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小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


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247/259

第246話 伝染病(感染症)=水痘症(水疱瘡)の流行は終息しました♪ だけど…(泣)

「エリカちゃ~ん♪ ヴィランに来て下さったのね~♪」


 どすぅっ!


「ぶぐぇっ!」


 講習会を終え、王宮内に用意された宿泊部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、私を見付けたロザンヌ様が私にトペ…

 いや、タックルをブチかましてきた。

 久し振りに会ったと思ったら、いきなりかい!

 と思ったのも(つか)()

 練習だか特訓でもしてたのか、ロザンヌ様は私が身体(からだ)を起こそうとするのを(ぜつ)(みょう)なコントロールで阻止(そし)して馬乗りになる。

 これ、MMA(エムエムエー)(ミックスド・マーシャル・アーツ:総合格闘技の略称(りゃくしょう))なら、まず間違い無く負け確定の体制だぞ!?

 それはともかく、私はロザンヌ様に馬乗りになられたまま、何とか言葉を(しぼ)り出す。


「ロ… ロザンヌ殿下… 私に会った事に対する表現なのは理解しますが… とりあえず… 全力でタックルをブチかますのは… 遠慮して下さいますかねぇ…?」


 今年で18歳になるロザンヌ様は身長が160㎝を超え、体重も40㎏を超えていると思われる(さすがに正確な数値を言うのは(はばか)られる)ので、タックルの威力は身長130㎝体重25㎏の私にとって、かなりのダメージだ。

 だが、ロザンヌ様は…


「あら~♪ それでは、お風呂でエリカちゃんを(いや)さなくてはいけませんわね♡ お母様が用意して下さってますから、すぐに(まい)りましょう♡」


 と、タックルのダメージで動けない私を引き()って、風呂まで連行(?)して行ったのだった。

 …絶対ワザとだろ!

 マリアンヌ(王妃)様と結託(けったく)して、私を風呂に拉致(らち)する計画を立ててやがったな!


 その()、私はロザンヌ様とマリアンヌ(王妃)様から好き放題に全身を洗われて疲労困憊(こんぱい)になり、翌日の診療の(ほとん)どを講習を受けたヴィラン(王都)の魔法医達に任せる事になったのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「何をやっているのだ、お前達は…」


 イルモア王国国王アインベルグは、(あき)れ切った表情でマリアンヌ(妻であり王妃)ロザンヌ()に問い掛ける。

 2人は…


「「申し訳ありませんでしたぁああああああっ!!!!」」


 と、ド派手に土下座をかましていた。

 ちなみに私はと言うと、2人の〝お風呂攻撃〟の所為(せい)で体力と精神力を使い()たし、1日中ベッドから起き上がれずにいた。

 まぁ、以前の講習でヴィラン(王都)の魔法医達の意識も変わったらしく、全員が休日前の診療で魔力を使い切り、ひたすら最大魔力容量(キャパシティ)の底上げに(じん)(りょく)していたんだとか。

 そのお(かげ)ヴィラン(王都)の魔法医達の最大魔力容量(キャパシティ)は、全員が講習前の2倍~3倍前後に(ふく)れ上がっており、私不在でも2日ぐらいなら水痘(すいとう)(しょう)水疱瘡(みずぼうそう))の治療は(とどこお)りなく(おこな)えたのだとか。

 これなら私が出張(でば)らなくても良かったのでは?

 と、思う(かた)も居るだろうが、事はそんなに単純ではない。

 なにしろヴィラン(王都)の魔法医は、ちょっとした怪我やちょっとした病気((たと)えば風邪)なんかの治療には()けているが、所謂(いわゆる)伝染病(感染症)に関する知識は皆無だったりする。

 十数年前にも水痘(すいとう)(しょう)水疱瘡(みずぼうそう))が流行(はや)ったそうなのだが、当時の魔法医達は()(すべ)が無く、患者を(かく)()するしか出来なかったのだとか…

 知識、無さ過ぎだろ!

 いやまぁ、地球(前世)の医療知識を持っている私と(くら)べるのは(こく)ってモンか…

 とにかく私は自分が動けない(ロザンヌ様のタックル、(およ)びマリアンヌ様&ロザンヌ様のお風呂攻撃でのダメージ)為、ベッドからヴィラン(王都)の魔法医の代表に指示を出し、なんとか2日目の診療は私抜きで終えたのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ヴィラン(王都)での水痘(すいとう)(しょう)水疱瘡(みずぼうそう))の診療・治療は、エリカが復帰した事もあって数日で(しゅう)(そく)

 平穏(へいおん)な日々が戻ってきた。


 の・だ・が・…


 今回の伝染病(感染症)騒ぎに関し、王宮の魔法医長が謁見(えっけん)()に呼び出されていた。


「今回、貴殿を呼び出したのは(ほか)でもない… まぁ、貴殿だけに責任を問うつもりは無いので安心せよ」


 アインベルグ(国王)の言葉に、ホッと胸を()()ろす魔法医長。

 しかし…


「しかしだ… 貴殿も前回のエリカ殿の講習会には参加していたのであろう? だが何故、誰も今回の様な伝染病(感染症)に関する質問を講習の時にエリカ殿にしなかったのだ? 勿論、貴殿だけではない事も承知しておるが… ただ、十数年前とは言え、今回と同じ〝流行(はや)(やまい)〟… 〝水痘(すいとう)(しょう)水疱瘡(みずぼうそう))〟と言ったか…? それが蔓延(まんえん)したのは、貴殿の年齢からしても(ぞん)じている(はず)であろう…? まぁ、エリカ殿がライザ殿と共にヴィランに来てくれて(だい)()(いた)らなかった事を考慮(こうりょ)し、先程(さきほど)も言った様に貴殿を罪に問うつもりは無いのであるが…」


 そこまで聞き、更にホッとする魔法医長だったのだが…


「だからと言って、何の沙汰(さた)も無しと言うワケにはいかぬ。3ヶ月間の講習を受けた魔法医の誰1人として、今回の〝水痘(すいとう)(しょう)水疱瘡(みずぼうそう))〟の蔓延(まんえん)に対し、エリカ殿が来てくれるまで有効(ゆうこう)な治療を(こう)じられなかったのは事実。(ゆえ)にイルモア王国内の魔法医達には4ヶ月交代でロザミアに(しゅっ)(こう)し、エリカ殿のもとで魔法医としての()(ねん)(しん)(じょう)信念(しんねん)哲学(てつがく)()(そう)を学ぶ事を厳命(げんめい)する! その上で、エリカ殿が認めた者のみエリカ殿の講習を(めん)じ、今まで通りの魔法医としての活動を認める事とする! 文句があるなら、エリカ殿が認めるだけの治療技術と医学知識をを(しめ)してみせよ! 出来ないのであれば、エリカ殿の都合を考慮(こうりょ)した上で教えを()い、実力を(しめ)せ!」


 アインベルグ(国王)の言葉は正式にイルモア王国在住の魔法医達への王命として周知され、定期的に各地からロザミア(と言うか、ホプキンス総合診療所)へと研修を受けに魔法医達がやって来る事になった。

 私の業務は日々の患者に対する診察・治療に加え、()き時間は各地からやって来た魔法医達(とは名ばかりの、ちょっとした怪我や病気しか治せないド素人(しろうと):言い方が悪けりゃ研修医)に対する()()()()()としか思えない連中への講義に、使う必要の無い時間を使う事になったのだった。





 ────────────────





「時間の無駄… とまでは言わないけど、エリカちゃんの講習を受けに来た研修医だっけ…? 最大魔力容量(キャパシティ)は以前に(くら)べて増えてるんだけど、それってヴィランで魔法医をやってた連中だけなんだよねぇ… 他の街の魔法医達の最大魔力容量(キャパシティ)って、以前のヴィランの魔法医達の最大魔力容量(キャパシティ)と同じぐらいだよ? エリカちゃん的には、どう思ってるの?」


 他人(ひと)の魔力を見る事の出来るライザさんからの指摘に、私は首を(ひね)る。


「う~ん… とりあえず、ヴィラン(王都)から来た魔法医達には講習を受けて貰うだけで大丈夫だと思うんですけど… 問題なのは、ヴィラン(王都)以外の街から来た魔法医達ですよねぇ…」


 私が(なや)んでいると、アリアさんが…


「まず、ヴィラン(王都)以外の街から来た魔法医達には、講習を受けるのと同時に魔力容量を増やす事を厳命(げんめい)すべきです! 今回の〝水痘(すいとう)(しょう)水疱瘡(みずぼうそう))〟の様な伝染病… と言うか、感染症ですか? それに対応するには最大魔力容量(キャパシティ)()りなさ過ぎます! 今回は()()()()被害がロザミアとヴィラン(王都)、その道中の街や宿場町に限定されていたから良かったですけど… それ以外の街や宿場町に蔓延(まんえん)してたら、それこそエリカさんやライザさんが各地を治療の為に飛び回る羽目(はめ)になってたかも知れないんですよ!?」


 と、怒りの表情で(まく)し立てたのだった。

 まぁ、言いたい事は(わか)る。

 そんな事になったら、半年から1年は私がロザミアから離れる事になったかも…

 いや、さすがにそれは無いか…


「アリアさん… 水痘(すいとう)(しょう)は、そこまで深刻(しんこく)な病気じゃないですよ? 少なくとも、命に(かか)わる様な病気じゃありません。まぁ、1歳以下、15歳以上、妊婦さんの場合には合併(がっぺい)(しょう)を引き起こす確率が高いですし、皮膚(ひふ)の二次性細菌感染、脱水、肺炎、(ちゅう)(すう)神経合併症(無菌性髄膜炎(ずいまくえん)や小脳炎等)を(きた)す事があるので、楽観(らっかん)するのは危険ですが…」


「そんな危険があるな尚更(なおさら)です! しっかり最大魔力容量(キャパシティ)を増やす事を厳命し、その上でエリカさんの講習で知識を深めさせるべきです!」


 藪蛇(やぶへび)だったか…

 私の説明でアリアさんは更に激昂(げきこう)し、私は魔法医達の講習に加え、ヴィラン(王都)以外から来た魔法医達の最大魔力容量(キャパシティ)を増やす為の訓練にも付き合わされる事になったのだった。

 トホホ……(泣)

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