『削除』スタート
翌日、私は一旦家に帰ってから学校に行くことにした。
島崎から送られた写メをノートを写している時に私はふとある疑問が頭に浮かんだ。
そういえば、島崎はなぜ私にわざわざ結果を聞いてきたのだろうか?結果ならすでにクラスに回っていたはずなのに。
その時は深く考えなかった。
私は早めの昼食を取ってから登校した。
私のクラスは2つある校舎の奥の最上階の右角に位置している。
科は特別進学コース。東大とか京大などを狙う生徒が集まっている。
その教室のいちばん窓側の列の真ん中が私の席だ。
私がいつものように教室に入ると、室内は閑散としていた。恐らく大半は外で弁当を食べているのであろう。
「あっ、グランプリが来た!」
数人の男子と昼食を取っていた島崎が私を見るやいなや、拍手してきた。ていうか、今クラスにいる全員が私に向かって拍手している。人前で拍手されるのは慣れているが照れ臭い。
「あっ、ありがとう…」
その時、私は温かい視線の中に混じっている冷たく尖った視線を感じ取った。
その出所は少なくとも島崎らではなかった。彼らは人を邪険に扱うことはしない集団だ。
私は必死に発信源を探した。
いた。
クラスの中心に陣取っている数名の女子。
彼女らはクラスの中心的存在で、すごくチャラかった。
過去にこんなことがあった。
クラス会であることが決まりかけていた。しかし、そのグループが反対するとクラス全員が反対に回るという現象が起きた。
理由は1つ、『削除』されるのを恐れているからだ。
実はこの学校、私が入学してから3年間で不登校者を26名、自殺未遂者を7名出している。その人たちは皆『削除』された人たちだ。
となると、『削除』の対象になったのは私か。いずれにせよ、変な風に聞こえるかも知れないが、私は大衆に体を見せる仕事をやっている。これから雑誌などのグラビアでビキニになることもあるだろう。そんなときに身体中に痣や傷があったら、まず事務所が学校に対して何らかの行動をするだろう。
私は自分の席に荷物を置き、少しの間だが昼寝をすることにした。
5時限目は現国だった。この先生は板書の量が多いのでこちらはほぼ殴り書きでノートを取らなければならない。
右手の小指が黒ずみ始めたとき、カシャっと後頭部に何かが当たる感触があった。それを見ると丸められた紙屑だった。
私は気にせずにノートに板書をかき写していった。
恐らく犯人は命令されてやっているのだ。実際問題、例のグループはほとんど私より前にいる。1人だけ後ろにいるが離れたところにいる。そう考えるのが一番自然だ。
犯人も嫌々ながらやっているだろう。『削除』されるのが怖いのだ。きっと。
そうだとしたら、そのことを私は責める気はない。しかし、なぜいきなりこんなことになったのだろうか…




