第31話 楽しくギター弾けたら
ライブを重ねるうちに、JJには気の合うバンド仲間ができていた。
そのバンドの名前はflagship。
ギターボーカル、ギター、キーボードのスリーピースバンドで、メンバーは奏や颯太と同い年だった。
ライブハウスで顔を合わせるたび、ライブの話やJJが掲載された雑誌の話で盛り上がることが多かった。
また、flagshipのオリジナル曲には、達磨と大地がアドバイスをすることもあった。
夏フェスでは一日目にflagship、二日目にJJの出演が決定。
二組とも勢いに乗り、夏フェスへ向けて気持ちを高めていた。
本来、JJは出演の前々日に会場入りする予定だった。
しかし、flagshipの応援も兼ねて、同じ日に会場入りすることを決める。
奏が笑いながら言う。
「flagshipはまだまだ荒削りなバンドだけど、とにかく勢いがある。」
「仲が良いのは良いんだけど、雑誌ではVS企画とか立ち上げられてんぞ。」
達磨は不敵に笑う。
「負けらんねぇな。」
大地は苦笑しながら肩をすくめる。
「夏フェスでどっちが客を集められるかだっけか?」
「数えるのは不可能なのにね。」
姫希が興味津々に尋ねる。
「勝った方がメジャーデビューってマジ?」
「そんな話来てるの?」
奏は即座に首を振った。
「完全デマだ。」
「そんな話来てない。」
姫希は少し肩を落とす。
「そっか、残念だね。」
達磨は真面目な表情になった。
「いや、夏フェスには耳が肥えてる奴らがゾロゾロ来るんだ。」
「いつも通りライブが出来れば、どこかのレーベルに知ってもらえるかも知れねぇよ。」
颯太はあっさりと言う。
「楽しみだね。」
達磨は笑う。
「しけてんな。」
「颯太はデビューとか興味ねぇのかよ。」
颯太は少し笑って答えた。
「俺は楽しくギター弾けたら、プロでもアマでもフェスでも夏祭りでも関係ないよ。」
「奏が新しい曲持って来るたびワクワクするんだ。」
「次はどんなギター弾けるんだろって。」
奏は少し照れくさそうに笑う。
「颯太、お前は一度自分の凄さを知るべきだ。」
「俺とのツインギター出来るやつなんて他に知らないぞ。」
颯太は目を丸くする。
「奏に褒められてる。」
颯太は今日一番の笑顔になる。
その様子を見た姫希は微笑んだ。
「颯太は奏の曲を一緒にやっているのが一番好きみたいだね。」
大地は笑いながら頷く。
「んじゃあ、精一杯ライブ楽しもうぜ。」




