表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

256/258

第255話 ルディアのクリームシチュー試作&試食 その背後に居るのは……

「……で、結局なんだけどさ、今日の晩メシに出た()()、何だったんだい? 食った感じ、シチューの一種(いっしゅ)なのは(わか)るんだけど…?」


 パティさん一家を見送り、全員でお風呂に入っているとミラーナさんが聞いてくる。

 ミリアさん、モーリィさん、アリアさん、ライザさん、ルディアさんも、質問と同時に視線を私に向ける。

 特にルディアさんは真剣過ぎる(ほど)に真剣だ。

 これ、絶対にレシピを聞いて、ギルドのメニューに加えようと思ってるな?


「まぁ、シチューと言えばシチューです。普通のシチューに(くら)べると、作り方は多少違いますけどね。例えば『ビーフシチュー』だと、赤ワインやトマトをベースに牛肉、ジャガイモ、ニンジン、セロリ、タマネギなんかを、香味野菜を加えて煮込みます。クリームシチューの場合、鶏肉、豚肉(など)とジャガイモ、タマネギ、ニンジンなどの野菜を煮込み、ホワイトソースを加え、牛乳やスープで|延《の

》ばして仕上げるんですよ」


「「「「「ホワイトソース?」」」」」


 私の説明に、全員が首を(かし)げる。

 あ…… 確か『ホワイトソース』って言うか、クリームシチュー自体が日本独自の料理だっけ……


「ホワイトソースはバターと小麦粉を(いた)めながら牛乳で()ばしたソースなんで、作り方自体は難しくありません。なんなら明日にでも教え──」

「明日ギルドで提供したいから、今すぐ教えて!」


 言うが早いか、ルディアさんは私を浴槽(よくそう)から引き()げ、キッチンへと引き()っていく。

 せめて服を着させろぉおおおおっ!





 ────────────────





「うん…… これなら…… 何の問題もなく…… ギルドで提供…… 出来ますね…… ぶげふぅ……」


「エリカちゃん…… そのゲップ、ちょっと下品よ…? 見た目が子供だとは言え、まるでオッサンみたい……」


一晩(ひとばん)(じゅう)…… ルディアさんの作るクリームシチューを…… 試食しまくったんですよ…? 何皿食べたと思っ…… てるんですか…? ぐぇえええっぷ!」


 私がお(なか)(さす)りながら文句を言うと、ルディアさんは……


「えぇと…… 10皿ぐらい…?」


 と、(やま)()みになった皿を見ない様にして言う。


「ンなワケないでしょうがっ! パッと見た感じでも、30皿は超えてま…… げふぅうううっ!」


 そんな会話をしていると、ライト・アーマーを身に付けたミラーナさん、ミリアさん、モーリィさん、ライザさんがダイニングに入ってくる。

 ちなみにアリアさんは、魔法医らしく白衣を着て(と言っても、私の(こだわ)りだが……)入ってくる。


「何なんだよ、この皿の数は…? まさかと思うけど、エリカちゃん一晩(ひとばん)(じゅう)ルディアさんの作ったクリームシチューを食べてたのか?」


「その()()()ですよ…… げぇっふぅっ…… まぁ、不味(まず)くはなかったのが救いですけど…… うぇっぷ…… さすがに30皿以上…… 40皿近く試食する事になるとは思いませ…… ぐぇえええっぷぅ……」


 私の状態を見て、ミラーナさん、ミリアさん、モーリィさん、ライザさん、アリアさんは……


「「「「「さすがにやり過ぎ……」」」」」


 と、非難のジト目をルディアさんに向けていたのだった。





 ──────────────────





 ルディアさんに向けられた非難のジト目とは別に、ギルドの食堂で提供されたクリームシチューは大好評。

 最初こそ(もの)(めずら)しさで数人が注文するだけだったのだが、味の良さと(めずら)しさと肉の量や野菜とのバランスの良さが評判になり、注文が殺到。

 ギルドの食堂の看板メニューの(ひと)つになったのだった。


「いやぁ~♪ このクリームシチューの濃厚(のうこう)さ、()み付きになるよなぁ♪」


「そうそう♪ ビーフシチューとか普通のシチューも(うま)いけど、何日かに一度は食いたくなるんだよなぁ♪」


「ボア・ステーキとの組み合わせも最高だぜ? ()()()ボア・ステーキと、濃厚(のうこう)だけどアッサリしたホワイトソースのクリームシチューとの相性がバツグンなんだよなぁ♪」


 等々(などなど)……

 ギルドで作っているのはルディアさんだが、教えた(そして散々(さんざん)試食した)のは私なので、悪い気はしない。

 むしろ(うれ)しいのが本音だな♪


「でも、考えてみると私の作る料理って、結局はエリカちゃんの(かん)(しゅう)が入ってるのよねぇ…… それも全部……」


 言われてみれば確かに……

 ルディアさんが故郷(くに)で作ってた魚料理も、塩分が多過ぎるって事で私が調整したんだっけか。

 中華料理や和食は私が最初(イチ)から教えたし。

 洋食は…… 普通にこの世界(異世界)()ったけど、やっぱりルディアさんの味付けが塩分過多(かた)だったから私が調整したっけな……


「なら、今日からでもルディアさん自身が考えてみたらどうですか? 料理って、アイデア次第で新しく開発出来ると思いますよ?」


「……そうかもね…… じゃ、すぐには無理かも知れないけど、あれこれ考えながら試作してみるわね♪」


 ルディアさんはニコニコ笑顔で答え、その日の夜から何やらノートに書き込み始めたのだった。

 十数日後、診療所のメンバーが()(さん)な状態になるとは、この時の私は予想もしなかったのであった。





 ────────────────





「ルディアさぁ~ん…… ちょっと勘弁(かんべん)してよぉ~…… いくらボクが(たい)(しょく)(かん)でも、さすがにこれ以上は…… うぐぇえっぷっ!」


 言ってトイレに駆け込むライザさん。

 ちなみにだが、ミラーナさん、ミリアさん、モーリィさんの3名は早くにギブアップし、さっさと風呂を済ませて部屋で寝ている。

 もっとも、3人(とも)に胃の苦しさ(食い過ぎ、と言うか食わされ過ぎ)に()え切れず、食べた半分以上はトイレで戻してたみたいだけどな……

 ちなみに私とアリアさんは、翌日の仕事の関係もあるので早々(そうそう)に退散。

 ゆっくりお風呂に入り、充分に疲れを取ってからベッドで熟睡しました♪

 なお、ライザさんはその()もルディアさんの新メニュー候補の料理を食べさせられ続け、明け方になってから解放されたそうな……

 ドラゴンとしての胃の大きさが(わざわ)いしたねぇ……

 てか、最初から診療所の外に出て、ドラゴン形態(けいたい)で食えば良かっただろうが。


「それ、試食会が始まる前に言って欲しかったな……」


「言っても良かったんですけど、診療所の前でドラゴン姿のライザさんがルディアさんの運んできた食事を食べてたら、それを見た人はどう思いますかねぇ?」


 ライザさんは少し考え……


「えぇと…… もしかしてだけど、ボクにエサを運ぶ飼育員って思うとか…?」


「ピンポ~ン♪ てか、ほぼ確実に()()()()でしょうねぇ♪」


 ライザさんの出した回答に、私は満面の笑みで(こた)える。


「笑いながら言わないでよっ! てか、()()()()()()()()()()()()()()()、結局ルディアさんの作った料理を普通に食べなきゃいけなかったって事で……」


「そ~ゆ~事です。〝餌付(えづ)けされてるドラゴンってイメージ〟を()(まん)するか、今みたいに人間形態で〝苦しいのを()(まん)して食べるか〟のどちらかしか選択肢は無かったって事ですね♪」


(さわ)やかに言わないでよぉっ! いくらボクが(たい)(しょく)(かん)でも、限界ってのがあるんだからねっ!」


 と、私に文句を言うライザさんだったが……





 ────────────────





 翌朝……


「ライザちゃ~ん♪ 次のクリームシチューを作ってみたんで、試食お願いね~♪ あ、エリカちゃんとアリアちゃんは診療所のお仕事があるから一杯(いっぱい)だけ。もし食べられるなら、()(はい)お願いね♪ ミラーナさん、ミリアさん、モーリィさんは、()(はい)は最低限ね♪ 体力勝負の仕事なんだから、しっかり食べないとダメでしょ?」


 思ったより少なめ…… と言うか、普通の食事量に安心する私達。

 だが……


「あ、ライザちゃんはドラゴンなんだから、限界まで食べて感想を聞かせてね? 先に言っとくけど、適当な感想はダメよ? ギルドで提供するメニューに加えるんだから、しっかりした感想を聞かないと…… ですよねぇ?」


 言ってルディアさんが振り向いた先には、何故かギルドの食堂を切り盛りしているオバちゃんが腕組みし、不適な笑みを浮かべていたのだった。


 こ…… (こえ)ぇえええええっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ