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SEED  作者: 泣きピエロToY
第十一章「ともに」
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第75話 みんながんばろー!


スタジオでは、「Soul change」が目まぐるしく姿を変えていた。


ギターを弾きながら誰かが意見を飛ばす。


そのたびにメロディーは姿を変え、さらにスタジオ内は混乱に包まれる。


エアコンの風量は最大。


それでも誰一人、涼しさを感じる余裕はなかった。


アンプの上に置かれたペットボトルの水が、細かく震え続けている。


「ったく、誰だよ。来週復活ライブの予約入れたやつ。」


達磨の声がスタジオに響く。


「颯太だよ。」


大地が即答する。


「奏ならテスト大丈夫だと思ったから。」


颯太はギターを弾く手を止めない。


「だからって曲できる前に予定決めるな。」


奏もフレーズを返しながら言う。


一瞬だけ目が合う。


文句を言いながらも、奏と颯太は小さく笑っている。


「まだ歌詞できてないよ。」


姫希はノートへペンを走らせる。


書いては消し、また書く。


「みんながんばろー!」


「バカ颯太が。」


達磨は舌打ちしながらベースを鳴らした。


奏の加入テスト当日。


スタジオはさらに慌ただしさを増していた。


壁の時計は、容赦なく時間を刻み続ける。


「あと一時間しかないぞ。足りねぇ。姫、どうだ?」


大地の声が飛ぶ。


「そんな急は無理。今日は徹夜しそう。」


ノートの端には、丸めて捨てられた歌詞が積み重なっていく。


「奏、左手はどうだ?」


「まだ平気。」


「達磨、集中しろ!」


「してる! クソっ。今日初めて聞いて完成まで持っていくとか。そもそも無茶なんだよ。なんで朝一番で言わねぇんだよ。」


「みんな、加入テストで盛り上がってたから。」


颯太は平然と言った。


姫希の手が止まる。


「私達、毎日一緒にいるよね? だったら、タイアップのオーディション情報より先に来週のライブ情報を知りたかった。」


「びっくりさせたかったから。」


「もう良い、颯太だまれ。」


颯太はもう次のフレーズを弾いていた。


奏が重ねる。


達磨のベースが追いかけ、大地のドラムが押し上げる。


姫希は歌詞を書き直し、マイクを握る。


「Soul change」は爆速で進化していく。

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