ターゲットチェンジ
その翌日、クラスでは木下のことで持ちきりだった。
さらに、全校集会が開かれ、昼前に帰れることになった。
いざ帰ろうとすると、靴箱に靴がない。
近くのトイレに入って、個室をくまなく調べた。
靴は一番奥の大きな個室の便器に突っ込まれていた。
それを取ろうと部屋に入ったとき、ドアが閉まり閉じ込められた。
アッと思った時には頭上から大量の冷水をかけられた。
2回目だ。しかも、今回の方が長い。おまけに冬のまっただ中なので凍えそうだ。
私はドアを思いっきり開けた。誰も押さえていなかったらしくすんなりと開いた。その瞬間、ホースを構えた根元が私の腕をつかみホースを私の口に突っ込んだ。そして、後ろに合図らしき仕草をした。
私は逃げようとしたが、有住と河島に体を固定されて動けなかった。
ホースから猛烈な勢いで水が発射された。
「ゴボッ!グホッ!グホァ!」
冷たい水が私の口内を始め、顔、制服、下着、全てを濡らしていった。そして…
「うえっ、きったねー!」
戸倉が言い放った。
いつの間にか私は嘔吐していた。黄色く酸っぱい臭いがする液体が床に撒かれていた。
様々な罵声が飛び交う。
汚い。
汚い…。
汚い…!
いつの間にか放水が終わっていた。
私は冷たい水と嘔吐物が混じった液体の上に転がっていた。
何回嘔吐物したかわからない。喉がイガイガする。
不意に私は変な気持ちになった。少なくともモデル界では感じたことのない感情だった。
悲しさ。違う。
悔しさ。ちょっと違う。
憎しみ。もっと別の感情だ。
惨め。
そう、惨めだ。
今の私は惨めだ。
あいつらによって惨めにされたんだ。
私は立ち上がることができなかった。




