この世からの『削除』
「はっ?助けて?一体何よ?」
「木更津さん、あなたをいじめてた理由は、アイツらに脅迫されたからなの…」
頭が混乱している私に対して木下は俯いたまま言った。
確かに思い当たる節はいくつかある。あの6人の中で直接手を下しているのは木下だけだ。
だからといって…
「それは真実なの?嘘をついてんじゃないでしょうね?」
えっとした顔で木下は顔を上げた。額から少量の血が垂れていた。
「悪いけど、私は木下さんを信用することができない。じゃあね」
私はポケットから絆創膏を取り出し、木下の眼前に落とし、退室した。
翌日、木下は学校には来なかった。
それに準じてか、私に対する嫌がらせはピタリと止んだ。
しかし、雪のちらつく12月中旬、事件が起こった。
木下が自殺した。
自宅マンションの屋上から飛び降りて即死だったらしい。というか、20階の高さから落ちて無事というのが皆無に等しい。
屋上のフェンスの近くには靴が揃えておいてあり、遺書が挟んであったという。
伝聞が続くのは、私がその事を知ったのはニュースで紹介されたからである。
実物の遺書がモザイクで登場していたが、私は疑問を感じた。
『将来に希望を持てないので死にます。お父さん、お母さん、今までありがとうございました。木下香』
明らかに少なすぎる。しかも、ワープロだ。
木下は自殺ではない。恐らく殺されたのだ。




