矛盾
異変はその日の夜起こった。
私が宿泊しているホテルについて、部屋でマッタリしているときにこんなSNSが届いた。
『美紗、グランプリおめでとう!(*´∇`*)』
クラスの女子からだった。
他にも何件か来ていたが同じ様な内容だった。その時は何も思わなかった。
ベッドで転た寝していたら、別の仕事で一緒にいる神崎飛鳥さんと、真畑春樹君が私の部屋を訪れた。しかも、飛鳥さんはチューハイやらビールやらをたくさん抱えている。
私は眠かったのでそのまま寝たフリをした。しかし、いきなり耳元でクラッカーを鳴らすのはやめて欲しかった。正直、ショック死するかと…
パン!パン!
「ウギャァ!」
変な声で叫んでしまった。
「金賞おめでとう!美紗」
飛鳥さんが私にビールを渡した。ていうか私まだとりあえず未成年なんですけど。
「美紗さんすごいですね。俺よりもやってる期間短いのに…」
春樹君が何の躊躇もなくビールのプルタブをあけた。私より年下なのに…
「それじゃ、美紗のグランプリを祝って、かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
実は、私と飛鳥さんと春樹君は事務所の同期なのだ。私が17歳で飛鳥さんが19、春樹君は16歳だけど下積みが長かったから私のことを先輩としてしたってくれている。
「美紗、そういえばクラスのこと、大丈夫?」
飛鳥さんが深刻な顔をして聞いてきた。今それには触れないで欲しかったな。
「あっ、確かに。何かあったら俺たちが相談に乗りますよ」
クラスのこととは、私が通う高校のことだ。
表向きはとても好印象の私立校。しかし、噂レベルだが、とてもヤバい裏サイトのようなSNSがあるらしい。
私はそのことを適当に受け流した。
2人は空き缶と言う名のプレゼントを置いて日付が替わる頃退室していった。
お酒の臭いを排出するために窓を開けた。まだ10月とはいえ、ひんやりとした空気が流れ込んで来た。
そろそろお風呂に入って寝ようかというときに、私の携帯に電話がかかってきた。表示を見ると、島崎一真の文字が液晶に浮かんでいた。
島崎は顔はまあまあなのだが何かとウザい。私の誕生日なんか学校にホールケーキ持って来た位だ。
『美~紗ちゃん』
この声のトーンもウザい。しかし、それを表に出さないのがモデルというもの。
『コンテストどうだった?』
「グランプリ取れたよ」
『えっ、マジで?スゲー!おめでとう!』
「ありがとう」
それから島崎と少し話をした。
『それじゃ、今日の…ていうか昨日の授業の板書とノート、写メっとくから。じゃあねー』
「またね」
私は電話を切った。
島崎はこういうところは気がきいて有難い。つまり、良く言えば面倒見が良く、悪く言えばおせっかい。あれが無ければ恋愛対象候補なのだが。
お風呂に入り、携帯を確認すると島崎がキチンと送ってきてくれていた。
それを確認して私は就寝した。




