表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/9

〇月1日2

ガチャン。


 扉の開く音が響き、椅子に座っていた男――鬼霧朝日は、玄関に近い扉へ視線だけを向けて言った。


「やっと帰ったか」


「はい」


 声のした方を見ると、そこには妹の鬼霧世良が立っていた。


「なあ、この依頼……どう思う?」


 朝日の問いかけに、世良は少し考え込んでから口を開く。


「……私は、この依頼は受けない方がいいと思います」


 そう前置きして、世良は続けた。


「あの依頼人、本当に記憶がないのでしょうか?

 記憶がないと言っていますが、証拠はあのノートくらいです。確かに病院や大学は実在していましたが、それだけなら普通はまず病院に行くはずですし、身元の調査なら警察がするものです」


 一呼吸置き、静かに言葉を続ける。


「何らかの理由で警察を避けている。

 つまり、危ないことに巻き込まれる可能性が高い依頼だと思います」


 世良の言葉を聞き、朝日はコピーしたばかりの資料を睨みながら小さく息を吐いた。


「……やっぱり、そう思うよな」


 部屋にしばし沈黙が落ちる。

 やがて朝日は、意を決したように立ち上がった。


「それでも――一応、受けてみることにする」


 はっきりと言い切ったその言葉に、世良は一瞬だけ表情を曇らせる。


「……分かりました」


 それ以上は何も言わず、世良は自分の部屋へと戻っていった。


 だが、早足で廊下を歩きながら、世良の胸には拭えない嫌な予感が残っていた。


---


 世良が出ていった後、朝日は一人、事務所の部屋で依頼人の身元調査について考え始める。


 とりあえずパソコンを開き、依頼人が通っているという大学を調べる。

 場所はすぐに特定できた。


(……明日は依頼人と一緒に大学へ行くか)


 それ以上考えるのをいったん止め、朝日は背伸びをしてメモをまとめる。

 昼食のカップラーメンを食べ終えると、バイトへ向かう準備を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ