↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『天正遣欧使節/De Missione Legatorum Iaponensium ad Romanam curiam』  作者: 東曌


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/12

閑話 ザビエル神父の不思議な遺体 改訂版

閑話 ザビエル神父の不思議な遺体



「ところで、皆さんはフランシスコ・ザビエル神父をご存じですね?」


 マカオで一行を迎えた宣教師が尋ねた。


「もちろんです。日本にキリスト教を伝えた方でしょう?」


 少年の一人が答えた。


「そのとおりです。では、ザビエル神父が亡くなったあと、どのようなことが起きたか、ご存じですか?」


 四人は顔を見合わせた。


 日本での布教の話は聞いていた。しかし、亡くなったあとのことまでは、詳しく知らなかった。


「神父様は1552年、中国沿岸の上川島で亡くなられました。その遺体は、のちにインドのゴアへ運ばれました」


「インドまで?」


「ええ。そして、遺体を確認した人々は、腐敗が予想されたにもかかわらず、著しい腐敗が見られなかったことに驚いたと伝えられています」


「腐らなかったのですか?」


 一人が目を丸くした。


「少なくとも、当時の記録には、そのように伝えられています。ただし、なぜそのような状態になったのか、簡単には説明できません」


 少年たちは黙り込んだ。


 人は亡くなれば、やがて身体が変化していく。それは、誰もが知っていることだった。


 なのに、ザビエル神父の遺体には、不思議なことが起きたという。


「それでは、今も、その遺体は残っているのですか?」


「インドのゴアにある教会に安置されています。ザビエル神父は、カトリック教会で聖人とされていますから、その遺体は多くの人々にとって、特別な意味を持つのです」


 四人は、しばらく考え込んだ。


 日本へキリスト教を伝えた人物。


 遠い海を渡り、異国で亡くなった宣教師。


 そして、死後も人々の記憶と信仰の中に残り続ける、その身体。


 旅に出る前には、考えもしなかったことだった。


「……不思議ですね」


 誰かが、ぽつりと言った。


「ええ。不思議な話です。しかし、伝えられていることと、原因がわかっていることは、分けて考えなければなりません」


 宣教師は、静かに答えた。


 四人はうなずいた。


 海の向こうには、知らない土地だけでなく、知らない歴史もある。


 そして、その歴史の中には、今も答えがはっきりしない謎が残されているのだった。


◾️インド・ゴアのボン・ジェズ教会


現在も、フランシスコ・ザビエル氏の遺体とされる聖遺物が、銀製の棺に納められています。


教会は現在も一般公開されていますが、通常は棺が高い位置にあり、遺体を間近に見る機会は限られます。


遺体が公開される特別な機会もあります。


およそ10年ごとの公開では、多くの巡礼者が訪れます。


直近の公開は2024年11月から2025年1月にかけて行われました。


歴史の教科書では、ザビエルは「1549年に日本へ来た宣教師」として数行で紹介されることが多い。


ですが、そのザビエルが、実際に生き、海を渡り、亡くなった後の身体まで何世紀も伝えられている。


そこまで知ると、教科書の人物が急に現実の人間として感じられます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。