Avsnitt 27 話を聞いて理解した
放課後に別のクラスの男子、名前は松谷とか言ってたっけ。それと松谷の彼女の教室で話をした。
他の生徒の目もあるけど、別にそれほど気にしてない。わけじゃ無かった。
エメリが目立つ。みんなエメリに興味があるのか、ひそひそ、声掛けたそうだったけど。
松谷の机を前に前後左右にある、他の生徒の椅子を拝借。
早速話をする。
「こいつが、一応俺と付き合ってる、藤巻」
紹介された子は、お調子者って感じ。後先考えずに物言うタイプだと思う。
だから、こんな揉め事になったんじゃないかな。
「藤巻です……なんか、ごめんなさい」
頭下げてるけど、どうやって収拾付けるか、それが大切。
「真に受けた方にも問題あるから、ここで追及する気は無いけど」
「相談してきた当事者もあとで来るから」
「Hur tänker de förklara detta?」
「うわっ! 本当に日本語じゃ無いんだ」
その感想は変。見た目からして違うでしょ。やっぱお調子者。
「あのさ、できたらでいいんだけど、日本語でお願いできないかな」
誰に対しても初対面の相手には、必ずスウェーデン語で話し掛ける。探ってるんだと思ってるけど、実際に俺以外の時はどう思ってるか、確認したわけじゃない。
エメリが口を開くと。
「これ、どう説明するの?」
「すごい流暢……えっと、どうって?」
「Du kommer, eller hur? Flickan」
「いやあの、だから」
来るんでしょ? その子。とか言ってる。
「話しはしてあるから」
ちゃんと正攻法で向き合わないと、クラスの雰囲気まで悪くなってる。それを放置したままでいいのかって、言ったら俯いてたらしい。
自らの行動で険悪な状況になった。それ自体は悪いと思ってる、と言ってたそうだけど。その辺は本人から直接聞けばいい。又聞きだと正確に伝わらないし。
で、お調子者の藤巻さん。両手を合わせて「マジ、ごめん」って。なんかあんまり悪びれてないような。性格もあるのかな。
少しすると教室にひとり入ってきた。俺の座ってる席からは良く見える。目が合うとすごく動揺している感じ。で、誰か分かった。
見てると気まずそうだなあ。教室の入口で動かなくなってるし。
「来たけど、何してんだ?」
「気まずいんでしょ」
エメリが睨みつけるように見てる。そのせいもあって、二の足を踏んでるみたい。
「Få dem att gråta」
「え?」
「泣かせる」
相当怒ってるよね。
女子連中自体はバカだと思うけど、ひとりに扇動された結果でしかないし。
躊躇してる野見山さんだっけか。話をしたことも無い。みんなの視線が集まると逃げそうだけど、藤巻さんが立ち上がって傍に行くみたい。
声を掛けて、こっちに来るよう促してる。
連れて来られて、すごくばつが悪そうだ。エメリの前に立つと。
「ご、ごめん、なさい」
これ以上ないくらい小さくなってるなあ。悪いと思ったんだろうか。
「Det handlar inte bara om att be om ursäkt」
エメリ。それだと通じないんだけど。俺もよく分からないし。
「あ、あの、なんて?」
「ただ謝って済む話じゃないでしょ」
今後どう元の状態に戻すのか、それが無ければ謝罪に意味がないと言ってる。
そして、それをするのが野見山さんだとも。
「それと、あんなことして海斗と付き合えると思ったの?」
「思って、ない、です」
「Varför gjorde du det då?」
理解できてないんだけど、仕方ない。これなら俺でも分かるから。
「なんでそんなことしたのか、だって」
「それは……」
自分でも分からないそうだ。あげく泣き出してるし。
しゃがみ込んでわんわん泣いてる。ただ「ごめんなさい」と言いながら。
「Älskar du Kaito?」
俺のことを愛してるかって聞いてるけど、意味通じて無いよ。これも俺が翻訳すればいいのか。エメリはわざとやらせてるよね。
「俺のこと、好き?」
泣きながらも頷いてる。
「だったら、やり方を間違えたと思うでしょ」
またも頷いてる。
泣き止むのを待って、ちゃんと話を聞くことにした。これじゃあ会話にならないし。エメリも怒ってるから、なに言い出すか分からないし。
少し時間が経つと落ち着いたのか、泣き止んで小さな声で「ごめんなさい」って。
その後、こんな暴挙に出た理由を話し始めた。
「すごい美人だったし、あたしだと敵わないって、そう思って」
そんな時に藤巻さんに相談したら、エメリを引き剥がせばいいとか、真に受けたらしい。藤巻さんは冗談で言っただけで、悪気も無かったと。ただ、相談した本人は真剣だったから、その方法を選択し実行するため考えたとか。
結果は今の惨状。
「でも、草柳君の評判落とすだけで……」
「Inte konstigt!」
当たり前だと言ってる。かなり怒ってるよなあ。エメリ自身の評判じゃなくて、俺の評価を貶めたんだし、それに腹を立ててるわけで。
まあ、自分でもイケメンからは、かけ離れてると思ってるけど。だから、思わず納得しちゃう感じだったし。不細工が美人となんて、釣り合い取れてないよなあとか。
今後のことだけど。
「少し時間をください」
「Hur länge?」
「あ、どのくらいって」
「みんなの誤解を解くんで、一週間くらい、は」
ひとりひとりに説明して、理解してもらうそうだ。自分の暴走が招いたことで、俺が悪いわけでも無いし、エメリに問題があるわけでも無いと。
素直に聞き入れる人、どの程度居るんだろう。正直、クラスの女子なんて、どうでもいいんだけど。嫌いなら嫌いでいいし、関わって欲しいとも思わない。そっとしておいてくれるのが一番。
「あのさ、俺のことはどうでもいいよ」
「え? なんで?」
「Kaito? Varför?」
「クラスの女子と今さら仲良くなる気無いし。嫌われてても構わないし」
ただ、エメリとは仲良くやって欲しい。それだけ。
女子の醜さを、これでもかって見せ付けられて、前みたいにはできない。エメリは日本人とは違うし考え方も違う。だからいい。
クラスの女子とは距離を置きたいし。
「傷付けたんだ」
「納得しただけ」
分不相応って思う女子がいかに多いか。自分たちが納得しない相手。だからいくらでも攻撃できる。自分たちの価値基準を満たす相手じゃない。そんな考え方を容易にできるんだから、とても仲良くなんてできない。
一切、関りを持ちたくないって言ったら。
また泣き出してる。
「ご、ごめん、なさい」
「海斗は本当に傷付いてる。あんたが仕出かしたことだよ」
取り返しのつかないことをしたと、エメリに責められてるけど、もういいよ。
あとはクラスの女子とエメリが、仲良くやってくれれば、俺はそれでいい。
「孤高を気取るってか?」
松谷は茶化してるのか。
「あ、でもあれか、美人と付き合ってるし、他はどうでもいいって奴か」
羨ましいとか言って藤巻さんに蹴られてる。
たったひとり、本当の意味で味方してくれて、ちゃんと好きだって言ってくれる人が居る。それだけで充分。多くを望める立場じゃないし。
話が済んで一週間以内に、何とかするってことで解散した。
帰りの電車内でエメリが、まだ憤慨してるし。よほど腹に据えかねたのかな。
「海斗はいいの?」
「なにが?」
「クラスの女子」
「関わらない」
二度と。あんな思考と態度を取れる、と知れたから、それもまた収穫。謝罪なんてして欲しくないし、近寄られるのも勘弁だな。俺がイケメンなら悪いと思って、本気で謝罪するんだろうけど不細工だし。
本心から嫌ってるから、あんな態度になる。
「じゃあ、あたしも要らないかなあ」
「なんで?」
「だって、女子と話ししてたら、海斗と話しできない」




