をしている間も、颯太はギターを弾き続けていた。
同じフレーズを何度か繰り返す。
弾いて、止める。
また弾いて、少し考える。
大地がその様子に気づいた。
「アレンジ気に入らないのか?」
颯太はギターを弾きながら答える。
「そうじゃなくて、なんか弾きづらいフレーズだなって思って。」
「弾けないわけじゃないんだけど、なんか変なんだよな。」
颯太がもう一度、同じフレーズを弾く。
奏はその音を聴いていた。
そして、颯太が引っかかっている理由に気づく。
「それは琴の奏法取り入れたからだ。」
颯太の手が止まる。
奏は達磨を見る。
「そうだよな達磨。」
達磨は頷いた。
「そうだよ。」
「俺の魂も混ぜようと思ったんだよ。」
達磨がそう言うと、颯太は改めて自分の弾いていたフレーズを確認する。
琴の奏法。
それをギターで弾いている。
もう一度、今度はそこを意識して弾いてみる。
颯太の指がフレーズをなぞっていく。
さっきまで感じていた弾きづらさが、別のものに思えてきた。
「そっか、了解。」
颯太はもう一度弾く。
今度は少し楽しそうだった。
「なんか凄い新鮮。」
奏はその音を聴きながら、Soul changeの出来上がった部分を確認する。
これまでのSoul changeとは少し違う。
けれど、それも今のJJが作っている音だった。
奏が4人を見る。
「今、出来たやつを録音するからな。」
そして、次の予定を決める。
「明日、10時開始な。」
5人はそれぞれ、自分の楽器と向き合った。




