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〇月3日1

ジリリリリ――。


 目覚まし時計の音で、俺は目を覚ました。

 今日は朝日がバイトで外出しているため、朝食は自分で用意することになる。


(さて……何を作るか)


 熱々の目玉焼きを、ふわふわの食パンで挟んだサンドイッチ。

 それとも、サクサクのシスコーンに冷たい牛乳。


 そんな、どうでもいいが少し楽しい悩みを抱えながら――

 結局、おにぎりをいくつか食べるだけに落ち着いた。


 食べ終わると、気持ちを切り替える。

 必要な荷物をまとめ、目的の場所を確認して家を出た。


 今日は、依頼人に直接確認しに行く。

 今朝も電話をかけてみたが、やはり繋がらなかったからだ。


---


 駅に到着し、コツン、コツンとホームを歩く。

 電車を待つ間、イヤホンで音楽を流していると――ふと、何かを感じた。


 背後を見る。


 ……影が、いた。


(……何か……何か……)


 言葉にならない違和感。

 輪郭が曖昧で、まるでこの世のものではないような影。


 ――ブゥン。


 次の瞬間、視界が揺れた。


「……っ」


 どうやら、急な目眩でよろけていたらしい。

 電車の接近音が、強引に現実へ引き戻す。


(……幻覚?)


 この世の異物としか言いようのない影。

 疲れているのか……そう自分に言い聞かせ、俺は電車に乗り込んだ。


(……行くか)


---


???

……………………………………………………。


---


 目的の駅に到着し、電車を降りる。

 特に問題もなく、依頼人の家の前まで辿り着いた。


 ――そこまでは、よかった。


 だが。


(……鍵が、開いている)


 嫌な予感が胸を刺す。

 違法だが、緊急事態だ――そう自分に言い聞かせ、俺は家の中へ入った。


 部屋を探る。

 だが、何もない。


 残されていたのは、最初に見せられたあの日記だけだった。


 ……いや、もう一つ。


 地図。

 そこには、**アイツの故郷**と思しき場所が記されていた。


(……自分で調べていたのか?

 それとも――罠か?)


 分からない。


 それでも。


(……行かなくては)


 理由はない。

 理屈でもない。


 ただ、**行かなければならない**という衝動だけが、胸を支配していた。


 ――だが、その気持ちが、

 あの影を見た瞬間に芽生えていたことを。


 その時の俺は、まだ気づいていなかった。

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