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SEED  作者: 泣きピエロToY
第九章「アスノヨゾラ哨戒班」
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第64話 聴け!


姫希は深呼吸をして颯太の母を見る。


「お母さん、ちょっと口悪くなるかもだけど、見逃してくれる?」


颯太の母は親指を立てた。


「もちのろん。」


その一言で、姫希は笑顔になった。

そこには、もう迷っていた姫希はいなかった。

パワー全開の姫希が立っていた。


勢いよく窓を開ける。

外にいた記者たちが一斉にカメラを向けた。


姫希は大きく息を吸い込む。


「ご飯の邪魔すんな!」


「せっかくのご馳走が台無しになんだろうが!」


記者たちが一瞬静まり返る。


「私は逃げも隠れもしない!」


「話聞きたきゃ場所用意しな!」


「ここじゃない。」


「近所迷惑だ!」


「……あんたたちが仕事で来てるのは理解してんよ。」


「でも、ここでは話さない。」


「わかったか!」


フラッシュが一斉に光る。

姫希は記者たちを指差した。


「仕事してるお前らにご褒美だ!」


「聴け!」


「新曲だ。」


「spicy girl!」


颯太は無言でギターを鳴らした。


姫希はライブハウスに立っていた頃と変わらない声で歌い始める。


颯太も演奏を重ねた。

胸の奥に残る無力感を抱えたまま、それでも姫希の背中を支えるようにギターを鳴らし続ける。


一曲歌い終えると、姫希は記者たちを見渡した。


「今日は帰れ。」


「会見でもなんでもやってやるよ。」


その言葉を最後に、家の周りは少しずつ静けさを取り戻していった。


颯太の母は満足そうに頷いた。


「姫希ちゃん、かっこよかったわ。」


「うふふ。」


「記者会見、ビデオに撮るわね。」


そう言って笑うと、姫希を優しく抱きしめた。

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