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泡沫のアノマリー  作者: 柚木 桜舞
14/16

monochrome(モノクローム)

プツリと途切れるように意識が無くなる。次に目が覚めた時、見渡すとそこは見渡す限り景色全てが白い駅のホームだった。


「ュイ君……ミニュイ君聞いてる?」

「……はっ!?ここは……というか僕、外で寝てたのか」


 さっきのは何だったんだろう。やけにリアルな夢だったな。目を開けると銀髪を風になびかせてぷりぷりと怒った表情をしている男性が横に座っていた。少し()()()に似ている。


 あの子って一体()()()()?というか横に座っている彼は誰なのだろうか。


 僕が覚えているのは自分の名前と機械が好きということだけ。


「もー、ミニュイ君ってば全然起きないじゃん。次、行先の電車がくるよ。はい、これ君の荷物。自分で持ってね」


 そう言って手をヒラヒラと振るとドサドサと渡される荷物、荷物、荷物の山!僕が持ち出したらしい荷物の重さにふらつきそうになる。


「おっと、ってうわぁ!?何この重さ、こんなに重たい荷物持たせちゃってすいません!」


 中身を見ると工具と機械端末が納められていた。僕は外で何か作る予定をしていたのだろうか?


「というか、つかぬ事をお聞きしますが、貴方の名前は?」


「オレはシン。同じ孤児院で、生物と地学部門を研究している。君の名前と功績はよく伝え聞いてるよ」

 

「いえいえ、僕なんてまだまだですよ。はじめまして、で良かったですかね?」

 

「ああ、普段はフィールドワークをしていることが多くてあまり会わないから知らなくても変では無いよ?」


 シンの話しぶりからして、僕は孤児院に住んでいるようだ。両親は居ないのか。


「孤児院?住んでいた場所などはあまり覚えてはいないですけど確か、趣味で機械工学を研究しています。あの、これからどこかに向かうんでしたっけ?」


「白の国の病院。オレらは手術後数時間なのに自分たちで術後の療養に行くんだよ」


え?術後に患者自らが入院先を移動だなんて。いくらなんでも扱いが雑過ぎる。


「容態が変化したり逃げたらどうするつもりなのかな?」


 ケラケラと自分たちに起こっていることを他人事のように笑っていた。


「逃げ……え、本当になんの事?僕手術なんて受けてな……」


「ミニュイくんは記憶を消されているんだ。一度鏡で見るといいよ」


 手渡された手鏡に映る自分の髪色や巻かれた包帯を見て驚く。特に痛みを感じてはいなかったから気が付かなかったのだ。


「うぇえええええ!何この耳、それに髪の毛!?ライラックブッポウソウみたいな色になってる!」


僕は元々の髪色を()()()()()()()()()()()()()()

 

「生物、詳しいんだね。生まれつきの物じゃないの?今どきの子だしメッシュを入れてるのかと思った〜」


「今どきって……おじさんみたいなこと言うんだね、君。でも考えてみて、髪が水色でしかもピンクのメッシュが意識の無い間にちょちょちょ〜っと増えてることある?どうしよう、これじゃ()()()()()()()……」


 外に出ると人の目を多く集めてしまったり、知らない人に写真を勝手に撮られたり、殴られたりと酷い目に遭うことが良くあった。僕はただ世の中に溢れている機械やシステムの向上のために買い出しや観察へ行っているだけなのに。


「そうかな?自然界に存在する色なら直に慣れてくるさ。僕はその色とても素敵だと思ったけど」


そう言ってそっと僕の髪に触れて笑みを浮かべる。


「はぁ?君、天然タラシって言われること多いんじゃないか、そういうのは好きな子にだけした方がいいよ」


「はは、そうに違いない。でもこんな事を言うのも、君のことが気になったからって言ったら?」


「うーん、そういうのは間に合ってるかな」

「あら、素っ気ないねぇ。残念」


 そうニコリと言ったあと、ホームに爆撃音が響く。


 屋根に穴が空くと、僕らが座っていた待合室は見る影もなく、瓦礫になっていた。シンが僕を抱き抱えて空を飛んでくれたから間一髪と言った所だ。

 

「……え」

「あちゃ〜、もう場所がバレちゃったね。僕のお気に入りなのに。ね、ミニュイくん?」


今は悪い夢だと言って欲しい。


「うーん、君とオレのせいでもあるかもね」


僕が何かしら目立つから誰かに恨まれてるとか?そうだとしたらものすごく嫌だけど、

 

「ありがとう、お陰で助かったよ。その、()()()()()()()()()()()()?」


「いやー()()()()()でバレちゃうんだね」


「こんな……ね」


さっきのを感知は出来ても、あまりにも読みが早すぎる。


「まるで最初からこうなる事がわかっていた感じだったので。一体何者なんだ?」


「そうだね、ミニュイ君のところの”神様”と言っておくよ」


 眩い笑顔でお姫様抱っこされている。聖職者の衣装に身を包むシン。まあ、正確に言うなら手のひらで転がされてるのだが。


″──星々に命じる。悪しきものに鉄槌を下せ!″


 整った顔立ちがいたずらっぽい笑みを零した。

相手は愚か、建物そのものが破壊され再構築された。その間は瞬きの一瞬だった。


この膨大な魔力量に力技。こんなことが出来る僕らの信じる神はどんな時であろうとも敵に回さない方が良い。


「な……何が起きたんだ?」

「え?何のことかな、存在ごと時間軸から消しただけだよぉ、ごめんねぇ怖かったよね」


目の前にいる者が持つ残酷さが、人ならざるものだということを決定づけた。


「……はぁ、ニンゲンってどうしてこうも好奇心を抑えられないんだろう。ほら教会の方を見て?」


「え……?」


教会の方を見やると、火の手が上がっていた。

 

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