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小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


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252/258

第251話 ミラーナさん達の成長が止まった胸と、パティさん一家の引っ越しの顛末

「次の(かた)、パトリシア・ローレンさん… って、パティさん!? 何かありましたか!?」


 次の患者を呼びに行ったアリアさんが驚いた声を()げ、それに()られて私も診察室を飛び出してしまう。


「アリアさん! 何かありましたか!? ……って、パティさんと旦那さんのジャックさん、それにスーちゃんにユーリ君? なんでまた(みな)さん(そろ)って……?」


 と、そこまで言った私は、()()()を思い出した。


「あぁ♪ 今日はユーリ君の定期検診でしたね。じゃ、中にどうぞ♪」


 私はパティさん達4人を診察室に案内し、ユーリ君の健康状態を()たのだった。


 結果は良好♪

 ユーリ君の身長も体重は勿論、背骨や四肢(しし)の関節も大丈夫。


「うん♡ ユーリ君、健康に育ってますね♪ ついで… と言ったら何ですが、スーちゃんの健康状態も()ておきましょうか?」


 私の提案に、ジャックさんもパティさんも(そろ)って(うなず)く。

 勿論、スーちゃんの健康状態も良好。

 更についででジャックさんとパティさんの健康状態も確認。

 結果的に、全員の健康状態が良好である事が判明。

 笑顔で診療所を(あと)にしたのだった。





 ────────────────





「すいません、エリカさん…… 私の早とちりで……」


 昼食時、患者の名前にパティさん(パトリシア・ローレン)の名前が書かれていた事に驚き、何かあったのかと大声を上げた事を()びるアリアさん。


「まぁ、()(かた)ありませんよ。診療所(ウチ)に来て名前が書かれていたら、何かの病気か怪我をしたのかもって思うのも無理はありませんからね。実際には何もありませんでしたし、目的も予定されていたユーリ君の定期検診でしたから♪ それに、スーちゃんの健康状態も確認出来ましたし、両親のジャックさんやパティさんの健康状態も確認出来たのは良かったです。何も気にする事はありませんよ♪」


「エリカさぁ~ん(泣)」


 泣きながら私に抱き付くアリアさん。

 いや、泣くなよ……

 そうして私の胸に顔を(うず)一頻(ひとしき)り泣いたアリアさん。

 やがて私から離れると……


「私…… 何度かエリカさんに抱き付いて泣いた覚えがあるんですが……」


 と、何やらモジモジしながら話し始める。

 が……


「こんな事を言っては失礼だと思うんですけど……」


 と、何やら言い(よど)む。


「何ですか? ハッキリ言って貰わないと、私としてもモヤモヤしてしまうんですけど……?」


 私が(うなが)すと、アリアさんは意を決した様に言う。


「初めてエリカさんの胸に顔を(うず)めた時と今…… エリカさんの胸が全く成長してない──」

「余計なお世話だっ! てか、不老不死なんだから成長しなくて当然でしょうがぁっ!」


 すぱぁあああああんっ!!!!


「あ(いた)ぁっ! ……て、確かにそうですよね。事実、私も不老不死にして貰ってから成長が止まってますし…」


 言いつつ自分の胸を()むアリアさん。

 おいおい……

 診療所のダイニングだから()いけど、外で()()()()するなよ…?

 てか、アリアさん(あんた)は普通でも1000年生きる長命種(エルフ)なんだろ?

 ロザミア(この街)に来て数年しか()ってないんだから、不老不死になってなくても成長してなくて当然だろうが。





 ────────────────





 夕食時、アリアさんからの話を聞き、ミリアさん、モーリィさん、ライザさんも、それぞれ自分の胸を()む。

 おいおい、お前()もかよ……


「確かに成長してないわねぇ……」


「不老不死にして貰わなかったら、少しは大きくなってたのかな…?」


「まぁ、ボクはドラゴンだから(もと)の姿に戻ったら胸の大きさなんて関係無いんだけど…… 人間形態だと少しは気になるかな…?」


 そんな3人に対し、私は(あき)れた()を向けて話す。


「あのですねぇ…… 長命種のエルフであるアリアさんやドラゴンであるライザさんに関しては、人間と身体(からだ)の成長速度が違うんですから、不老不死になっているいないに(かか)わらず、大きくなってなくても当然ですよ… ちなみに人間であるミリアさんとモーリィさんは、成長してなくても仕方無いですよ?」


「「へっ? そうなの? (なん)で?」」


 ハモって聞いてくるミリアさんとモーリィさん。


「人間の場合、男性だと25歳ぐらい、女性だと20歳ぐらいで身体的な成長は止まるんです。勿論、個人差はありますけどね。なので、24歳で不老不死になった2人の胸の大きさに変化が無くても全く不思議ではありませんし、仮に不老不死にならなくても胸の大きさは変わらなかったでしょうね」


 私は夕食の海老(えび)(てん)(本日のメニューは『天ぷら定食』:当番は私で、リクエストされた)を(くち)に運びながら淡々(たんたん)と話す。

 すると、今まで何も反応しなかったミラーナさんが、自身の胸を()みつつ言う。


「なるほどなぁ…… じゃ、アタシはこれ以上大きくならない(うち)に胸の成長を()めて貰ったって事かな? なら、アタシはエリカちゃんに感謝しなきゃだな♪」


 すると、ミリアさんとモーリィさんがミラーナさんに聞く。


「胸の成長を()めて貰った事でエリカちゃんに感謝…? それって、ど~ゆ~事なんですか?」


「そうそう! 胸は女の武器…… とまでは言わないけど、胸の大きい女を(この)む男って多いと思うんですけど…?」


 あぁ、前世でも〝巨乳好き〟ってのは多かった…… と言うか、一定数居た気がするなぁ……

 2人の意見(?)に、ミラーナさんは苦笑しながら答える。


「いや、そもそもアタシって自分より弱い男に興味無いじゃん? それに母上が豊満だから、もしかしたら自分もって思ってたんだよね。で、胸が大きくなったら剣を振るうのに邪魔になるんじゃないかって心配してたんだよ。だから17歳の時、これ以上胸が大きくなる前に身体(からだ)の成長を()めてくれたエリカちゃんには感謝してるんだよね♪」


 話してる途中から、苦笑は本当に嬉しそうな笑顔に変わる。

 てか、どこまでもミラーナさんは〝剣士〟であり〝冒険者〟であり〝ハンター〟なんだなぁ……


「まぁ、さすがにエリカちゃんみたいな()()状態で成長を()められてたらショックが大き──」

()()って言うなっつっただろうがぁっ!!!!」


 ずどぱぁあああああんっ!!!!


「んぎゃぁああああああああっ!!!!」


 ミラーナさんの話し具合から、この(あと)の展開を予測したアリアさんはコッソリ窓際(まどぎわ)へと移動。

 私がミラーナさんをハリセンで叩き飛ばしたと同時にリビングの窓を開け、ミラーナさんは診療所に何のダメージも(あた)えず中央広場の噴水(ふんすい)とギルドの(あいだ)(いし)(だたみ)に突き刺さったのだった。


「ミラーナさん、相変わらず学習しませんねぇ……」


 窓を()めながら(つぶや)くアリアさん。

 慣れてきたなぁ……





 ────────────────





「エリカちゃん、新しい住居が決まったから教えておくよ」


 診療所の休日、ギルドの食堂で昼食を()っていると、パティさんの旦那さんであるジャックさんが来て、住所の書かれたメモを私に手渡す。

 ちなみにジャックさん、無事にロザミアのギルドに()(よう)され、現在は事務員として働いている。

 私はアリアさんと(とも)にメモを見る。

 その住所を見たアリアさんは……


「ここって診療所の(うら)()…… それも、(ほか)の家を2~3件(はさ)んだ〝ご近所さん〟じゃないですか? よく、こんな中央広場近くの物件を見付けられましたね?」


 と、驚いていた。

 まぁ、私も驚いたけど……

 なにしろ中央広場近辺の物件は、ギルドやホプキンス総合診療所が近くに()るのは勿論だが、〝中央〟と言うだけあって商店街や食堂街も近く、何かと便利なので()き物件への競争率が(ほか)の場所の物件より高いんだと不動産屋のランディさんから聞いた事がある。

 そんな優良物件、よくゲット出来たな……


「運が良かったって言って()いのかなぁ? エリカちゃんの診療所でお世話になってる? て言うか、一緒に住んでる? モーリィ義姉(ねえ)さんの妹がパティだって言ったら、不動産屋のランディさんだっけ? (すっご)い笑顔で僕達にこの物件を売ってくれたんだよ♪」


 それ、(ほか)の希望者からしたら(こう)()混同(こんどう)って思われるんじゃないか?

 私と一緒に住んでるモーリィさんの身内だからって診療所近くの物件を売るなんて、どう考えても〝()(てき)〟だろ……


 ……そう思っていた時が私にもありました。




 どう言う理由(ワケ)か、ランディさんやパティさん達に文句を言うだろうと思っていた〝ホプキンス総合診療所の裏手の空き家(勿論、パティさん達が購入した物件だけではないが)〟の(ちゅう)(せん)(はず)れた人達の中に、ランディさんやパティさん達に文句を言う人は()らず……


「まぁ、診療所のメンバーの妹と親戚だから仕方無いかぁ……」


 とか、


「エリカちゃんと(ちか)しい(あいだ)(がら)の人達だからねぇ……」


 ってな感じで、全員が納得していたのだった。

 ……それで()いのか、お前()……?

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