第4話 一緒にやりたい
その日の夜。
奏は興奮した様子でリビングへ入ると、両親の前に座った。
「聞いてよ。凄いやつ見つけたんだ」
父親と母親が顔を見合わせる。
「アレンジが特に凄い」
「ギターも上手い」
「ちゃんと俺のプレイについてこれるんだ」
言葉が止まらない。
「こんなやつ初めてだよ」
「作った曲が生まれ変わっていくんだよ」
父親は静かにうなずいた。
「そっか。良い経験してるな」
「なかなかいないぞ」
「大事にしなさい」
母親は嬉しそうに笑う。
「興奮しすぎ。珍しいわね」
「嬉しい反応よ」
「うん」
奏はすぐに次の話を切り出した。
「次、土曜日に会うんだけど、録音部屋使いたい」
「良い?」
その日の夜。
颯太は帰るなり母親に話しかけた。
「母さん、凄いやつがいた」
「どんな子?」
「まず、家がドカーンてあるの」
「んで、部屋がピシッとしてて、ギターがキラーンてしてる」
母親は思わず笑う。
「ふふっ」
「そんで、パソコンの中に作った曲が画面いっぱいに並んでんの」
「作り続けた奴だ」
少し考えてから続けた。
「ギターも俺より上手いかも」
「音が違う気がする」
母親は優しく尋ねる。
「負けたくない?」
颯太は首を横に振った。
「違う」
「一緒にやりたいって初めて思った」
「ツインギター」
母親は静かにうなずく。
「そっか」
「一緒に何か出来るって嬉しいことなんだよ」
「今の気持ち忘れないで」
「うん」
颯太はリビングを見回した。
「父さんは?」
「まだ。残業だって」




