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SEED  作者: 泣きピエロToY
第七章「STAY GOLD」
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第49話 こんな日が来ると思ってたんだよ

今日の颯太の目的は決まっていた。


達磨と大地に会うこと。


そして、『Spicy Girl』を二人に聴かせること。


あわよくば、アレンジにも協力してもらおうと思っていた。


そのために今日は家を出た。


レスポールと『Spicy Girl』のCDをバッグに入れ、颯太はスマートフォンを取り出す。


発信先は大地だった。


数回のコール音のあと、聞き慣れた声が聞こえる。


「もしもし。」


「大地さん、お久しぶりです。」


「会いたいんですけど、いつ、どこに行けば良いですか?」


電話の向こうで大地が笑う。


「久しぶりだな。」


「元気してたか?」


「今日はスタジオにいるよ。」


「達磨とflagshipも一緒だけど、大丈夫か?」


その言葉が終わるか終わらないかのうちに、受話器の向こうから勢いよく声が飛んできた。


「おい!」


「俺いて都合悪いことある?」


「ねぇだろ!」


達磨だった。


電話越しでも変わらない勢いに、颯太は思わず笑ってしまう。


「達磨さん、相変わらずですね。」


「安心します。」


「では昼頃、スタジオに向かいます。」


「おう、待ってる。」


電話を切ると、颯太はレスポールを背負い直し、スタジオへ向かった。


久しぶりに訪れたスタジオは、何も変わっていなかった。


扉を開けると、flagshipのメンバーと達磨、大地が一斉に振り向く。


「颯太くん、久しぶり。」


「お久しぶりです。」


軽く挨拶を交わし、近況を話す。


自然と笑い声が混じり、久しぶりという空気はすぐに消えていった。


するとflagshipのメンバーの一人が微笑みながら言った。


「颯太くん。」


「久しぶりにギター、聴かせてもらってもいい?」


「もちろん。」


颯太はケースを開け、レスポールを取り出した。


その姿を見た大地が目を細める。


「そのレスポール……奏のか。」


「うん。」


「託されたんだ。」


達磨は何も言わなかった。


ただ静かにレスポールを見つめる。


大地はゆっくりと近付き、ギターを眺めると、小さく笑った。


「そっか。」


「ほんと、手垢だらけで汚ねぇな。」


その一言に、颯太も笑みを浮かべる。


颯太がこのギターをどれだけ弾き込んでいるのか。


その言葉の意味は十分に伝わっていた。


「聞いてほしい曲がある。」


颯太はアンプにつなぎ、静かに弾き始める。


スタジオいっぱいに『Spicy Girl』が響いた。


誰も口を挟まない。


最後の一音が消えるまで、全員が演奏に耳を傾けていた。


演奏が終わる。


颯太はギターを下ろし、全員を見渡した。


「この曲をアレンジしたい。」


「力を借りたい。」


「作詞は姫ちゃんがやってる。」


しばらく沈黙が流れる。


達磨は腕を組み、何かを決めたように口を開いた。


「そういうことなら、わりぃ。」


「俺、flagship抜けるわ。」


突然の言葉に、その場の全員が達磨を見る。


「え?」


颯太は思わず声を漏らした。


「なんで。」


大地が苦笑いしながら答える。


「こんな日が来ると思ってたんだよ。」


「だから俺も達磨も、助っ人加入のままなんだよ。」


flagshipのメンバーは顔を見合わせ、小さく頷いた。


「わかりました。」


「助っ人は今日までで大丈夫です。」


「代わりのメンバーを探します。」


達磨は申し訳なさそうに頭を下げる。


「悪ぃな。」


すると大地がすぐに続けた。


「後輩でベースとドラムできるやつがいるからさ。」


「助っ人、頼んでみるよ。」


その言葉に、flagshipのメンバーは表情を明るくする。


「ありがとうございます。」


「助かります。」


張りつめていた空気が少し和らいだ。


その時だった。


flagshipのメンバーの一人が、ふと思い出したように颯太へ声を掛ける。


「ところで。」


「今の曲って……『Poison Girl』ですよね?」


颯太の表情が止まる。


「え?」


「こないだ遠征したときに見たライブで、同じ曲をやってるバンドがありましたよ。」


その一言で、スタジオの空気が一変した。


颯太は相手の顔を見つめたまま、言葉を失っていた。

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